【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#22】「ピラブカウ」

夏本番が到来! 暑くなってくると暑い地域の食べ物が一層おいしく感じられます。本来なら海外へ旅に行きたいところですが、そうもいかないご時世。ならば少しでも海外を感じられる場所へ行こうじゃないですか。今回はタイ料理激戦区である池袋においても、個性あるメニュー展開をしている「ピラブカウ」をご紹介しましょう。

ピラブカウは元々、JR池袋駅北口方面にあったお店。人気が出てすぐ近くにタイスイーツのお店を支店として出したものの、本店が閉店となり、現在はその支店が本店となっているという少々わかりにくい状況なのですが、そのおいしさとタイ的な雰囲気は店舗が変わっても健在です。

テイクアウトも充実。デリバリーにも力を入れているお店ですが、やはり店内で食べるのが最もタイを感じられます。タイに行ったことがある方なら納得していただけると思いますが、こちらは現地の食堂のような雰囲気なのです。

メニューは王道のものから珍しいものまで。一時期創作メニュー的なものも出していて興味深かったのですが、今はもう無いようです。

「グリーンカレー」

王道メニューのおすすめは「グリーンカレー」。こちらはライスとカイダーオ(タイの目玉焼き)がついて通常980円なのですが、ランチタイムは750円とお得。青唐辛子の爽やかな辛さとココナッツミルクの甘味が調和し、タイのハーブもたっぷり入ってヘルシー。ほかのタイ料理店とは一味も二味も違う奥深いおいしさです。

「豚肉とタガヤサンのカレー」

マニアックなメニューだと「豚肉とタガヤサンのカレー」980円もあります。タガヤサンとは鉄刀木とも言われる、数珠の原料としても使われている広葉樹。葉には独特の苦みとオリエンタルな香りがあるのですが、これが使われているカレーは日本のタイ料理店ではなかなかお目にかかれません。

ゲーンキーレックとも呼ばれるタイ南部ではポピュラーな料理なのですが、そもそも日本のタイ料理店はタイ北部の料理店が多く、南部の料理に力を入れているお店はまだまだ少数派。ピラブカウは南部料理にも力を入れている貴重な存在なのです。タイカレーを色々と食べている方にこそその違いを味わってほしいですね。

タイ南部料理と言えば僕が好きなのが「クアクリン」。わかりやすく言えば激辛のドライカレーです。見た目はガパオにも似ているのですが味と辛さは全然違います。ダメ元で「クアクリンはできますか?」と聞くと、「できるよー!」と。クアクリンはご飯と一緒に食べることもあれば単品で野菜と一緒に食べることもあるので、今回は単品で「クアキンムー」980円をオーダー。(クアクリンはクアキンと発音することもあります。ムーとは豚肉のことです)。

「クアキンムー」

確かな辛さとターメリックやバイマックルーの香り。ゲーンキーレックのご飯にクアクリンをかけてタイ南部あいがけカレー的にして食べてみればもうスプーンが止まりません。そして激辛のクアクリンを食べ進めれば汗も止まらない! 店内は冷房が強すぎるわけではなく、あえての扇風機。だからこそ味わえる現地感。良いなぁ。池袋にして気分はタイです。

ちなみにクアクリンは裏メニュー。シェフによって作れる人がいる場合といない場合があるので、ダメ元で頼んで“あったらラッキー”なのですが、それでも頼んでみてほしい逸品です。

暑い夏にぴったりのお店。テイクアウトも充実していますから、まずは定番メニューで味を確かめ、気に入ったらどんどんマニアックなメニューも攻めてみてほしいです。食べたことのないメニューを頼むのに躊躇する方も多いかと思いますが、少しの勇気をもってそれをやっていくと、今まで知らなかった新しいおいしさに出合えますから。

※価格はすべて税込

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※新型コロナウイルス感染拡大を受けて、一部地域で飲食店に営業自粛・時間短縮要請がでています。各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いします。

※本記事は取材日(2021年7月26日)時点の情報をもとに作成しています。

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/