軽井沢には数えきれないくらい足を運んでいるが、今の時期は紅葉を楽しめ、混雑する夏の避暑期とは少し異なり趣きがある。東京から朝ゆっくり10時台の新幹線に乗っても1時間ちょっとで軽井沢に着くので、ランチには悠々間に合う。先日僕が一泊二日で実際に辿ったコースを、モデルとして紹介しよう。

1日目 昼食「川上庵」

せっかく長野に来たのだから、おそばは食べておきたいところ。しかも11月は秋の新そばの時期。東京にも3店舗展開してはいるが、本店はここ軽井沢にある「川上庵」で昼食をいただく。

揚げもちそば 撮影:川井潤

車を運転する予定がなければアテの「鴨焼き」や信州野菜をふんだんに使ったバルサミコ風の味付け「彩り野菜の温製サラダ」などをつまみつつ、信州の日本酒やワインを飲むのも一興。〆のそばは「揚げもちそば」(税抜1,260円)をいただく。辛めの中に甘みを感じるタイプのそばつゆに、揚げもちの油が滲みておいしい。そばはその日使う分だけ製粉されたものが使われ、香りも喉越しも良い。

1日目 おやつ「万平ホテル カフェテラス」

「万平ホテル カフェテラス」名物の「伝統のアップルパイ」(720円)にアイスクリームをのせた「伝統のアップルパイ~アイスクリーム添え」(1,010円)に、ブレンド(ケーキセットだと+550円)を是非。アップルパイは万平ホテルを常宿にしていたジョン・レノンが好きだったことでも有名。

Haburashi
アップルパイ アイスクリーム添え   出典:Haburashiさん

たっぷりシロップが染み込んだりんご(紅玉)と、いい香りのシナモンがパイのポイント。温かいアップルパイにアイスクリームをのせて少し溶けた状態で一緒に食べると、それがまたおいしい。この2つを組み合わせると相乗効果を発揮する。

※価格は税・サービス料別

1日目 夕食「ホテル鹿島ノ森」

宿は、上皇・上皇后夫妻もかつてお泊まりになっていたホテル「ホテル鹿島ノ森」。レストラン「コンチネンタルルーム」で夕食を取る。夕食の前菜は「イベリコ豚の生ハム」。赤ピーマン、アメーラ生トマト、バジルチーズの前菜と一緒に食べる生ハムが相当美味しい。スープはするりと飲みやすい「トマトのポタージュ」。

国産牛フィレ肉のソテー 撮影:川井潤

メインは魚と肉料理の2皿。「真鯛のムニエル、木の実ソース、蓮根乗せ」、「国産牛フィレ肉のソテー」。ごぼうチップがのり、醤油漬けしたごぼうと旬の温野菜添え。下にジャガイモのガレットが敷かれ、ソースは赤ワインソース。肉の火入れも上手でソースの味付けも良い。印象深いひと皿。

デザートのアイスクリーム 撮影:川井潤

デザートはフランボワーズのアイスクリームと、ラズベリー、ブルーベリー等が添えられた盛り合わせ。コーヒーもおいしく、〆のデザートは出しゃばらないでしっかりコースを支えている。

2日目 朝食「鹿島ノ森ホテル」

2日目の朝食はもちろん宿泊先の鹿島ノ森にて。朝食も時間をきっちりと引いて三密を避けた形で行われるので、宿泊していても予約が必要。アメリカンブレックファストをいただく(本来はこの朝食はサービス料込3,500円で楽しめるが、今季は夕食・朝食ともに宿泊客のみ利用可で、宿泊費とセット)。

目にも鮮やかな新緑を眺めながら、フレッシュオレンジジュースを一口。その他りんごジュースなども選択肢にあり。

高原野菜のサラダ 撮影:川井潤

サラダは新鮮な高原野菜の、レタス、プチトマト、人参、紅芯大根、トレビス(ラディッキョ)。鮮度よく美味。野辺山高原のジャージーヨーグルトも濃厚。玉子料理はフライ・ボイル・スクランブルの3調理法から選択可で、僕はスクランブルをチョイス。スクランブルエッグもクリーミーでレベルが高い。ハム、ソーセージ、ベーコンが添えられていて、ベーコンはわがままにお願いしてカリカリに焼いてもらった。おかげで好み通りでとってもうまい。

パンはイングリッシュトースト、クロワッサン、プティパン。どれもおいしく、トーストにはバターとブルーベリージャムをつけていただく。どのパンも美味。食後のコーヒーもちゃんとおいしくて大満足の朝食。

