〈食通の昼メシ〉

日々新しいトレンドが生まれるグルメ業界。流行りのメニューを試すのも楽しいが、毎日食べたいのは昔ながらの定番メニューだったりする。業界きっての美食家「食べログ グルメ著名人」に、毎月、一番好きな定番昼メニューの名店を教えてもらう連載。今日のランチはこれで決まり!

教えてくれる人


川井 潤
料理の鉄人ブレーン(1993年~99年)。(株)博報堂DYメディアパートナーズを退職後、現在は食品メーカー、新聞社、IT関連企業、テレビ制作会社等のアドバイザーを務める。ここ数年は、地域や食のため、料理人の地位向上のために、日本中のみならず海外にも赴き活動している。

今月のメニュー:「オムライス」

春になるとなぜか食べたくなるのがオムライス。黄色がタンポポや菜の花といった春の花を連想させるからなのか。ご飯はケチャップライスかバターライスかはたまた醤油味なんて変化球もある。卵はトロトロ系から薄焼き系、スフレ系まで表現が幅広く、ソースは王道のケチャップもいいがデミグラスも人気だ。具材もチキンに限らず、牛肉やシーフードなど自由自在。スプーンを入れる瞬間に、こんなに胸が高まる料理は、他にないかもしれない。

川井 潤、昼に最高の「オムライス」

「煉瓦亭」の元祖オムライス 1,700円(税込)

中津じう
出典:中津じうさん

本来の半熟玉子をふわっと崩して食べる「タンポポオムライス」も好きだが、その概念に当てはまらない「元祖オムライス」。ご飯ひと粒ひと粒が玉子で包まれたユニークな存在。

 

元々は明治時代に店のまかないとして食べられ、それを客が見て食べたいと言い出してから店の人気メニュー「ライスオムレツ」になったと言う話もある。いずれにしても明治からの歴史を感じつつ食べるのも楽しいし、普通ではないオムライスを食べる楽しみもある。ご飯の味はケチャップではなく塩と胡椒がベース。そこに自分の好みで定量ケチャップをつけて食べる方式。味はさっぱりとおいしい。

 

※「食べログ」に掲載されている情報をもとに、料理名・金額を掲載しております。最新の情報はお店の方にご確認ください。

 

「オムライス」のココが重要

一番好きなオムライスのソース

デミグラスソース

煉瓦亭のソースは基本ケチャップ。別の店では普通はデミグラスソースで食べる。店のオススメがあれば、その店の特徴がそのソースなのだろうし素直にそれを楽しむ。

こだわりの食べ方

食べ方というより食べるお店へのこだわりはある。玉子の半熟感、しっとり感、とかく内側がしっとりしていることが重要。もう一軒オムライスの元祖と言われる、大阪の「北極星」のオムライスにのる玉子は、表側は普通に焼かれているが内側は半熟しっとりという技もあり、それは素晴らしい。玉子のふわふわ感と味が豊かな、春日にある「レストランツムラ」も外せない。

 

文:川井 潤・食べログマガジン編集部