焼いては休ませてを繰り返して仕上げる「サフォークホゲットレッグ炭火焼き」

肉を炭火で焼く!実は奥が深く、技術と経験が必要だ。

メインは「サフォークホゲットレッグ炭火焼き」( 200g~/3,500円)をチョイス。モモ肉をシンプルに炭火で焼くのだが、そこには職人技がある。焼きあがってナイフを入れたときに、断面をキレイなグラデーションにするためには、肉を焼いては休ませるを5、6回繰り返し、30分かけて火を入れる。「サフォーク種のホゲットでも、個体によって違うので、火入れの時間など微妙に変わります。そこを見極めるのが私の仕事です」とシェフの岡野孝明さん。シンプルな調理ほど奥が深く、炭火台の前では気が抜けない。

野菜は長野の「大島農園」のものを使っている。「サフークホゲットレッグ炭火焼き」の付け合わせも同様だ。野菜は炭火で炙って皿に盛り付けたあと、ドレッシングなどはかけない。「え?」と思うかもしれないが、とにかく食べてみてほしい。野菜の味がストレートに主張し、それだけで十分においしい。この日は芽キャベツ、プチベール、ラディッシュ、アヤメかぶ、黄色いビーツがワイルドに盛り付けられていた。

この表面のグラデーションを出すために肉を焼いては休ませてを繰り返す。

モモ肉はまず、肉の味を楽しんでもらうために何もつけず食べてもらいたい。一口食べると、ホゲットの肉のうまみに感動する。そのあとは横に添えられたピューレをちょっとつけてもいい。このピューレも季節によって使われる野菜は違う。今回はほんのり甘いさつまいも。これも大島農園の野菜で作っているので、素材の味がしっかり主張している。

ニュージーランド産のワインの品揃えは90種類以上

「MATAKANA」ならではの、ニュージーランド産ワインがたくさん揃っている。

ワインの種類も豊富で、扱うのはニュージーランドのものだけながら、常時90種類以上用意されている。その中にはバックヴィンテージワインもあるとのこと。ジェネラルマネージャーの坂本芳文さんに「サフォークホゲットレッグ炭火焼き」に合うワインを聞いてみると、「Sato “Pisa Terrace”」(ボトル12,500円)をすすめてくれた。

ニュージーランドは日本人経営のワインメーカーがいくつかあり、「Sato」はそのなかの一つ。最南端の冷涼な気候のセントラル・オタゴ地方でつくられたワインは、ナチュラルなぶどうの味をしっかりと感じられるので、赤身のホゲットとの相性が良いとのこと。「実は最近土地を購入した夫婦がつくっているので、まだまだ生産量が少ないんです」と聞けば、いっそう羊肉とともに試してみたくなる。

珍しいワインもあるが、お手頃価格のワインも多い。しかも種類が豊富なので、どれを選べばいいかわからない人もいるだろう。そんなときはぜひ坂本さんに相談してみよう。ゲストの好みと、料理に合った一本をおすすめしてくれるはずだ。

今後はホゲットをメインとしたメニュー展開にスイッチする予定

肉を絶妙な焼き加減で仕上げる職人。岡野孝明シェフ。

広々とした店内はテーブル席とカウンターがあり、4人掛けのテーブル席でも原則2名でディナーが楽しめる。一方、カウンターは羊料理をつまみに、カジュアルにワインを飲めるスタイル。個室もあり、8名まで対応可能。また夏にはテラス席も開放するので、キンキンに冷えたニュージーランド産の「Pegasus Bay“ Bel Canto”」⁽ボトル9,000円)などを飲みながら、羊肉に舌鼓を打つのもいいだろう。

これからはニュージーランドのサフォーク種のホゲットをメインにメニューを展開していくとのことなので、「MATAKANA」の料理はさらに進化し変わっていくと思われる。果たして次に来たときにはどんなメニューが登場しているのか? 期待とともに、リピートしてみたい気持ちが高まっていく。

※価格はすべて税込、サービス料別

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は、感染症対策の実施と人混みの多い場所は避けるなど、十分にご留意ください。

※本記事は取材日(2021年12月15日)時点の情報をもとに作成しています。

取材・文:谷口素子(grooo)
撮影:松村宇洋