【第3週のカレーとスパイス】新宿・歌舞伎町の人気間借りカレー店が移転オープンしてさらに進化!「ラナンクルス」

日々カレーを食べていると自然と定期的に通うカレーのお店も出てくるわけですが、僕がどのようなお店に通うようになるのかを一言で表すなら「進化するお店」です。一度行っておいしいと思ってまた行ってみると、さらに味や提供方法など工夫を加えてレベルが上がっているお店があります。そしてまた行くとそれをさらに超えてくるような、そんなお店が進化するお店です。歴史の長いお店だと安定のおいしさを確かめに行くという意味で通うこともあるのですが、新店舗においては行く度に進化するお店に自然と足が向くわけです。

今回ご紹介する「ラナンクルス」もまさに進化し続けているお店。開店当初からおいしかったのが、行く度に少しずつ進化と工夫を加え、着実においしさと満足度のレベルを上げているお店です。2021年の2月にオープン。当初は歌舞伎町のホストクラブ的な場所で間借り営業をしていたお店ということでマニアの間でも話題になったのですが、その場所の面白さだけではなく味の良さもあってファンの心を掴みました。

そんなラナンクルス が2月11日に同じく歌舞伎町にある星座館という実に歌舞伎町らしいビルに移転オープンしました。バーのランチタイム間借りで、建物入り口もフロア自体も独特の雰囲気はあるのですが、お店自体は以前より居心地の良い空間となっています。

まずは定番の出汁キーマ&出汁豆カレーの「カレープレート」1,000円。これに日替わりの気まぐれメニューから「かぶとサーモンのカレー」300円、「かぶの葉の高菜炒め風」100円、そして定番トッピングの「味玉」100円も追加。ご飯は少なめで50円引き。こちらでオーダー。

出汁キーマ&出汁豆カレーの「カレープレート」に「かぶとサーモンのカレー」「かぶの葉の高菜炒め風」「味玉」をトッピング

メインとなる2種の出汁カレーは大阪の有名店「虹の仏」直伝。様々な節からしっかりとった和出汁を使ったカレーはスモーキーな味わいで、カレーでありながら和食の雰囲気も持ち合わせています。

この周りを彩る副菜は日替わりで、紅くるり大根のアチャール、きのこMIXと黒ごまサブジ、金柑のマリネ。東新宿寄りの歌舞伎町で開店した当初は、大宮の名店「紅茶屋さん」直伝のスリランカ料理を副菜としていましたが、現在は紅茶屋さんテイストのものと独自のものをどちらも取り入れていて、どれを食べてもおいしく、進化を感じます。

師匠にあたる両店の魂はしっかり受け継ぎつつ、ただの真似で終わっていないというところが素晴らしいです。好き勝手に変化させて劣化させてしまうこともありがちですが、ラナンクルスは大事な部分はちゃんとブレずに守っているからこその進化。虹の仏、紅茶屋さん、共に現在も交流を持ち続けているからこそでしょう。

気まぐれのサーモンのカレーは白みそとココナッツを使った白いカレー。これも開店から1年でコラボしてきたお店の影響もうかがえ、ファンとしても実に楽しめる最近のラナンクルスらしいカレーでした。

ツボクサのお茶

移転を機に食後に小さなお茶もつくようになりました。この日のお茶はツボクサ。スリランカではゴツコラと呼ばれ、よく飲まれているものです。記憶力向上や美肌効果も期待できるという健康茶。柔らかい口当たりの優しい苦味が心地よく感じられました。

「ショコラチャイ」

これもおいしかったのですが、さらに良かったのが「ショコラチャイ」500円。開店した日がバレンタインデーに近かったこともあって、デザート感覚のチャイ。こちらは先述した大宮の紅茶屋さんから仕入れたディンブラという茶葉を使用。クローブやティンブールといったスパイスも使用し、スリランカには無い形のオリジナルの仕上げとなっていて、程よい甘さとスパイスの香りで癒やされる味でした。

