カウンターで旨い料理と酒を愉しむ。寿司や鉄板焼などいろいろあるけど、こと、炉端焼ってやつはカウンター越しに大きなしゃもじで提供される姿や囲炉裏風の炉が醸すカジュアルな雰囲気のおかげなのか、横並びで座るふたりの距離を自然と近づける気がします。日米首脳の外交の場に使われたりするくらいですから。麻布十番にオープンした『炉端焼このじ』は、その醍醐味をどの席でも演出してくれる“炉端焼”をアップデートした新店。

麻布十番温泉の跡地にできた、どの席でもライブ感ある炉端焼のお店

アクセスは、地下鉄・麻布十番駅から徒歩でおよそ5分。「ルネ麻布十番ビル」という建物の地下1階にあるのですが、ここ、以前は麻布十番温泉があったという、こんなTipsから初めてきた人や外国人に案内できるロケーション。

店内に入れば「『このじ』って店名……このことか!」とすぐ合点がいく、“コの字”型のカウンター席が2つ並んでいます。炉端焼のライブ感をどこに座っても満喫できる造りなんですね。

炉を囲みながら、テンポよく口に運ぶ郷土料理と焼酎の数々

「おきまり」3点。写真左から時計回りに、「平貝磯辺焼き」「刺身盛り合わせ」「土瓶蒸し」
「おきまり」3点。写真左から時計回りに、「平貝磯辺焼き」「刺身盛り合わせ」「土瓶蒸し」   写真:お店から

こちらでは、先付けにあたる「おきまり」2,500円が必ず最初にお出迎えします。「平貝磯辺焼き」「刺身盛り合わせ」「土瓶蒸し」の3品。これだけでお酒も一杯くらいは簡単に飲み終えちゃうんですけどね。

早々に満足しそうになっていると、バツグンの焼き加減でしゃもじにのって現れたのは、「まこもだけ」680円。

「まこもだけ」

ヤングコーンのような甘味が焼かれることでより引き出され、ほどよい歯応えの食感で箸が次々と口に運んでしまう。その食感や食味の割にまだまだ知られていない食材ですが、「このじ」では一年を通じて用意しているとのことで、訪れたら選んでほしい一品。

「海老芋」

根菜類でも、冬に食べてもらいたいのが「海老芋」780円。ルックスがライチのようにも見える海老芋は、食べやすく包丁をいれて提供。ねっとりしたやや粘りのある食感だけど、里芋と違って焼き色のついた皮側はジャガイモのような味とホクホク感。

「和牛串」(写真左)と「鯖串焼」(写真右)

旬の和牛を選んで焼かれる「和牛串」680円や、焼き物には最適というノルウェー産にこだわった「鯖串焼」380円といった串モノも、出来立てならではのジューシーさが味わえます。野菜などと同様に「このじ」ではひと口大にしてくれるので、お連れを気にせず上品に食べられるのがうれしい。

「のどぐろ」

で、これを食べないのはもったいないと思えるのが「のどぐろ」2,680円。皮にも香ばしい脂がしっかりとのった、風味豊かな味わいを、刻んだ大根とともに。柑橘の香りもする梅醤油をかけるのもありだけど、塩をふって焼かれたそのままでも十分。気づけばお酒のグラスが乾いているはず。

 

ワインも揃えてはいるけれど、炉端焼にはぜひ焼酎をオススメしたいと、芋焼酎を中心に約20種類を用意。このお店でしか味わえないオーストラリア産の焼酎「GOOD DAY(グッ ダイ)」など、ほかではなかなか巡り合えない貴重な焼酎も揃います。

オリジナルの焼酎でつくる名物「このじハイボール」700円(写真手前)は、オープン以来、たいていのお客さんが頼む一杯だとか。焼酎をもとに香りを足した「カルダモンビール」700円などのフレーバービールも、ぜひお試しあれ。

「銀シャリ」
「銀シャリ」   写真:お店から

焼き物に舌鼓をうったら、こちらも名物「銀シャリ」2,200円で〆るのが「このじ」の王道。福井県のお米「いちほまれ」をバーミキュラの鍋で炊き上げ、お供に、いくら、牛しぐれ煮、しらすの3種をセット。ひと粒ひと粒が噛むほどに旨味を感じられるご飯に、お供を添えたら……感動。

「ハマグリにゅうめん」

いやいや、焼酎など何杯も飲んでしまった後の〆には、こちらの「ハマグリにゅうめん」1,180円のスープが優しいのかも。2つの大きなハマグリが重なり、だしの利いた味に刻み柚子も香るのがたまりません。にゅうめんには申し訳ないですが、スープを飲むためだけにオーダーしてもいいくらい。

お客と一体感を作り出すカウンターで仲睦まじい時間

食事をする間も、旬の食材が陳列されたカウンターの向こうでジュウジュウと音を奏でながら焼き上げる姿だったりと、目に映るところからおいしいのが炉端焼。食材の選び方や順番なども気にすることもなく、料理長の松下さんは「お客さんの食事の進み具合や会話が弾む様子とかも見ながらお出しさせていただきますから」と、機微を見ておいしい頃合いでアツアツを提供。こうして、お客と料理人にも一体感が生まれるのが炉端焼のいいところ。

 

2名での利用が多いそうで、どの席でもカウンター越しで料理人さんとの会話も織り交ぜながら、カップルや会社の仲間とゆっくり食事を楽しみ、親睦を深めるなんて場に活用できそうです。

 

※価格はすべて税抜

 

 

取材・文:舘野頼正

撮影:外山温子