ご褒美メシの新定番? 「貴族ラーメン」とは

麺屋ま石の「鯛らーめん 国産うに」2,500円(税込) 写真:お店から

日本独自の進化を遂げた「ラーメン」は世界的にも評価が高く、辺鄙な場所にある人気ラーメン店の行列の中に、外国人の姿を見かけることもチラホラ。日本を代表するグルメに昇華した「ラーメン」だが最近ではさらなる高みを目指し、高級食材をふんだんに使用したため、提供価格が高騰している高級ラーメンも東京ではじわじわと人気。そんな、もはや庶民の味ではなくなった高貴なラーメンを、食べログマガジンでは「貴族ラーメン」と命名。

 

頑張った自分へのご褒美や、元気になりたいとき、給料日の後などに、お財布の紐と頬をゆるめて食べたい都内の「貴族ラーメン」を厳選してご紹介。

1. 「ウニ×鯛」寿司屋プロデュースの豪華海鮮ラーメン

麺屋ま石┃銀座

銀座にある行列店「麺屋ま石」は、鯛ラーメンの専門店。都内に海鮮系の店を展開する飲食店グループ「築地虎杖」系列の寿司屋「ま石」がプロデュースする。『出汁へのこだわりや素材同士の組み合わせ』『素材が持つ良いところを引き出す』など「“和食や寿司”と“ラーメン”には通ずるものがあるのではないか?」との思いから着想。

「鯛らーめん」 写真:お店から

がっつりしたラーメンではなく、素材本来の持ち味を最大限に引き出した「和食の延長線上にあるようなラーメンを作りたい」と、鯛だしのラーメンを考案した。

 

魚の王様と言われる「鯛」をふんだんに使い、旨味を最大限に引き出しただしは、鯛の風味をしっかりと感じるのに上品でさっぱりとしている。基本の「鯛らーめん」880円(税込)はその極上のスープに細麺がするりと馴染み、二日酔いの翌日に食べると生き返るような一杯。

「鯛らーめん 国産うに」 写真:お店から

そこへ築地虎杖のウニ専門店でも使用しているウニをのせたのが「鯛らーめん 国産うに」2,500円(税込)。北海道や青森など仕入れ状況により変わるが、国産のものを贅沢に使用。まずはウニだけを食べると、なめらかな舌触りとクリーミーな味わい。さらに鯛だしとウニを混ぜると、さっぱり上品なだしが濃厚でさらに奥深い味わいに変身。

 

さらに鯛だしの熱ですこし火が入った状態のウニを口に運べば、ぎゅっと旨味が凝縮されて、最初に食べた時とはちがったウニの表情に出合える。贅沢なだけでなく、味の変化も楽しめる一杯になっている。

2. 鴨のスープが旨味たっぷり! サイドのご飯まで抜かりなし

鴨シャブ 竹亭 赤坂店┃赤坂

夜は予算1万円以上という昭和56年創業の鴨料理専門店でいただくのは、鴨スープを使用し、鴨ロースをトッピングした「鴨らーめん」。「鴨らーめん(モモ)」1,200円(税込)、「鴨らーめん(ロース)」2,000円(税込)の2種類があるが、おすすめはロース。

「鴨らーめん(ロース)」 出典:昼からビールさん

麺はクロレラを練りこんだ極細麺。鴨のさっぱりとした味付けには、スープのよく絡む細めんがベストマッチ。具材はレアなロースが3枚、モモ肉、細切りのネギにメンマと海苔に玉子。風味づけに丹波高山方面の山椒の実を佃煮風に炊いたものがのっている。

「鴨らーめん」の極細麺 出典:bottanさん

セットの鴨ごはんは、とてもジューシーで、食べ方のバリエーションもいろいろ。そのままいただく他に、付け合せの梅干やいぶりがっこと合わせたり、スープに入れて雑炊風にしても。さらに食べきれない人への心遣いで、鴨ごはんの下には海苔が敷いてあり、店にあるラップを使っておにぎりにして、持ち帰りも可能。

「鴨ごはん」 出典:Hackeyさん

夜は鴨シャブをはじめとする鴨料理のオンパレードがいただけるらしいので、いつかは挑戦してみたい。

3. プリプリのワンタンにジューシーチャーシューのW主演

すずらん┃恵比寿

ほぼ全ての麺が2,000円超え、中には1万円を超える麺もあるという、ラーメン界のセレブリティ「すずらん」。もともとは渋谷にあった人気店だったが、恵比寿移転を機にコンセプトをより高級ラインへと変更。11席のカウンターはまるで割烹のような凜とした空気感が漂う。

店内 出典:kt6119さん

ベースのスープには大きな豚肉の塊をたっぷりと投入するが、この豚肉はチャーシューなどには転用せず、スープのだしのためだけに使用する。ラーメンスープはフレンチのコンソメを彷彿させる複雑なおいしさで、一口飲むと、ラーメンを食べているのを忘れ、フレンチのコースをいただいているような感覚になる。