移転前に不定期で出していたスリランカプレートも今後やっていくつもりだそうで、そちらにも期待が膨らみます。移転前に食べたスリランカプレートと牛すじのカレーはラナンクルスの進化を大きく感じる最高のおいしさでしたから。2月18日に開店1周年を迎えたラナンクルス 。今後のさらなる進化がとても楽しみです。一度行ったことがあるという方も、新店舗でさらに進化したラナンクルスを感じてほしいと思います。

※本記事は取材日(2022年2月15日)時点の情報をもとに作成しています。

【第4週のカレーとスパイス】サクッと食べてすぐ帰れる。おしゃれさとヘルシーさも兼ね備えた令和のカレースタンド「カレーサファリ」

代々木八幡にあった「カレーサファリ」が2021年12月、武蔵小山に移転しました。以前のお店よりコンパクトになり、カウンターのみなのですが内装はステンドグラスが印象的で実におしゃれな空間。

様々なスパイスが飾るように置かれているのも良いですし、「サファリ」の名を印象づける動物のオブジェもちゃんと残されています。

代々木八幡時代は人気と知名度が上がってきたところで移転となってしまったのですが、場所を変えても着実に人気を掴んでいるのは流石。知名度がまだそこまで無いと言っても、こちらのお店はミシュランビブグルマンも受賞した「ポークビンダルー食べる副大統領」を手がける会社が運営する別ブランドですから、今後さらに人気と知名度が高まっていくのは容易に想像できます。今回はその人気が爆発する前のご紹介ですから、要チェックですよ。

メニューを見て頼んだのは「3種あいがけ」1,500円。チキンカレー、ポークキーマ、海老カレーをチョイス。ご飯は少なめでお願いしました。

「3種あいがけ」

こちらのカレーはスパイスの香りが前面に立っているタイプというよりはカレー自体の奥深さやうま味がしっかりと土台を支えているタイプ。ジャンル的にはスパイスカレーなのですが欧風カレー的な重厚さと満足感を得られます。それぞれ食感の違いもあり「ムギュ」っとしたチキンに「プリ」というよりは「ブリ」っとしたエビや「ジュワ」っとしたキーマと、それぞれ変化があるからこそ食べていて飽きません。

特にキーマにはナッツやネギも振りかけられ、スターアニスのしっかりとした香りも楽しく、個性ある仕上がり。だし的なうま味や甘味も全体的に感じるのでやはりスパイスカレー的ではあるのですが、いわゆる一般的なスパイスカレーとは確実に違う着地点なのは、シェフのご実家が洋食店ということも関係するのかもしれません。カレーは基本的には独学だそうですが、若い頃から料理の基本をしっかりと学び、現場で培ってきた技術あってこその完成度だと言えましょう。

副菜はさっぱりとしていてバランス調整役となっているところや、ダルが付いてくるのもうれしく、一皿の完成度が高いのです。

お店は先述したように非常におしゃれなのですが客層は若すぎるということもなく老若男女。僕のようなおじさん一人客も他にいて、どんな方でも自然と入れるような素敵な雰囲気です。皆さんサクッと食べてすぐ帰る雰囲気なのがまた良いです。

思い出すのは昭和のカレースタンド。お腹を空かせた人達が集まり、好きな具材のカレーを頼んでサクッと食べてすぐ帰る。こちらは昭和のカレーよりかなり手が込んだカレーなので、提供スピードは昭和とまではいかないかもしれませんが、お腹を空かせた人達が集まって食べてすぐ帰る雰囲気は似ています。言ってみればここは令和のカレースタンド。おしゃれになり、ヘルシーになったカレー。しかし時代を問わず、日本人が大好きなカレー。それを感じてうれしくなりました。

武蔵小山エリアはレベルの高い飲食店が多いのですが、その中においても確実に地元の人気店となって地域に根ざした存在となっていくことでしょう。

※本記事は取材日(2022年2月22日)時点の情報をもとに作成しています。

※価格はすべて税込です。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/