羊肉の新たな可能性を追求。産地による食べ比べも楽しい

料理長の木下洋平さん。大学卒業後に辻調理師専門学校に入学。その後、同校のフランス校に留学し、現地の三ツ星レストランで半年間の実地研修も経験している。

コースはまだまだ続き、全10~12品ほど楽しめる。同店では信頼できる羊飼いから一頭丸ごと仕入れ、ゲストに余すところなく食べきってもらうことを流儀としている。
料理長の木下洋平さんは、コースづくりについてこう語る。
「コースのバランスを考えるのが、一番難しいですね。ラムチョップや国産の羊串など、シンプルにお召し上がりいただく定番の品もありますが、そのほかをどう見せるのか。肉を焼くのか、蒸すのか、または揚げるのか。この店で、新しい羊肉の楽しみ方を提案していきたいと考えています」

また、羊をさばいたときにでる端肉や、普段は食べないような部位をどうおいしく調理するかも腕の見せ所だ。端肉をミンチにしてスパイスをきかせキョフテに仕立てたり、比較的硬い部位をユッケにしてみたり、さまざまな工夫をほどこす。さらに、羊の骨で出汁をとったスープや、羊のミルクを使ったデザートなどもコースに組み込まれている。

海外産2種、国産2種の羊肉を使いコースを構成する。仕入れにより、ラム(生後12カ月未満)、ホゲット(生後12カ月以上2年未満)、マトン(生後2年以上)の食べ比べができることもある。

コースは通常、オーストラリアやニュージーランドなどの羊肉2種と、国産羊肉2種で構成される。海外産と国産の味を食べ比べるのはもちろんだが、国産でも北海道産と岩手県産の羊肉では風味が異なるという。その味には、羊飼いの人たちの哲学がにじみでていると言い、料理を提供する際に、そういった生産者の思いまでもしっかりと説明してくれるのも同店の大きな特徴である。コース名に「羊肉をめぐる冒険」とあるように、羊肉の世界を探索するように、ひと品ひと品を食べ進めることができるのだ。

ワイン、ビール、ハイボール、焼酎、サワー、テキーラなど幅広いラインアップ。グラスワインは白2種、赤4種あり1,200円~。ビール(香るエール)は900円。

ドリンクは、ワインをメインにさまざまな酒を幅広く用意している。グラスワインはオーストラリア産のもので揃えているのが特徴だ。ゆっくりとワインで楽しむもよし、ビールやサワーを合わせてカジュアルに楽しむもよし。羊肉との相性はどちらも甲乙つけがたい。

食べる機会が少ないからこそ、極上の味を体験してほしい

カウンター席のほか、テーブル席も用意されている(全24席)。パーテーションで仕切れば、半個室としても利用できる。

最近は羊肉もスーパーマーケットなどで買えるようになり、以前よりポピュラーになっているように感じるが、実は日本人の羊肉の年間平均消費量は、一人あたりたった200gほどだそう。要するに、年に1度か2度程度しか食べないということだ。羊肉のすばらしさを知る人は増えているものの、まだまだ少数派のよう。未だに「羊=硬い、においが強い」というイメージを持つ人も多いということだろう。
しかし「串羊 羊サンライズ」を訪れればそんな印象はすぐに一新される。食べる機会が少ないからこそ、本物の国産羊肉の極上のおいしさを心ゆくまで堪能してほしい。

※価格はすべて税込

姉妹店「羊サンライズ」のお肉を通販でも

絶品ジンギスカンを味わえる姉妹店「羊サンライズ」のお肉は「食べログモール」で購入可能。おうちでも絶品羊肉を体験してみては。

■食べログモール(羊サンライズ):https://mall.tabelog.com/hitsujisunrise

写真:食べログモール


※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は、感染症対策の実施と人混みの多い場所は避けるなど、十分にご留意ください。

※本記事は取材日(2021年5月10日)時点の情報をもとに作成しています。

取材・文:梶野佐智子(grooo)
撮影:松村宇洋