前菜からスープまで一通りオーダーしたくなるメニュー

店主の晋平さんは、ホテルで前菜を長く担当していたとか。「コースで言うとトップバッター。印象に残る一皿をと考えて料理していました」とのことで、自信のあるラインアップが並ぶという。

しかし、点心もモチロンお得意で、野菜だしたっぷりの小籠包は、そのまま皮を割りアツアツスープを飲んでスルッと皮を頬張れて、生姜や黒酢を使わずに味わえるのが特徴だ。

「小籠包」2個660円
六角形の蒸し器には、店主が以前働いていた店の一文字「桃」のマークが入る

同じく点心のカダイフは、中身をエビのすり身にハモのすり身をプラスしてふわっとした食感に仕上げ、外側のパリパリ感との食感の対比をも楽しめる味わい。

「カダイフ(龍髭巻)」1個660円

そして、汁そばにも入る蜜汁叉焼は、豚肉の肩ロースを使い仕上げるが、ハチミツといった甘さのある食材に、コーリャン酒を入れたつけダレがおいしく、お酒が進むとか。

ディナーのみの「蜜汁叉焼」1,320円
焼き物としての叉焼は、赤身の部分を中心に

遼子さんに料理の特徴を聞くと「頼りない味ではなく、意外としっかりした味付けだと思います。あの…お酒によく合う料理が多いんですよ(笑)」。紹興酒はもちろん、ジンやワイン、ビールに焼酎、日本酒まで、あらゆるお酒を網羅して置くのもその証拠。料理ごとにチョイスしたお酒とのマリアージュも楽しめる。

香辛料を15種以上使う料理は、どれも食べてみたくなるものばかりで、多くの人が気づけばリピーターに。訪れた際は、帰り際に予約を入れるというのがココの流儀になりそうなくらい、巷で注目の中国料理の店だ。

 

笹岡 隆甫さん

汁そばの別添えの叉焼もおいしいですが、夜の叉焼は味わいが格段に上がる。にもかかわらず、この価格が信じられません。それに、点心もおいしいですね。素材の味で勝負している小籠包に、パリパリ食感が楽しく、何より見た目が美しいカダイフも、幾つも食べたくなるほどです。

※価格はすべて税込です。

※本記事は取材日(2021年11月1日)時点の情報をもとに作成しました。

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撮影:森 昭人
文:鳥井 淑子、食べログマガジン編集部