お菓子の歴史を語らせたら右に出るものはいない! といっても過言ではない、お菓子の歴史研究家・猫井登先生が、現在のトレンドを追いつつ、そのスイーツについて歴史を教えてくれちゃうという、一度で二度おいしいこの連載。第32回は、東京の有名店出身のパティシエによるスイーツ店が多くある、埼玉・浦和&さいたま新都心エリアのスイーツスポットを紹介します。後編は、お団子・ケーキ・プリンが登場!

【猫井登のスイーツ探訪32・後編】埼玉・浦和〜さいたま新都心のスイーツショップを巡る

【4軒め】「ときわだんご」

 

食べログマガジン編集部

後編のトップバッターは、お団子屋さん! 浦和駅前「コミュニティプラザ・コルソ」という商業施設の1階にあるので使い勝手が良さそうですね。

 

猫井先生

「ときわだんご」は、明治8(1875)年創業、老舗中の老舗です。浦和駅ができたのが1883年だと言われていますから、駅より古いお店ですね。元々は、旧中山道沿いにお店を構えていましたが、駅ができたので、こちらに移転しました。

 

食べログマガジン編集部

「浦和名物 元祖ときわだんご」とありますが、一体どんなお団子なんですか?

 

猫井先生

百聞は一見に如かずなので、お店に入って頼んでみましょう。

「ときわだんご」650円
 

食べログマガジン編集部

うわぁ! すごいボリューミー!

 

猫井先生

ときわだんごは、米粉で作った無添加のお団子に、きなこ、こしあんをまぶした2種類のだんごとなります。見た目よりもあっさりとした甘さです。こちらは、お持ち帰りも可能ですよ。

持ち帰り用「ときわだんご」500円
 

食べログマガジン編集部

素朴な感じがほっこりして冬にぴったりですね。ほかのメニューも気になります!

「抹茶クリームあんみつ」830円
 

猫井先生

甘味処では「抹茶クリームあんみつ」が人気ですよ。こちらもあっさりとした味わいに仕上げられています。黒蜜の甘味と、抹茶アイスのほろ苦さが合わさって、バランスの良い一品です。

【5軒め】「アングランパ」

 

食べログマガジン編集部

お次はさいたま新都心駅にやってきました! そしてお目当てのお店には行列ができていますね。

 

猫井先生

今日はまだ少ない方で、前回来たときは20名以上が並んでいました。来られるなら、平日の早めの時間の方がいいですね。

 

食べログマガジン編集部

「食べログ スイーツ EAST 百名店」にも選出されていて、かなり人気のお店なんですね。店名はどういう意味があるんですか?

 

猫井先生

フランス語で「偉大なる一歩」という意味ですね。オーナーの丸岡シェフは、埼玉県の出身で、高校卒業後、実家のケーキ店で働き、その後、東京・等々力「オーボンヴュータン」で9年間修業され、渡仏。フランスではパリの「ストレー」やバスク地方のお店などで修業されます。帰国後は、川口にあった「オーベックファン」でシェフパティシエとして3年間勤務され、2013年にこちらのお店をオープンしました。

 

食べログマガジン編集部

オーボンヴュータンと言えばフランス菓子の名店ですし、パリ最古のパティスリーと言われるストレーでも研鑽を積まれたのですね! たしかに店内のショーケースにはフランスの伝統菓子が多く並んでいますね。

「ガトーバスク」486円
 

猫井先生

こちらのお店に来たら、まずは、シェフが一番思い入れがあると度々語られている「ガトーバスク」をチェックしておきましょう。フランス・バスク地方の伝統菓子で、フランス産のグリオットというサクランボのジャムをクッキー生地で挟んだものです。元々このお菓子が大好きで、バスクまで修業に行かれたそうです。こちらのお店のものも、生地のバターとアーモンドの芳醇な味わいとジャムの甘酸っぱさがよくマッチし、奥深い味わいですよ。

 

食べログマガジン編集部

こんがりした焼き色が食欲をそそりますね〜。ほかにも特徴的なお菓子が色々ありそうですね。

 

猫井先生

ビジュアルも面白いのは「ガトーピレネー」でしょうね。フランス・ピレネー地方の伝統菓子で、バウムクーヘンの祖型のひとつとも言われているお菓子です。オーボンヴュータンでも作られていて、シェフが修業時代に最初に任されたお菓子だったそうです。生地には、アーモンド、ヘーゼルナッツのほか、レモンピールも入っていて、レモンがほのかに香ります。

「ガトーピレネー ミニョン」
 

食べログマガジン編集部

本物の切り株みたいですね!

