【カレーおじさん\(^o^)/の今月のカレーとスパイス】2022年2月を振り返る

年明けから飲食店にとって苦難の時期が続いてしまっていますが、そんな中でも力強く誕生したお店や、移転して新たなスタートを切ったお店はたくさんあります。そんなわけで2月は、大手町で新規開店したマレーシア系インド料理のお店や、歌舞伎町内で移転オープンした人気間借りカレー店をご紹介しました。他にも状況が今のようでなければとっくに有名店になっているであろう隠れた名店である小伝馬町のインド料理店と、人気が出かけた頃に武蔵小山に移転してまた人気が出つつあるというオリジナルカレーのお店もご紹介。

春が近づいてきています。飲食業界や、外食好きな皆さんにとっても本当の意味での春となりますように。

【第1週のカレーとスパイス】カレーも米も最高! 北インド料理好きなら知っておきたい小伝馬町の隠れた名店「デシ タンドール BBQ」

小伝馬町駅近くに「デシ タンドール BBQ」という北インド料理店があります。通称「デシタン」。知っている方はかなりの通。こちらは有名店、人気店に引けを取らないレベルのおいしさでありながら、まだ知名度はそれにともなっていない隠れた名店です。有名店のシェフも通うほどなのですが、ではなぜそれほどレベルが高いのに有名店になっていないのか。それはオープンしたのが2020年6月だったから。コロナ禍による最初の緊急事態宣言が明けてすぐの時期でスタートダッシュを切れなかったというわけです。

しかしその後に続く厳しい状況の中で、ちゃんと今もお店があるということは、それこそ味が確かで近隣の常連の心を掴んでいるという証拠。僕も既に何度も通っているお店です。

看板メニューは店名にもあるとおりタンドール料理(土窯で焼き上げた料理)です。どれを食べてもおいしいのですが、僕の一番のお気に入りは「ムルグハリヤリティッカ」1個375円。わかりやすく説明するなら、ほうれん草のソースをまとった骨無しタンドリーチキンです。

「ムルグハリヤリティッカ」

炭の香りがほのかにする絶妙な焼き具合のジューシーなチキンがほうれん草とスパイスと三位一体となり、一口噛めば鶏肉のうま味がじゅわっと口の中に広がり、その後にほうれん草の風味とスパイスの香りが追いかけてきます。インド現地のお店に行くといわゆるタンドリーチキンは火がしっかりと入っていて日本人からするとちょっとパサついていると感じることも少なくないのですが、こちらのお店はインドはインドでも世界各国から舌の肥えたお客さんが来る高級ホテルのレストランのようなリッチな味わいなのです。

インド料理店の腕の見せ所は野菜カレー。肉はある程度ごまかしがきくと言いますか肉の力でおいしさが上がる部分もあるのですが、野菜カレーがおいしいお店こそが本当に腕の良いお店だと思っています。デシタンはどうかと言えば、当然のようにおいしいです。

「ベイガンマサラ」と「ライス」

「ベイガンマサラ」1,180円は茄子とじゃがいも、トマトが入ったセミドライタイプのカレー。野菜だけとは思えない満足度があります。ナンやロティとも合うのですが「ライス」330円がまた良い感じ。インドの高級香り米であるバスマティライスは、軽やかで上品。これにパンチのきいた野菜カレーが合うのです。

「スぺシャルセット」

焼き物のみならず米もカレーもおいしいときたら、ビリヤニもおいしいに決まっています。事実ビリヤニもこちらの人気メニューなのですが、もうあれもこれも色々食べたいんだという方は平日ランチの「スペシャルセット」1,500円がお得。ビリヤニにカレー2種にナンとサラダも付いてくる豪華ランチ。

ランチだとチキンティッカも1つ250円というサービス価格で付けられるので、こちらも一緒に頼めばデシタンの世界観を堪能できるでしょう。

「チキンティッカ」

ランチで1,500円は安くはないかもしれませんが、食べればそれがいかにお得かがわかるはずですし、わかる方にこそ行ってほしいお店です。他のインド料理店とは確実に違うレベルですから。

フレンドリーな接客でリッチなおいしさの北インド料理を食べられる隠れた名店。小伝馬町には行く機会がなくとも、こちらのお店は神田や秋葉原からも徒歩圏内です。北インド料理がお好きなら、ちょっと歩いてでも食べに行ってみてください。その価値は確実にありますから。

