3. 沼津の深海魚とこぼれ寿司「沼津すし之助」

沼津港と言えば深海魚が有名な港である。港周辺の店ではどこも深海魚を提供しているが、かなり鮮度が良くなければ寿司で食べられないため、近隣以外ではほとんど提供されることはない。その深海魚を売りのひとつにしているのが沼津港エリアに本店を持つ「沼津すし之助」だ。

おすすめボードには沼津港直送の魚がずらりと並んでおり、沼津愛が感じられるがそれは魚にばかりではない。酢飯を炊く水も富士山の湧き水を使用しており、以前、話を聞いた時には毎日、社長自ら車で水を静岡から運んできているとのことだった。沼津の魚は地元の素材で調理するのが一番おいしいということだろう。

深海魚「ごそ」

そして、登録商標でもある「こぼれ寿司」も楽しみのひとつだ。生しらす、いくら、ズワイガニなど4種類がのった「こぼれ四天王」は迫力があり、これを目当てに訪れる方も多い。中でもウニの商品価値が圧倒的に高い。社長がウニ専門の商社出身のため、良質なウニを驚きの価格で提供することができているのだ。ウニの商品管理は難しく、油断するとすぐに溶けるし、本当においしい状態で提供するのは上記店舗でも至難の業。ウニを知り尽くしているからこその商品価値と言えるだろう。

「こぼれ四天王」2,178円(税込)

4.そうだ! 回転寿司は楽しいんだ!「ぐるめ亭」

今回紹介する中ではある意味、最も回転寿司らしい店ではないだろうか。カラフルな色使いが目立つ店舗からは何かワクワクする楽しさが伝わってくる。だからといって商品が普通、などということもない。鮮魚類も豊富に揃い、価格も抑え目。ついあれもこれもと頼みたくなってしまう。

中でも三貫盛りは種類も多く、290円で提供されているのがなんといってもうれしい。ちょっと豪華な480円の三貫盛りも多数あるが、低価格帯の三貫盛りを各種揃えている店はあまりない。

「まぐろ三種」319円(税込)

寿司のネーミングにも惹かれる。サーモン、いくら、赤えびの「椿色三種」。季節をイメージした「春が恋しい三種」「冬のおとずれ三種」などなかなかのセンス。楽しさと言えば季節の創作寿司からも目が離せない。夏恒例の「夏の塩レモン三種」は「ストロングドライ風味」とコピーが添えられた遊び心にあふれた一品。たっぷりの塩ダレと生レモンが寿司にあるまじきパンチの利いた味を演出しているのが面白い。

「夏の塩レモン三種」528円(税込)

ちなみに、昼時に訪れるとほとんどの方がランチセットを頼んでいるが「本まぐろと中とろと旬のおすすめ盛り」は日替わりの三貫盛りとミニいくら丼もついた9貫セットで1,078円(税込)と抜群のコストパフォーマンスを誇っている。

 となりのぶたさん
ランチメニュー「本まぐろと中とろと旬のおすすめ盛り」1,078円(税込)   出典: となりのぶたさんさん

5. おすすめボードがとにかく素晴らしい!「タフ」

私が回転寿司店を評価する際の基準のひとつに「青魚がおいしい」という項目がある。鮮度落ちが早い青魚をどういう状態で提供しているのかで、その店の鮮度に対する考え方がわかるからだ。

「鰯」242円(税込)

こちらの店は水産会社直営で青魚はもちろん、相模湾の地魚から全国の旬の鮮魚まで揃っている。その豊富なラインアップがこちらだ。

いやー、これまで何千というおすすめボードを見てきたが、これほどまでに達筆で見やすく、しかも勉強になるボードは他にない。聞いたところ毎日、数時間もかけて書いているとのことでこのボードをつまみに寿司がいくらでも進む。

「ほぉ、イサキは鶏魚とも書くのか。背びれが鶏のトサカに似ているからか」などと調べてみると知らない魚であっても親近感が湧いてきて食べてみたくなる。

タフのおすすめボード

また、季節によってはアンコウ、ゲンゲ、ホッケ、カマスなどおよそ寿司とは無関係そうな魚まで食べられるというのも面白い。これも鮮度に自信があるからこその芸当と言えよう。こういう寿司に出会えるのも回転寿司の楽しみである。

「玄華(ゲンゲ)」

回転寿司を味や値段だけで語るのはもったいない。その店の持つ個性や真価を加味した総合力で見るとまた違った評価になるのではないか。気軽には行きにくいと感じる方はランチに訪れてみると良い。手頃なランチセットを販売している店も多くあるので、気になる店には試しに行ってみてほしい。きっとこれまで知らなかった回転寿司の世界に出会えることだろう。

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取材・文・撮影:米川伸生