食べ歩きのプロ、マッキーさん流のとんかつの食べ方
先日、今食べるべき店がわかる「食べログ とんかつ 百名店 2021」が発表されたということで、昨今のとんかつブームの火付け役でもある「東京とんかつ会議」のメンバー、マッキー牧元さんにインタビュー。前回の記事ではおすすめのとんかつ店などを聞きましたが、今回はおいしいとんかつの食べ方を教えてもらいました。
教えてくれる人
マッキー牧元
株式会社味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。立ち食いそばから割烹、フレンチ、エスニック、スイーツに居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ・テレビ出演。「味の手帖」「料理王国」「食楽」他、連載多数。日本鍋奉行協会会長。著書に「東京・食のお作法」文藝春秋刊、「出世酒場 ビジネスの極意は酒場で盗め」集英社刊ほか。
とんかつの基本はロース。そのワケとは?
とんかつと一言でいっても、ロースやヒレなど部位によってメニューはさまざま。名物やおすすめのとんかつがお品書きに載っている店はさておき、そうでない場合は、どのとんかつを注文するのがいいのでしょうか。
マッキーさん曰く、とんかつの基本はロースとのこと。その理由を教えてもらいました。
「とんかつの二大部位はロースとヒレですが、肉質の柔らかさで言えばヒレに軍配が上がります。ただ、とんかつの醍醐味は揚げ油と肉の脂身の香りにあると僕は思っていて、ロースはこの脂身が豊かな部位。また、ヒレよりもよく動く部分なので、肉自体の味も濃いんです。豚肉の魅力をより味わえるとも言えるでしょう。さらに、ロースは赤身と脂身という異なる身質を兼ね備えた部位なので、ヒレよりも揚げ方が難しい。お店の力量もわかりやすいので、まずはロースということなんです」(マッキーさん/以下同)
まずは左から2番目か3番目をそのままで、次は塩
注文したとんかつが運ばれてきて、マッキーさんが最初に手を付けるのは、カットされた部分の左から2番目か3番目。そのどちらかおいしそうなほうを、まずは何も付けずに脂身が舌先に当たる向きにして味わうそうです。
「ロースの場合、左から2番目か3番目が芯にあたり、肉と脂のバランスがちょうどよくておいしい部分なんです。店の実力を知るためにも、どう食べるかという作戦を立てるためにも、まずは何も付けずに味わいましょう」
その次は、右から2番目。脂身が多いため味も濃く感じる部分で、ここが一番好きと言う人もいるとか。では、いよいよソースを……と思いきや、レベルの高い店になるとソースを使わず塩だけで食べることもあるそう。そのうえで、塩で食べる際のポイントも教えてくれました。
「基本的に、塩は衣ではなく肉の断面に振ってください。衣に振ると塩の味が立って、肉と対立してしまうからです。少し置いておくと肉の熱で塩が溶け、汗をかいたような状態になります。そのタイミングで味わいましょう」
ソースをかけるなら衣に直接
では、今度こそソースでの食べ方を教えてください!
「ソースをかける場合は、衣に対して細くかけましょう。小皿にソースを出してちょんちょんと付ける方法もありますが、直接かけてOKです。これは何度も試したんですが、直接かけたほうがおいしいという結論にたどり着きました」