TOKYO HIP BAR
Vol.7 同じカクテルの飲み比べは、飛行機のフライトにも似たり。
カクテル好きなら試してほしい
“フライト”とは!?
何かを知るにはまず比較することが大切、とある年上の恋人から教わったことがあります。映画を覚えるには、好きな監督の作品を時系列で観ていくこと、小説もまたしかり。お酒についても同じカテゴリーのものを比較して味わってこそ、好きなものがはっきりとわかってくるということがあります。
そんなこともあって、ウイスキーバー、テキーラバーなどで“飲み比べセット”があると思わず頼んでしまう私。数種類の原酒を国や年代で分けていたりして、分け方もお店によってこだわりが見られることも、とても興味深かったりします。こうした飲み比べセットを、最近では“フライト”という呼び方をするのが欧米流であるようです。
なぜ“フライト”かというと、プレートの上に数種類のグラスが一度に運ばれてくる様子が編成を組んだ飛行機のように見えるからだそう。たしかに整列したグラスが運ばれるさまは自分めがけて飛んでくる飛行機のようです。
このフライトをカクテルで提供する珍しいバーが、恵比寿の裏路地にある「バー トレンチ」です。中2階まである天井の高い空間に本棚やドラムセットが並ぶ店内は、どこか海外に来たような独特の空気感が魅力的です。実際に海外からのゲストも多く、世界のバーランキング「The World’s 50 Best Bars 2017」でもアジアで28位に選ばれるなど、世界でも評価の高いバー。ヘッドバーテンダーは横に長い髭が特徴のロジェリオ・五十嵐さん。五十嵐さんの風貌もまた異国情緒をそそります。
“フライト”で一度に堪能できる
4カ国の「アヴィエーション」
こちらのカクテルのフライトは、ジンのカクテル「アヴィエーション」を4つの国のジンで楽しむことができるというもの。アメリカ、日本、ドイツ、イギリスと、飲み比べてみると4カ国のジンはそれぞれに個性的です。アメリカは包み込むようなおおらかさがあり、日本の味わいは繊細、イギリスはジンの国らしく正統派なジンの味わいがするし、ドイツはどこかテクニカル。
実は、カクテル名のアヴィエーションは航空術の意味で、飛行機が初めて実戦に使用された時代に誕生したカクテルだそう。アヴィエーションをフライトでという洒落た言葉遊びもお得意なトレンチならではです。
今宵はフライトとともに、飛行機に乗って各国を巡るようなカクテルの旅をぜひ。