長期熟成の日本酒と楽しむ温故知新な中華料理の世界

〈食べログ3.5以下のうまい店〉

巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー!

食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。

食べログでは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。

点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。

そこで、グルメなあの人にお願いして、本当は教えたくない、とっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。今回は、DJ/プロデューサーの田中知之さん行きつけの中国料理を紹介してもらった。

教えてくれる人

田中 知之

1966年7月6日生まれ。京都市出身。DJ/音楽プロデュースのソロ・プロジェクトFPM=Fantastic Plastic Machine(ファンタスティック・プラスチック・マシーン)として国内外で活躍。97年秋発売のアルバム「The Fantastic Plastic Machine」でデビュー以来、独自の音楽スタイルがワールドワイドに支持され、8枚のオリジナルアルバムのリリースの他、アーティストのプロデュースにもたずさわり、リミキサーとして現在まで100を超える楽曲を手掛けている。世界三大広告賞でそれぞれグランプリを受賞したダンスミュージック時計ブログパーツ「UNIQLOCK」、「UNIQLO CALENDAR」の楽曲制作も手掛けるなど多方面で活躍している。グルメとしても知られており、全国各地を網羅する情報量を持つ。

中国4大料理の伝統を革新に活かす「中国菜 灯菜(チュウゴクサイ ヒナ)」

「食は中国に在り」とは言われるが、世界一グルメな都市と評判の東京も負けてはいない。北京、広東、四川、上海という中国4大料理の最高峰の技を習得しながら、町場でひっそり個人店を切り盛りする凄腕料理人が存在する。

お店は地下1階。池尻大橋駅の西口からすぐの好立地だ

「予約が取れなくなったら困るから、本当は教えたくないけれど……」と、とっておきのお店を教えてくれたのはFPMの田中知之さん。東京五輪・パラリンピックでも音楽監督を務めた音楽プロデューサーであり、業界きっての食通としても知られる人物だ。

 

田中知之さん

お店に通うようになったのは「完全無化調で、超高級中華並のコースがリーズナブルに食べられるすごい店がある」と、信頼する食友に教えてもらったのがきっかけ。それ以来、素晴らしい料理の数々に感嘆しきりです。

天才特級厨師から受け継いだ4種の出汁が料理の決め手

店内は肩肘張らない雰囲気。カウンター以外にテーブル席もあり

オーナーの田中達也シェフは横須賀出身の39歳。高校生の頃から地元の中華料理店で働き、卒業後は調理師専門校へ通いつつ、横浜中華街の人気店で基礎を築いたという。広東料理をベースとした日本独自の中華だけでは飽き足らず、23歳から料理修業のために本場である中国へ。上海料理と四川料理の技術を研鑽し、帰国後は「孫 六本木店」唯一の日本人シェフとして、中国語が飛び交う厨房で北京料理の腕を磨いた。食べログでの点数は3.14だが、果たしてその実力とは?

※点数は2021年12月時点のものです。

化学調味料を使用しない分だけ出汁の扱いに力を入れる田中シェフ

薫陶を受けたのが、中国最高位であった料理人の国家資格、特級厨師を史上最年少で取得した孫成順シェフである。

「はじめて中国に渡った時も、見たこともない料理ばかりで圧倒されましたが、孫シェフの元で学べたことはそれ以上に衝撃的でした。日々、目からウロコでいっぱい。その教えの中で最も大切にしているのは出汁ですね」と田中シェフは話す。

孫シェフから受け継いだという4種類の出汁を使い分け、伝統料理と創作料理を織り交ぜつつ、追求するのは独自の中華だ。前菜、点心、スープ、海鮮、野菜、肉料理の全6品。旬の食材を使用したお任せコースは7,700円から楽しめる。