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テラスの風景   出典:lagoさん

空気もおいしいし、目にも栄養の風景。この環境で朝食はうれしい。

2日目 昼食「アトリエ・ド・フロマージュピッツェリア店」

チーズ製造会社が運営する「アトリエ・ド・フロマージュピッツェリア店」がオススメ。ただ、ふらりと行くと相当並ぶので、できれば予約することをオススメする。

chocosara
パルマ産生ハムと手作りモッツァレラチーズのサラダ   出典:chocosaraさん

2人で来たら「軽井沢フォンデュセット(2人分で5,800円)」が目一杯食事を楽しめる。前菜は5種からひとつを選ぶ方式。「チーズサラダ」、「手作りモッツァレラと軽井沢産トマトのカプレーゼ」などのメニューが並ぶなかから「パルマ産生ハムと手作りモッツァレラチーズのサラダ」を選択。これがとってもボリューミー。レタスや赤や黄色、緑のミニトマト、ブルーベリー、モッツァレラチーズ、生ハム、レタス、赤キャベツ、冷凍の苺等多彩。これだけでお腹がいっぱいになってしまいそう。もちろん新鮮でおいしい。

ブルーチーズフォンデュ
ブルーチーズのフォンデュ

続いてチーズフォンデュ。次の4種類のベースとなるチーズからひとつ選択。定番は「自家製硬質チーズのフォンデュ&イタリア産白トリュフオリーブオイル」。僕らはプラス100円して「ブルーチーズのフォンデュ」を、多少クセがあるかもしれないが選択。オプションでトッピング用に「温野菜(+320円)」も追加オーダー。食べてみると案外クセも抑えめで、食べやすい。温野菜(ブロッコリー、パプリカ、ズッキーニ、さつま芋)もチーズを纏わせるとおいしい。


もちろん王道のパンをチーズフォンデュに付けるのがうまいが、腹が膨れてくる。中に入る白ワインが結構効いていて何を付けて食べても上等な味になる。結構お腹が膨れてきたところで、ピッツァも登場。

chocosara
マルゲリータとクワトロフォルマッジのハーフ&ハーフ   出典:chocosaraさん

ピッツァも次の5種からひとつ選択。「チーズ工房のクアトロフォルマッジ」、「マルゲリータ」などの中で僕らはクアトロフォルマッジとマルゲリータの「ハーフ&ハーフ」を注文。クアトロフォルマッジ用に「蜂蜜(+50円)」も。マルゲリータには卓上にある唐辛子と、唐辛子を漬けたオリーブオイルの両方を掛けていただく。クアトロフォルマッジはややゴルゴンゾーラチーズが強め。ここに蜂蜜をかける。クセもあるが、印象に残るうまさ。

最後に飲み物も8種類の中から選択。僕らは普通にホットコーヒーをいただく。いやぁ、食べた食べた。充実のランチ。

店を出る時は既に午後1時半になっていたが、外にはさらに10組以上の多くの人がウェイティングで並んでいる。これだとまだ1時間は並ぶかも。それほど人気。

※価格は税抜

お土産「ココペリ」

お土産におすすめなのが、アマゾンカカオを使った「TETSU キャラメルポップコーン」(税抜680円)。

軽井沢で不定期にオープンするレストラン「LA CASA DI Tetsuo Ota(ラ・カーサ・ディ・テツオ オオタ)」のオーナーシェフ太田氏が、イタリア時代に作っていたキャラメルポップコーンを、軽井沢の水や土壌や高度を活かしてさらにおいしく仕上げたものだ。

TETSU キャラメルポップコーン

食べ始めたら止まらない。実は何種類も別々の味付けをポップコーン一粒一粒にしてあって、飽きが来ないようにしているという秘密もある。お茶やお酒にも合うので、売り切れていなければ是非購入してみて欲しい一品。軽井沢ハルニレテラス 「ココペリ」で販売。

番外編:もし予約が取れたら!

一日昼か夜どちらかひと組しか入れないイタリアン「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ」の予約が取れたら是非。

この店では、基本的にイタリアの食材を使い、日本のものはあまり使わない。ある時の食事はイタリア食材98%だと小林シェフは言っていた。イタリアンを食べに来る客に提供するのだからと、そこはずっとブレない。

ぴーたんたん
夏野菜の炭焼き   出典:ぴーたんたんさん

軽井沢ならではの標高、気圧、泡立ち。この地の源泉には軟水、硬水両方があり、そこに場所を構えていることを活かした料理を作る。料理への考え方、取り組み方は相変わらず天才芸術家的。半端なく、料理に迫力がある。

代々木乃助ククル
鴨のフォアグラとポルチーニ茸   出典:代々木乃助ククルさん

その日出てくる料理にテーマ性があり、いつも食べ終わると謎解きをしてくれる。ある日のテーマは「季節が曖昧な時期で、次のチカラを出す準備の時」だった。ただ単純に食べて喜んでいる場合じゃない。食事をじっくり考える機会までをももらえるレストラン。

文:川井潤

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