酸っぱくて、辛くて、クセになる「酸辣麺」

定番の中でも「麻婆豆腐」は外せないが、2人以上での利用や、再来店の際などにぜひとも注文したいのが「酸辣麺」900円。商品名のとおり、酸っぱくて、辛いラーメンだ。片栗粉でとろみをつけるのが一般的だが、同店では“食事の一品”というより、“お酒とともに楽しむラーメン”との発想から、味がくどくなりすぎないようにサラリとしたおいしさを重視している。

具はもやし、キャベツ、小松菜と野菜が豊富で、そこに台湾風そぼろも加わる。さらにフライにしたオニオンとガーリックのコリコリした食感がプラスされ、具材自体が酒のつまみになる、何とも贅沢なラーメンだ。味つけも酢と朝天辣椒の一味唐辛子で酸味と辛味が入り混じり、自家製辣油、白胡椒、返しが加わって、深みのある味に仕上がっている。

「酸辣麺」900円は、酸っぱくて、辛いラーメン。

グイグイ引き込まれる懐の深い辛さ

同じく定番料理の中で体験しておきたいメニューが、「担々麺」900円だ。メニュー表にも「当店が考える丁度良い担々麺 バランス重視人気メニューなものですのであえて宣伝は致しません 食べて納得」と書かれており、そこまで言い切られて食べないわけにはいかないだろう。「酸辣麺」以上に真っ赤なビジュアルは、見るだけで舌の先がヒリヒリしてきそうだ。

だが、「バランス重視の丁度良い担々麺」と主張するだけあり、辛いことは辛いが、決して辛すぎることはない。だからといって、「もう少し辛味がほしい」と思うようなほどほどの辛さというわけでもない。自家製辣油と花椒の辛みが、酒のおいしさを引き立てる、何とも調和の取れた辛さなのである。しかも、酒の種類を選ばずどれにでも合う、懐の深い辛さとも言える。

「担々麺」900円。フライドオニオンと揚げたカシューナッツの食感もコリコリ楽しい。

“ほどよさ”の中にある“奥深さ”

住宅地に店舗を構え、近所の人たちの日常利用を考えると、料理の味は揺るぎない主張があっても、その主張は強すぎない方がいい。スーッと入り込めて、ガッチリ受け止めてくれる。それでいて、ここにしかない味。お酒も高すぎず、平凡すぎず、あるとちょっとうれしい。そんな銘柄を、バランスよく取り揃えている。

街に灯りがともると近所の人たちが1人、2人と集まり、気づけばほどよい距離感のコミュニティが形成されている。「高井戸麻婆 TABLE」とはその名のとおり、高井戸という街にある、麻婆豆腐を中心に人々が集うTABLE(食卓)のこと。いろんな面において、“ほどよさ”の中にある“奥深さ”。サク呑みで終わらせるにはもったいない、ディナーにも使える魅力の店である。

【本日のお会計】
■食事
・麻婆豆腐 900円
・お任せ2皿 1,200円
(以上、セットで2,000円)
・酸辣麺 900円
・担々麺 900円
・メンマ辣油 350円
■ドリンク
・久我山のクラフトビール 850円
 (セット注文で100円引きの750円)
合計 4,900円

※価格はすべて税込

※本記事は取材日(2021年2月1日)時点の情報をもとに作成しています。
※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。
※新型コロナウイルス感染拡大を受けて、一部地域で飲食店に営業自粛・時間短縮要請がでています。各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いします。

取材・文:印束義則(grooo)
撮影:玉川博之(grooo)