※本記事は取材日(2022年2月1日)時点の情報をもとに作成しています。

【第2週のカレーとスパイス】ナシカンダールって知ってる? 大阪→東京に移転した人気カレー店がマレーシア料理専門店をオープン「ゼロツー ナシカンダール トーキョー」

大阪でスパイスカレーの間借りカレー店としてスタートし、カレー激戦区・谷町四丁目エリアで独立して「食べログ カレー WEST 百名店」に選ばれるほどの人気店となったゼロワンカレー。それが東京・田町に移転し「ゼロワンカレーA.o.D」として独自性のある南インド料理とお菓子のお店にパワーアップ。東京でも人気となり、やはり「食べログ カレー TOKYO 百名店」に選ばれました。

そんなゼロワンカレーが2号店を出しました。しかも南インド料理ではなく、ナシカンダールというマレーシア料理の専門店「ゼロツー ナシカンダール トーキョー」を大手町で2月1日に開店。初日に行ってきました。

大手町フィナンシャルシティ グランキューブ1階にお店はあります。人気店の2号店の開店とあって行列ができていたのですが、中にはムスリムと思しき外国人の方も複数いらして、そちらにも話題となっているのかと感心。

ナシカンダールについて説明すると、ナシは「ご飯」、カンダールは「肩に担ぐ」という意味で、マレーシアのインド系移民がかつて肩に天秤棒を担ぎ、マレーシアの食材で作ったインド料理を売って歩いたことからそう呼ばれるようになったとのこと。ご飯にカレーやその他のおかずを色々と好みで選んでワンプレートにのせた料理です。

こちらのお店も現地のナシカンダール専門店のように、カウンターにおかずやカレーが並んでいて、それを注文して会計するシステムなのが面白いです。メインを1つ、カレーを2つ、野菜のおかずを3つ選べ、ご飯も選べます。ショーケースにずらりと並んだ料理を見るだけで楽しいもので、どれを選ぶか悩んでしまいます。

全部乗せ・ナシカンダール」

悩んだときは「全部乗せ・ナシカンダール」1,980円で。こちらはマサラエッグ、グリルチキン、ラム肉のカトゥレット、フィッシュフィンガーフライ、ポテトギーローストというメイン5種がすべて少しずつのった豪華版。カレーは短角牛とポテトのマサラ、ベジマサラをチョイス。

さらにカレーを食べたい方は450円追加で別皿のカレーもつけてもらえます。というわけで天使の海老とイカのカレーも追加。

天使の海老とイカのカレー

追加するもの次第で本料金から値段がプラスされたり、ご飯を少なめにすると値段がマイナスになったりするのでしっかりとメニューを吟味しましょう。ちなみに上の写真の全部乗せナシカンダールはご飯少なめなのでマイナス50円となりましたが、おかずがとにかく多いので満足度はとても高いです。

何しろどれを食べてもおいしい! メインでは特にラム肉のカトゥレットが気に入りました。いわゆるラムカツなのですが、これをカレーにつけて食べれば最高のカツカレーです。

カレーもそれぞれおいしかったのですが、特に追加した天使の海老とイカのカレーがマレーシアらしさを一番に感じる味わいでした。

「エッグ・ナシカンダール」1,200円

ナシカンダールはマレー系インド料理とも言えるのですが、カレーに関してもインド料理ではほとんど使わないハーブや、ナンプラーを使用することがあります。この天使の海老とイカのカレーがまさにそれ。天使の海老は殻ごと食べられるからこそ海老のうま味を堪能でき、ナンプラーはシーフードとの相性が良いので、インド料理にはないマレーシアらしいカレーとなっていました。

料理の内容も時期によって少しずつ変わっていくようですし、ただでさえ多いメニューは組み合わせの仕方次第で数百以上の食べ方が可能となります。カレーやその他料理は元々合わせて食べることを考えて作られているので重すぎない仕上がりですから、毎日食べても飽きがこない一皿。

日本ではまだまだ知られていないナシカンダール。ゼロツーによって広まっていくことでしょう。そしてゼロワン、ゼロツーと来たということは、ゼロスリー、ゼロフォーと続いていく可能性もあるということ。ゼロワン、ゼロツー共に注目し続け、いずれも食べに行って損のないお店です。

※本記事は取材日(2022年2月8日)時点の情報をもとに作成しています。