ちょっと大きめの広東鍋がおいしさのポイント
8種揃えた定番料理の中で、多くの客が注文するのが看板メニューの「麻婆豆腐」。店主の根岸さんは口径42cmもある、一般的なものよりちょっと大きめの広東鍋を駆使し、リズムよく麻婆豆腐を作っていく。「大きい中華鍋は熱を蓄えやすいので、鍋をしっかり温めると調理中に温度が下がることがなく、料理がもっとおいしくなる」。こうした考えが根岸さん流のこだわりだ。
客の期待値を超える看板メニュー
同店が麻婆豆腐を看板メニューに据えたのは、カレーやラーメンのように誰もが知る料理でありながら、“食べてきた経験値が少ない料理”だと捉えたためだ。日常的に気軽に楽しんでもらい、それでいて期待値を超えるだけのものを提供できる自信がある。そんな“ここにしかない料理”を味わってもらいたいとの思いが、「麻婆豆腐」には込められている。
ご飯と一緒に食べて欲しいとの考えから、「麻婆豆腐」には半ライスが付く。ニンニク、生姜で風味をきかせ、豆板醤、甜面醤、自家製辣油、3種の醤油、山椒で味付け。辛すぎることなく、それでいて後を引くおいしさが絹豆腐にじんわり染み込み、シンプルだけど、強く記憶に残る味に仕上がっている。実にクセになる、回帰性のあるおいしさなのだ。