教えてくれる人

はなとも
日本スイーツ協会認定のスイーツコンシェルジュ。スイーツ専門のライターとしてさまざまなweb媒体で記事を連載中。著書「スイーツ男子はなともの I love パンケーキ」(KADOKAWA)、はなとも監修パンケーキミックス粉、その他、監修商品やコラボメニューなど多数。前職はお花屋さんという異例の経歴を持つ。

渋谷区代々木にあるフラン・パティシエ専門店「PAQUET MONTÉ(パケモンテ)」。同店では、フランスの国民的おやつ「フラン」を独自にアレンジした、他にはない唯一無二の「フラン」を味わうことができます。数あるフランの中で特におすすめしたいのが定番の「バニラ」。今回は、僕が食べて感動した「パケモンテ」の絶品フランをご紹介します。
2024年に大流行! 日本初のフラン・パティシエ専門店

「パケモンテ」は、小田急線・代々木八幡駅、千代田線・代々木公園駅からそれぞれ5分ほど。戸建てが立ち並ぶ閑静な住宅街の少し奥まった場所にあります。以前は普通の住宅だったそうですが、オーナーのアイディアのもとフルリノベーションし、隠れ家のような店舗にアレンジ。百貨店の催事でデビューした後、2024年2月に実店舗をオープンしました。

「フラン・パティシエ」とは、卵と牛乳などで作るフラン液をタルト生地に流し込んで焼き上げたもの。日本ではあまり馴染みがありませんが、フランスのベーカリーやパティスリーには必ず並んでいる国民的おやつです。同店ではそんな国民的おやつに独自のアレンジを加え「フラン・パティシエ」を製造し販売しています。

2024年に爆発的にヒットしたフラン・パティシエですが、もともとの火付け役は「パケモンテ」。そんな同店の店内は、モダンな外観とは打って変わって、高級感と大人っぽさがあるシックな内装。1階はスタンディングのカウンター席とオープンキッチン。2階はゆっくり食事やデザートが楽しめる1室のみのプライベートルーム(予約制・室料60分2,000円)になっています。

同店では「コントラスト」を商品コンセプトに、特殊技法を用いた多層からなる筒状のパイ生地にフラン液を流し込んで焼き上げ、パリサク、ぷるとろの2つの食感のコントラストを実現。パイ生地はバターで生地を包んでいく「逆折り込みパイ生地(フィユタージュ・アンヴェルセ)」という製法で作られています。アンヴェルセで作ることによって通常のパイ生地よりもバター層が多く、小麦粉のグルテンも弱くなるため浮きが高くなり、サクサクした軽やかな食感になるのだとか。この食感に仕上げるには、生地の仕込みだけでも4日間はかかるそうです。

そんなこだわりのパイ生地にフラン液を流し込んだら、240℃のオーブンでじっくりと焼き上げます。その後、オーブンの温度を170~180℃に変更し、生地に焼き色が付いたら完成。2段階で焼き上げることによって、他にはないパリッとした歯触りの良い食感になるそうです。

同店のフラン・パティシエを製造しているのは、パティシエの本田珠美さん。都内の有名パティスリーを経て、独立後はフリーランスで企業の商品開発を行っていましたが「プルミエメ」のオーナー・鈴江恵子さんと出会ったことで、パケモンテのシェフパティシエに就任します。本田さんの作るフラン・パティシエはどれも独創的で繊細なものばかり。五感に響くおいしさで何度でも食べたくなります。
今回はそんな同店こだわりのフラン・パティシエの中から、僕がおすすめしたい、とっておきの3品をご紹介します。