ほかではなかなか出合えない、独創的な定番メニューにも注目

店名の「Étape」はステップや階段、休憩所などを表すフランス語

人生という長い旅路のなかで「訪れた方々の休憩所のような場所作り」を目指す河村シェフ。店名には「自身がステップアップしたい」という願いも込めているそうだ。その向上心はオリジナルのメニューからもうかがえる。

リッチな味わいの大人のフレンチトースト「ウニのパンペルデュ」

「ウニのパンペルデュ」1,600円

パンペルデュはフランス語で「失われたパン」という意味。本来は時間が経って硬くなったパンをおいしく食べるための料理だ。そんな庶民の味をアレンジし、ウニ、牛乳、卵を生地に染み込ませ、リッチな味わいに仕上げるのが河村流。

オープン当初は自家製フォカッチャを使用していたが、現在はより上質な風味に仕上げるため、この料理に合わせてバターを利かせたブリオッシュを焼いているという。

藻塩入りのマスカルポーネと絡めれば一層豊かな味わいに
 

森脇 慶子さん

ウニの濃厚な甘みと、優しい磯の香りが広がる、大人向けフレンチトーストです。ほろ苦いホウレンソウが、全体の味を引き締めてくれますよ。

日本人の舌がうずく、とろ〜り卵と濃厚ソースの絶妙コンビ「ウフムーレット」

黄身がとろける「ウフムーレット」1,400円

こちらの料理も修業先である「ル・クール・ブイヨン」のレシピを再現したもの。カリッと香ばしい自家製ベーコン、弾力豊かなマッシュルームを赤ワインソースに絡めている。ポーチドエッグを混ぜ合わせれば、濃厚な味がまろやかになり、桜チップの燻香も引き立つ。使用している卵は、先に紹介した「よつばfarm」で飼育されている鶏が産み落としたもの。

「日本人好みの料理だと思います。オーダーされた方からは大変好評なのですが、名前が地味なせいか注文数は少ないですね」と河村シェフは笑う。

 

森脇 慶子さん

ウフムーレットは、ブルゴーニュ の郷土料理。半熟卵ではなく、ポーチドエッグというところがミソ。とろける卵黄と赤ワインソースをパンに絡めながら食べるのが好きです。よつばfarmの卵は臭みがないため、雑味を感じずにスッキリといただけます。

カウンター6席と4人がけのテーブル席の全10席

現在、食べログの口コミ数は7件と数こそ少ないが、どの評価も高得点。すべてのユーザーが3.5以上を付けている。名店から受け継がれた味わいも、シェフのセンスが光るオリジナル料理も、まだ予約が取りやすい、いまのうちが味わうチャンス。パリ旅行よりも「Étape」へ来店する方が難しくなる……そんな未来だって、そう遠くないかもしれないのだから。

※価格はすべて税込

※本記事は取材日(2021年9月30日)時点の情報をもとに作成しています。

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撮影:佐藤潮

文:佐藤潮、食べログマガジン編集部