「味、量、価格。そのすべてで驚きを与えたい」

チョイスした3品はどれも王道のビストロ料理である。どこにでもある品だからこそ、その味の違いを明確に感じられる。珍しい食材や最新の調理法を用いたりせずとも、真摯に料理と向き合うことでクオリティの高い料理は完成するのだ。
どれも食べ応えがあり、3品を2人でシェアしても満足できる。大食いだと自負する人でも、ひとりでこの3品をいただけば十二分なほど腹いっぱいになるだろう。
これだけのクオリティの品々を、これほど手頃な価格で提供しているのは驚くべきことだ。そこに、児玉さんの強い意志を感じる。

「味、量、価格、そのすべてでインパクトを与えたい。店を訪れてくれた方を、驚かせたいんです」と児玉さん。あまりの安さに、ゲストから怒られたこともあると笑う。
児玉さんはシェフとしての詳しい経歴を語ろうとはしない。フレンチの料理人として20年以上の経験を積んでいることは確かだが、それ以上のことはあえて明かさない。そこには、肩書に頼らずに味だけで勝負したいという思いがある。
とはいえ、児玉さんの料理を食べれば質のよい店で経験を積んできたであろうことは想像に難くない。
少々強面で気難しそうな印象を受けるかもしれないが、実はそんなことはない。ウィットに富んだトークがおもしろく、ディナータイムに手が空けば自らゲストをもてなす。コストパフォーマンスが高く、シェフの人柄もよいとなれば人が集まらないわけがない。まだ予約のとりやすい今のうちに訪れておくことをおすすめしたい。

【本日のお会計】(2人)
■食事
・パテ・ド・カンパーニュ 900円
・オニオングラタンスープ 1,200円
・牛バベットのステーキ エシャロットソース 2,400円
■ドリンク(すべてグラスワイン)
・スパークリングワイン(Baron de Rothberg Brut) 750円
・白ワイン(Domaine Rougie Viognier 2019) 960円
・赤ワイン(Ch Champ des Soeurs Fitou 2017) 850円
・赤ワイン(Ch Clotte Les Quatre Lys Bordeaux Castillon 2015) 950円
合計 8,010円(1人 4,005円)
※価格はすべて税抜