腸活レストラン

腸は栄養を吸収する大切な器官。在宅ワークなどで運動不足になると、腸の動きが悪くなる可能性も。腸が不調になるとお肌の調子にも影響が出るので、美容にも大敵です。腸内環境を整えるなら、食事から改善するのが一番！ おいしいレストランをめぐって、贅沢な腸活はじめませんか？

Vol.7 ebisu NUKA factory.

「恵比寿ぬか漬け」をテーマとした専門店。定番の野菜だけでなく、お刺身や牛タンといった食材もぬか漬けにして、よりおいしく、よりヘルシーに。日本ならではの伝統を発展させた、革新的かつ健康的な食文化を発信しています。

ぬか漬けの常識をひっくり返すアーバンスタイルの専門店

江戸時代から全国各地に普及していたぬか漬け。精米の際に出るお米の種皮や胚、つまり「ぬか」を菌床にして漬物を作る文化です。腸内環境を整える善玉菌の代表格、乳酸菌を豊富に取り入れることができるため、ここ数年続く腸活ブームでも注目度が高まっています。そんな「ぬか漬け」を最大限に活用する健康和食の創作料理店が「ebisu NUKA factory.」。

料理長である平岡佑一さんは、父方も母方も代々続く料理人の家系。京都の祇園にある料亭で生まれ育ち、上京してからもミシュラン星付きの和食店「花のれん 花楽」などで技を磨いてきました。学生時代は陶芸を専攻していただけあって、お店で使用している器も作家性の高い美しいものばかり。

扱う食材も上質ですが、立ち呑み席を設けるなどお店は気が置けない雰囲気。ボトルキープをするように、自分だけの「マイぬか床」を取り置きできるサービスもあり、ふらりと立ち寄れる地域に根ざしたコミュニティースペースになっています。名物を一通り味わえるおまかせ（プレミアムお食事）コースが5,000円。飲み放題プランなども用意されており女子会人気も高いそう。

干し椎茸や昆布といった旨みのもとをはじめ、ニンニク、唐辛子、山椒の実などを混ぜ入れて丹念に仕込んでいるお店自慢の「ぬか床」。ミネラル分が21種類と世界一多彩なことでギネスブックにも認定されている沖縄産の塩「ぬちまーす」を使用しているのもポイントです。一般的な食塩に比べて塩分濃度が75％ほどであり、塩分過多になりがちなぬか漬けの懸念点をカバーしています。

彩り豊かで健康的、味わいにも優れる。三拍子そろったぬか漬け料理

ぬか漬けのおいしさをシンプルに楽しむなら野菜の盛り合わせが定番。素材に合わせてボイルをする、細かい穴を開ける、カットを変えるなど、きっちり24時間ぬか床に漬け込んだ際に、最もおいしい仕上がりになるよう調整されているそう。適度に水分が抜けており、食感は絶妙な柔らかさ。乳酸発酵による香り、心地よい酸味、力強い旨みが、野菜の魅力を引き立てます。

うずら、オリーブ、コンテチーズなど、その日おすすめの変わり種が彩り豊かに盛り付けられたセット。旨みが増しつつ柔らかくなった鮭とばなど、それぞれの素材がぬか漬けによりおいしく変化しているのが面白いです。

とくに印象的だったのが96時間ぬか床に漬け込んだ鴨ロース。鴨肉らしい旨みが強調されながら、口当たりはチーズのようになめらか。プロテアーゼ（タンパク質分解酵素）やリパーゼ（脂肪分解酵素）など、さまざまな分解酵素（タンパク質や脂肪などの栄養素は分解酵素によって消化され、体に取り込まれる）が含まれているというぬか床により、旨み、食感、香気が複雑に変化していることが感じられます。

お肉とピクルスを合わせるハンバーガーから味の着想を得たというサラダ。50種類以上の野菜から抽出した酵素エキス入り自家製ドレッシングで味付けしており、お肉たっぷりながらお腹にも優しそう。豚肩ロースはぬか床に24時間漬けた後で4時間ほど真空低温調理しているという、その手間ひまのかけ具合もすごい。

この日のお刺身は、風物詩であるサワラをはじめ、淡路島産の桜鯛や本マグロの中トロを盛り合わせた春らしさ満開の一皿。鮮度の良い刺身特有の弾力ある食感ですが、長時間熟成された強い旨みも感じます。

その秘訣は、麦味噌を加えたぬか床に、あえて片面だけ24時間漬け込んでいること。これによって臭みは抜け、旨みは倍増し、身は引き締まる、まさに良いことずくめ。生魚には腸のエネルギー源となるアミノ酸の一種、グルタミンが豊富に含まれており、腸活の効果も期待できますよ！