東銀座に登場した、伝統と新しさを融合させたフレンチ店

レフアオキ外観
1980年代のイギリスのアンティークの扉が印象的なエントランス。

銀座・歌舞伎座の裏手の一角は、古くからの店と新しい話題の店が混在するエリア。ランチ時は行列ができる店も珍しくないが、そんな一角の真新しいビルにアンティークな扉を備えたフレンチレストラン「LES FRERES AOKI(レフ アオキ)」がオープンした。

オーナーシェフはパリで「Restaurant Makoto AOKI」を構え、長年腕をふるってきた青木さん。20年以上暮らしたパリから日本に店を移転するかたちで、カウンターのみの店をオープンさせた。なんと、名店「銀座 鮨青木」の主人の弟で、フランスで一緒に店を経営していたお姉さんと日本でも共に店を経営していくそうだ。

レフアオキ内観
広めのカウンターは落ち着いた色合い。店名はフランス語で「青木姉弟」という意味。

レフ アオキではランチ2コース、夜1コースでメニューを設定。ランチはお得感のある5,500円と季節の味わいが楽しめる15,000円、ディナーは20,000円のコースとなっている。

ランチのお得感に目が行きがちだが、銀座界隈で8~10品が提供されるディナーがこの金額はかなりコストパフォーマンスが良いと言える。特にメインは牛肉のステーキに加え、鹿など別の種類の肉料理が提供されるため、楽しみも増えるというものだ。

1つの食材で様々な味わいが楽しめる、遊び心満載の前菜

レフアオキ 冷たい前菜
「クエのカルパッチョ 3種類のお味」。フランスではあまりクエは使わないとのこと。

この日の前菜は、「クエのカルパッチョ 3種類のお味」。フォアグラとトランペット茸、万願寺唐辛子をそれぞれクエで包み、異なる味わいを楽しむことができる。

クエは季節的に脂がのっているため、レモンとオリーブオイルのヴィネグレットをかけた万願寺唐辛子などは、シャキシャキとした食感と爽やかな食味でさっぱりと食せる。トランペット茸もビネガーでマリネしており、こちらも軽やかに仕上がっているが、鼻に抜けるキノコの香りが印象的だ。一方で、フォアグラのテリーヌを巻いた1品は、フォアグラのコクがクエを引き立てている。それぞれ趣の異なる味が一度に楽しめる一皿だ。


なお、フランスではクエはあまり使わない魚種とのこと。幅広い魚の使い方は「銀座 鮨青木」の主人であるお兄さんの影響もあるそうで、日本で新たな刺激を受けた青木シェフの魚料理も楽しみだ。

上質な牛レバーをさっぱりといただく一皿

レフアオキ 温かい前菜
火入れが難しい牛レバーも青木シェフの手にかかるとプリッとした食感に。写真は撮影用に少し大きめにサーブ。

温かい前菜では、「仔牛のレバーのムニエル」をいただく。プリッと弾力のある仕上がりに、「しっとりしたレバーが、おいしいレバー料理」というイメージが覆る。シェリービネガーで強めに酸味を利かせたソースとハーブが、レバーの鉄っぽさを抑え、レバーなのにさっぱりと食べられるのも新鮮だ。さらに、添えられたちりめんキャベツの甘みがアクセントになっている。

コースはこの後、魚料理と2種類のメインとなる。11月後半は上等な鹿肉が手に入ったことから、鹿肉のロースト、ステーキ、赤ワイン煮込と味わいの異なる鹿肉料理を披露し、それぞれの部位と調理法の違いを楽しめるコースとなっていた。今後は1つめのメインは牛肉を基本とし、もう1つのメインをジビエやそのほかの肉料理に変えていく方向だという。もちろん、その時々に入手する素材によってコースは変わっていくので、訪れるたびに様々な料理に出会えそうだ。