「叉焼雲呑麺」 出典:浜田 岳文さん

そんな絶品のスープに自家製の細麺をあわせ、たっぷりのチャーシューとワンタンという主役級の具材がWでのるのが「叉焼雲呑麺」3,500円(税込)。何年か前は1,500円くらいで食べられたのだが、内容がグレードアップしたのか、いつのまにか3,000円超えの雲の上の存在になってしまった。

「叉焼雲呑麺」 出典:中性脂肪診断士さん

IT社長や芸能人にもファンが多く、22時過ぎの深い時間帯に訪れると、只者じゃない雰囲気の大人が幸せそうな顔で麺をすする光景が広がっていたりする。

4. 食べると出世する? 歴代総理が愛した味

オールデイダイニング「ORIGAMI」┃溜池山王

溜池山王という立地から、政財界の要人が愛用することで知られるザ・キャピトル東急ホテル内のレストラン。中でもオールデイダイニング「ORIGAMI」の「排骨拉麺 (パーコー麺)」3,088円(税込)は、歴代の総理大臣がこぞって好物としたため「出世麺」なんて俗称も。

広々とした店内 写真:お店から

パーコーには国産豚のロースを使用。一般的にはバラ肉を使用するところが多いが、こちらはしっかりとした厚みのあるロースを使用しており、ご馳走感がある。

「排骨拉麺」 写真:お店から

スープは香味野菜と鶏ガラ・豚骨を合わせてブイヨンをひいている。シンプルな食材だが、6時間前後じっくりと丁寧に火入れをすることで透き通った美しいスープに仕上げている。

「排骨拉麺 」薬味入り 写真:お店から

このパーコー麺、11時からのランチタイムでもいただけるが、21時30分~24時(L.O.23時30分)のミッドナイトタイムに夜食としても食べることができる。飲んで気が大きくなった勢いで、貴族のように優雅に〆るのもありだ。

5. オマール海老の半身がドーン! 出会えたらラッキーの限定麺

真鯛らぁめん まちかど┃恵比寿

2019年1月、恵比寿にオープンした「真鯛らぁめん まちかど」は「鯛ラーメン」の専門店。卓上にはまるごとのオリーブが入った自家製のホットオイルが置かれ、麺もプリっとしていてパスタのような食感があり、どこかイタリアンっぽい。それもそのはず。「真鯛らぁめん」は駒沢のイタリアンバーの“スピンオフメニュー”として提供したのがきっかけで生まれた名作。そしてあまりの好評から、ラーメン専門店として恵比寿で開業するにいたった。

「自家製ホットオイル」 出典: komug710さん

スープの仕込みには愛媛県宇和島産の約40kg分の真鯛をたっぷり使用。鯛ラーメンと聞いて、さっぱりとした和風のラーメンを想像していたが、スープは予想以上にトロみがあり濃厚。とはいえ、豚骨のようなガツンとした強さはなく、あくまでも魚由来なので、最後まで飲み干せるやさしい味わいがクセになる。

「真鯛らぁめん」 写真:お店から

「真鯛らぁめん」だけでも十分おいしいが、さらにオマール海老のビスクを加えたスープに、オマール海老の半身を具材にした「真鯛とオマール海老」1,800円(税込)は堂々の貴族の風格だ。この記事内では貴重な2,000円以下。金銭感覚が狂ってきて、もはや割安に感じる。

「真鯛とオマール海老」 出典:そんぶさん

ビスクが加わることで、「真鯛らぁめん」よりもさらにイタリアンな雰囲気が増すので白ワインが欲しくなってしまうかも。「真鯛とオマール海老」は数量限定なので、早めに行ったほうがいいだろう。

6. 芳醇なトリュフの香りにウットリ♡ 味変もオシャレすぎる

銀座ル・コチア┃東銀座

東銀座の歌舞伎座横を通る木挽町通りにある「銀座ル・コチア」。夜はトリュフを使ったフレンチとワインを楽しむワインバーとして営業。ランチタイム限定の「トリュフヌードル」1,800円(税込)がテレビでも紹介され、人気メニューに。

「トリュフヌードル」 写真:お店から

こちらの代名詞でもあるイタリア産の「フレッシュ黒トリュフ」をふんだんに使用。高品質な新鮮食材だから出せる芳醇な香りがたまらない。

トリュフ 写真:お店から

スープは鶏だしと野菜だしをブレンドし、麺は独自の細麺を使用。セットで鶏ムネ肉ののった「しっ鶏サラダ」とバゲット、クリームが付いてくる。

「しっ鶏サラダ」 出典:kitty18さん

「トリュフヌードル」をまずはそのまま食べ進め、途中でクリームを投入。基本のスープももちろん上質なお味だが、クリームを入れることでより高貴な味わいへと昇華する。

バゲットとクリーム 出典:saltylemonさん

さらに残ったスープにバゲットをひたして、最後の一滴まで堪能する仕組みだ。こんなオシャレな味変、いまだかつてあっただろうか……。

カウンター席 写真:お店から

店内もオシャレすぎて、ちょっと躊躇してしまうが、ランチタイムの贅沢なトリュフ体験のために勇気を出して扉を開けたい。

 

文:食べログマガジン編集部