 

猫井先生

芯棒に生地を垂らしながら焼いていきますからね。何回も生地を重ねていくことで、断面が独特の年輪模様になっていきます。

 

食べログマガジン編集部

生菓子も気になります。

「オペラ」432円
 

猫井先生

まずは伝統的なところで「オペラ」がおすすめです。コーヒークリームとチョコレートクリームを層にしたケーキですね。濃厚な味わいのクリームに負けないように、ふつうのスポンジ生地ではなく、アーモンドパウダーを混ぜたジョコンド生地を合わせるのが特徴です。

 

食べログマガジン編集部

オペラのしっとり&もっちりな食感ってたまらないですよね〜。伝統的なお菓子に対して、新しいタイプのケーキも知りたいです!

「シエル ディ ヴェール」540円
 

猫井先生

まずは「シエル ディヴェール」です。ホワイトチョコのムースとピスタチオのクレームブリュレ、ベリーを組み合わせたものです。ホワイトチョコの甘味、ピスタチオの旨味、ベリーの甘酸っぱさの取り合わせが絶妙です。

 

食べログマガジン編集部

最近ピスタチオのスイーツが流行ってますしトレンド感ありますね!

「フロマージュ クリュ」454円
 

猫井先生

レアチーズケーキが好きな方におすすめなのが「フロマージュ クリュ」。レアチーズに赤い実のジュレを合わせたものです。サブレの土台に塗られているのは、アプリコットジャムでしょうか。その上に甘酸っぱいジュレの層を入れたレアチーズケーキ。酸味は控えめで、なめらかな食感。口の中で、さぁっと溶けていきます。

 

食べログマガジン編集部

見た目も可愛いですね〜。冬っぽくて今の季節にもぴったりですね。

「ランドヌール」540円
 

猫井先生

最後にもうひとつ「ランドヌール」。ライムムースとホワイトチョコのクレムー、ヴェルヴェンヌの香りを組合せ、ライムの酸味を利かせた爽やかな味わいの一品です。ヴェルヴェンヌは、レモンの香りがするハーブの一種で、リラックス効果もあると言われていますね。

【6軒め】「カフェ ザ ブーケ」

 

猫井先生

お待たせしました! 最後は、日本で二番めにプリンを買っている市民が多いさいたま市らしく、さいたま新都心のプリン屋さんで締めましょう。こちらのプリンは、保存料などの合成添加物を一切使用せず、選び抜かれた材料を使用しているのが特徴です。大自然の中で漢方処方の飼料で育った鶏から生まれる「那須御養卵」、高品質の「低温殺菌牛乳」「マダガスカル産のバニラ」をはじめとした、新鮮でおいしい食材を使用しています。

 

食べログマガジン編集部

店名がお花屋さんっぽい雰囲気がありますが、なぜ「ブーケ」と付くのでしょうか?

 

猫井先生

「ブーケ」は、スワヒリ語で「蒸気」という意味らしいですよ。こちらのプリンはすべて蒸して作っているんです。蒸すことでなめらかな食感と食材の栄養価を損なわず、おいしさを最大限に引き出そうとしているそうです。

 

食べログマガジン編集部

なるほど〜蒸しプリンなんですね。フレーバーも色々あるようですね。

「ブーケプリン」430円
 

猫井先生

まず押さえておきたいのは、基本の「ブーケプリン」でしょうね。なめらかでとろけるような食感の生地で、マダガスカル産の芳醇なバニラの香りが広がります。カラメルと一緒に食べると香ばしい香りと甘みが加わりますが、甘すぎず後味すっきりで、素材の味わいを活かした王道のプリンですね。

 

食べログマガジン編集部

王道のプリンの味って安心しますよね。

「ブーケクラシックプリン」450円
 

猫井先生

ブーケプリンと比べて試していただきたいのが「ブーケクラシックプリン」です。こちらはマスカルポーネチーズを使用し、コクのある味わいに仕上げられた、かための食感のプリンです。

 

食べログマガジン編集部

不動の人気のかためプリン! フレーバー系はどうですか?

「ベリーベリーベリー」480円
 

猫井先生

フレーバー系では「ベリーベリーベリー」がおすすめです。ストロベリー、ラズベリー、ブルーベリーの3種のベリーにヨーグルトを加えて苺のプリンと合わせた、甘酸っぱい味わいのプリンです。もうひとつ、和風なら「抹茶」もおいしいですよ。愛知県西尾市産の高品質で深みのある味わいの抹茶を使用した和プリンです。

「抹茶」450円
 

食べログマガジン編集部

いろんな種類があって選ぶのも楽しいですね。さすが、プリン王国さいたま※!

※ 総務省統計局が行っている「家計調査」2018年~2020年の3カ年の平均支出ランキングによれば、さいたま市はプリンに1年間に平均2,109円使っており、都道府県庁所在市及び政令指定都市の中で第1位となっている。

※価格はすべて税込です。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

※本記事は取材日(2021年11月15日)時点の情報をもとに作成しています。

撮影・取材:猫井登

文:猫井登、食べログマガジン編集部