全国にファンがいる福岡発の大人気ベーカリーがついに東京進出

表参道駅から徒歩1分ほど、青山通りから1本入った場所にオープン

福岡・六本松に本店を構える大人気ベーカリー「AMAM DACOTAN(アマムダコタン)」が、2021年10月1日、東京・表参道に待望の新店舗をオープン。全国のパン好きが色めきたっているのはもちろん、今年マリトッツォブーム発祥店としてさらに広くその名が知られたこともあり、東京進出は大きな話題に。オープンから2ヶ月が経過した現在も連日多くのファンが訪れ、人気店がひしめく東京の中でもとりわけホットなスポットとなっている。

最大の魅力は幻想的な空間と独創的なパンの数々

石造りの壁や床、ドライフラワー、アンティークのインテリアで、趣たっぷりの店内

遠方からでも行ってみたい!と、多くの人々が惹きつけられる理由は、パンのラインアップもお店の雰囲気も唯一無二の魅力で溢れ、子供の頃のようにワクワクできるから。店内はドライフラワーやヨーロッパのアンティークを駆使した幻想的な空間となっており、一歩立ち入った瞬間から“ストーリー”が始まる。「コンセプトは石の街のパン屋さん。来てくれたお客様が物語の主人公となって、架空の世界に迷い込んだような気分に浸れる世界観を目指しています」と教えてくれたのは、オーナーシェフの平子良太さん。

オーナーシェフの平子良太さん

実はこの内装も平子さん自ら手がけている。もともと平子さんは、料理人としてキャリアをスタート。2012年にパスタメインのイタリアン料理店「パスタ食堂ヒラコンシェ」を創業し、その後、カフェやドライフラワーショップもオープン。さらに、レストランで提供していたパンを本格的に手作りしたいと思ったのをきっかけに、2018年に福岡で「アマムダコタン」のオープンに至った。

イートインスペースはカウンター席とテラス席、店内奥には秘密の洞窟のような半個室席も

実姉が営むアンティークショップの手伝いで一緒にフランスへ買い付けに行き、内装も作った経験があるという平子さん。料理人でありながら、そんな経験も活かして自ら内装まで手掛けるようになったのだとか。そしてパンをよりおいしく味わってもらうためにも、空間演出は重要な要素だと考えている。「人がおいしいと思うメカニズムって、味覚だけじゃないのかなと。例えばジブリ映画『天空の城ラピュタ』で、パズーが食べる目玉焼きのトーストがめちゃめちゃおいしそうに見えるのは、あのストーリーや世界観があるからですよね。うちはそうした“おいしいまでのアプローチ”も大事にしているんです」

割合は惣菜パンが4割、菓子パンが3〜4割、残りが食パンなどのシンプル系

もちろん空間だけでなく、パンにもさまざまなこだわりが。店内に所狭しと並べられるパンの種類は、トータルでなんと140種類! こぼれ落ちそうなほどの具材を挟んだボリュームたっぷりのサンドイッチをはじめ、オリジナリティあふれるパンばかりで、ついつい目移りしてしまう。

平日で1日3,000個、週末で4,000個ほどパンを焼いているが、連日17時には完売となる

しかも、これほど多彩なラインアップでありながら、一つ一つ驚くほど手間をかけて作っているのだ。ベースとなるパンの生地は、国産小麦を使用し、15時間以上かけて熟成。発酵具合など、その日の生地の状態に合わせて焼き時間や温度を微調整して焼き上げることで、外はバリッと中はもっちりとした食感に。そのおいしさは買った翌日でも堪能できる。

焼き上がったパンに、自家製の惣菜やクリームをたっぷりとサンド。厨房では20人弱のスタッフが忙しなく作業を続ける

最大の特徴でもあるボリューム満点の具材は、あんこやカスタード、マヨネーズ、ロースハムに至るまで、ほぼ100%手作り。ここまでイチから作るお店は他に知らないと、入店したスタッフも驚くほどだとか。
サンドイッチのボリュームについて平子さんに聞いてみると「サンドイッチは、具材とパンを最後まで一緒に味わえてこそサンドイッチの役目を果たせると思うんです。だから具材は端までしっかり入れています。もちろん具材だけでなく、パンの歯切れや食感も大事ですし、すべての味が統一されていることを意識していますね」と、料理人ならではの答えが。