キャベツもまずはそのまま

マッキーさんは、肉でも衣でもなく、キャベツにソースをかけてとんかつと一緒に食べることもあるそうです。ということで、キャベツの食べ方についても聞きました。

「よく、キャベツにはソースかドレッシングかという議題があがりますが、僕の場合は最初は何もかけずにキャベツを食べます。理由はやっぱり、その店の心意気や技術がわかるから。そのうえで、次にドレッシングを試してみて、次にソースかな。あるいは塩を振ってキャベツを食べることもあります。ちなみに僕は、とんかつにレモンは搾りません。でも、レモンがあるなら使いたいので、キャベツに対して搾ることがありますね。彩りのパセリもそう。せっかくなので、細かくちぎってキャベツにかけて食べます」

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キャベツにもお店の心意気が表れるのだそう   出典:超力招来さん

おいしい揚げ物にレモンは要らない

とんかつにレモンは搾らない、という点も興味深いところ。理由を尋ねると、確かに納得できるものでした。

「レモンって口がさっぱりしますよね。これは酸味によるもので、油っこさを中和させる効果があります。逆を言うと、油っこくなければレモンを搾る必要はなく、そのまま食べたほうがおいしいんです。これは揚げ物全般や肉料理などにも言えること。だから僕はとんかつはもちろん、唐揚げやタン塩も、おいしければレモンは搾らないんです。海老フライの場合、搾るとしたらタルタルソースにですね」

油っこさの中和という意味では辛子の効果も似ているとか。ただ、辛子はよりよい活用法があると教えてくれました。

「カットされたとんかつの、一番端っこは脂身が多いですよね。あの部分に関しては、小皿に辛子醤油を作って付けて食べるとおいしいですよ」

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辛子は酸味のあるソースより、醤油と合わせるのがおすすめだそう   出典:YamaNe79さん

残った衣もおいしく味わう「かつばら」

食べる順番としては、主役のとんかつを数枚味わってから、ご飯をパートナーにして合わせ、キャベツ、味噌汁、お新香などにも手を付けていくのがマッキーさん流のたしなみとか。

もしとんかつを先に食べ終えご飯が余ってしまった場合は、お新香でフィニッシュするのがセオリーですが、マッキーさんは独自に編み出した食べ方もおすすめだと言います。それが「かつばら」。

「とんかつの衣が皿に残るじゃないですか。これを集めてご飯にかけ、塩をパラッと振って味わうのが僕独自の『かつばら』。想像以上においしいので、ぜひ試してみてください」

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工夫をしながらとんかつ定食を余すところなく味わう   出典:capa1987さん

かつ丼は端から。肉は薄いほうがいい

と、ここまではとんかつの話。前回の記事でかつ丼のおいしいお店も教えていただいたので、かつ丼の食べ方についても聞いてみました。

「かつ丼の場合は端のカットから食べます。中央から味わうと、かつとじが崩れてしまったり、衣だけが離れたりすることがあるからです。丼なので、重要なのは一体感。かつとじとご飯を一緒にほおばるのもよし、先にかつとじを味わってからご飯をかっこむのもよし。かつを箸で細かく切って、少しずつ食べるのもいいですね」

なお、かつ丼の肉は厚すぎないほうがいいとマッキーさん。その理由には、かつ丼ならではの事情があります。

「ご飯と一緒に食べるとき、かつが厚いと主張しすぎて、バランスが悪くなるからです。だから、かつ丼の場合は薄い肉のほうがマッチするんですよ」

 或 真宗
かつ丼の場合は、肉は薄いほうが相性がよい   出典: 或 真宗さん

前回の記事では、マッキーさんお気に入りのとんかつ名店や、おいしいかつ丼であることを満たす5つの条件などにも触れています。本稿と合わせて参考に、おいしいとん“活”を楽しみましょう。

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監修/マッキー牧元 文/中山秀明