〈今夜の自腹飯〉
予算内でおいしいものが食べたい!
食材の高騰などで、外食の価格は年々あがっている。一人30,000円以上の寿司やフレンチもどんどん増えているが、毎月行くのは厳しい。デートや仲間の集まりで「おいしいものを食べたいとき」に使える、ハイコスパなお店とは?
小関尚紀
焼肉作家。通称:YAKINIQ。お肉博士1級。MBA(経営学修士)。焼肉店には年間100店舗以上通い、焼き方を研究している。海外渡航60カ国。 焼肉好き伝説の番組 BS朝日『美女と焼肉』(2022年3月終了)の初期レギュラー。著書に『焼肉の達人』(ダイヤモンド社)、『世界一わかりやすい「ゲーム理論」の教科書』(KADOKAWA)、『「即判断」する人は、なぜ成功するのか?』(サンマーク出版)。
内臓肉のクオリティの高さが評判
JR中央線荻窪駅北口から徒歩30秒。人で賑わうバスターミナルを左手に進むとすぐに見えてくる赤い螺旋階段のある建物の2階にある「ホルモン コウ」。駅からすぐの抜群のアクセスで、東京食肉市場から仕入れる新鮮なホルモンを中心とした上質な肉をリーズナブルに楽しめる人気店だ。
小関さん
焼肉作家でもあり、サラリーマンでもあるワタクシ。2022年の冬に荻窪での仕事帰りに、たまたま同僚と寄ったのがきっかけです。上ミノにシマチョウに新鮮レバーに、とにかく内臓が新鮮で旨い。ホルモンの店名に偽りなし! 荻窪駅からもすぐだし、思わぬ穴場でした。
店内は広々としていて、グレーや木目を基調としたシックで高級感のある雰囲気。都心の店のような洗練されたかっこよさを意識しつつ、客が気軽に入りやすく心地よく過ごせる空間を目指したという。
小関さん
螺旋階段を上った2階にお店があり、清潔感のあるシックな内装で女性同士でも入店しやすく、カウンター席もあって一人焼き肉も可能です。オープンキッチンで開放感があり、店主の勢いそのままに活気を味わうことができます。最近オープンした3階の個室に2024年9月に訪問しましたが、接待でも使えます。駅近で焼肉を楽しむ環境としては抜群!
店主の徳山京介さんは、赤坂の「炭火焼ホルモンかぶん」(すでに閉店、系列店の「KABUN-CHIKA」などは営業中)で皿洗いからスタートし、9年間弱修業。
一時は家業の都合で焼肉店から離れたものの、在日韓国人である徳山さんにとってソウルフードであり大好物でもある焼肉を生業にしたいとの思いから焼肉業界にカムバック。当時はコロナ禍の厳しい状況だったが、これまでのスキルを活かし自らの力でやってみようと2022年8月に同店をオープンした。
小関さん
店主は赤坂の有名店で修業後に独立。東京食肉市場の名店、田島健次商店からの内臓仕入れにこだわりがあり、もちろん、正肉のクオリティも高いお店。とにかく最初は内臓を食べてほしいです。タンとハラミも肉厚でおいしいですが、メジャー部位以外の内臓も食べてみてください! お肉は一切れから注文できるので一人焼き肉にも最適。焼き肉通にも初訪問の人にもおすすめできます。
同店の売りは、芝浦・東京食肉市場の「田島健次商店」から仕入れる新鮮で上質な内臓肉。
店主の徳山さんは独立後、仕入れ業者を探しに無謀にもアポなしで東京食肉市場へ。「当時は世間知らずだったもので(苦笑)」と振り返るが、その熱心な姿を見て某一流内臓卸の方が「田島健次商店」を紹介してくれたのだとか。
「このお付き合いがなかったら、肉質で勝負する今のスタイルはできなかったと思います。このレベルのタンやハラミは、大金を積んでも仕入れられないので。運の良さとご縁に感謝しつつ、都心のお店でしか味わえないような質のいい肉をリーズナブルに提供する地域密着の店として、今後も長く続けていきたいですね」
これが一押し! 美しいサシと分厚さに見惚れる「和牛極ハラミ」
ステーキのような厚切りが贅沢な「和牛極ハラミ」は、肉の味にこだわる人たちが、こぞってオーダーするメニュー。
未真空(※真空包装して水で冷やし込む一般的な工程を行わず、乾燥させて下処理を行い肉の旨みを保つ方法)の上質なハラミならではの濃厚な旨みとあふれる肉汁に負けないよう、2種類の塩とごま油でしっかり下味をつけてある。
小関さん
芝浦・東京食肉市場の田島健次商店から仕入れるハラミは、サシが美しく、厚み、乾き具合と職人技が光る一品。提供されるカットも大きく、分厚さにテンションが上がります。
焼き方の基本は弱火でじっくり。表面がキツネ色になったら網の中央に移動して直火を避ける。ハサミで大きめにカットしたら、レアすぎず中にほんのりピンク色が残るぐらいが食べ頃だ。
小関さん
しっかり焼き育てたハラミは噛んでも尚、ジューシーで肉汁が溢れます。私のお気に入りの食べ方は、山葵をたっぷりとつけて豪快に噛みちぎるように食べる! 山葵と肉汁が相まって、あぁ口福。