背の高いグラスにアイスクリーム、フルーツ、生クリームなどをぎっしり。フランス語で“完全な”という意味を持つパルフェが語源となり、英語圏でパフェ=完全なデザートに進化し、日本に伝わったとされていますが、こと東京でフルーツパフェを探そうとすると、何故か下町に行き着くという不思議体験をしたことがある人も多いのでは?

日本橋、神田、浅草などの城下町は、昔から続く洋食レストランや喫茶店が軒を連ね、ハイカラな物を好む人が多く集まる土地でした。下町と果物の関係もまた古く、明治20年には既に、フルーツパーラーの前身となる果物食堂が創業されているのです。サービス精神旺盛な江戸っ子の手によって作られるパフェは中身のボリュームも多く、人情味たっぷり。そういった地域の特性が、フルーツパフェ文化の発展を後押ししたのではないでしょうか。

今回は、そんな歴史ある下町エリアで味わえる、美味しくてビタミンたっぷりのフルーツパフェを紹介したいと思います。

アイスクリームも自家製!果物屋が創業した行列のできる人気店「フルーツパーラーゴトー」(浅草駅)

浅草・花やしきのすぐ近く。昔ながらのお店が立ち並ぶアーケード街で、午前11時の開店前から連日行列ができるほど人気の「フルーツパーラーゴトー」。1946年創業の果物屋が開いたフルーツパーラーである同店は、とにかくメニューが豊富。通常メニューとは別に、その日の日付が入った日替わりメニューがあり、いつも新しい味に出会えるのが嬉しい。しかも、パフェに使うソースからアイスクリームまで全て自家製という徹底ぶりなのです。

 

 

夏季限定の「宮崎産の完熟マンゴーのパフェ」1,980円。グラスの上で咲き誇る美しきマンゴーの大輪にうっとり。勿体ない……と思いつつ、花びらのごとき一片を一口含むと溢れ出るのは果汁、果汁。さらにスプーンでグラスの奥へと進んでいくと、黄金色をしたアイスクリームがひょっこり顔を出します。

 

 

こちらのアイスクリームも、もちろん自家製で、宮崎産の完熟マンゴーを使用。また、マンゴーの産地は、初夏までは宮崎産、以降は千葉産のマンゴーに切り替わります。果実とは思えぬほど糖度が高く、夏の暑さで疲れた体に染み入る甘さです。

 

 

「本日のフルーツ」830円。その日によって異なるフルーツの組み合わせを楽しめる日替わりパフェ。取材当日のフルーツは、バナナ・パイン・すいか・ぶどう・2種類のキウイ・グレープフルーツ・オレンジの豪華7種類。フルーツの中に隠れたアイスクリームは、ノスタルジック気分を味わえるミックスフルーツジュース味。もちろん元となるミックスフルーツジュースも自家製という裏切らなさ!グラスの底に溜まったグレープフルーツのソースに到達する頃には、「おかわり」の4文字が頭を過ることでしょう。

大きめカットのフルーツ山盛り!旧神田青果市場の名残ある「フルーフ・デゥ・セゾン」(末広町駅)

秋葉原の喧騒を背に東京メトロ・末広町駅方面に進んで行くと、路地裏に緑いっぱいの外観が目印。1995年より旧神田青果市場近くの自宅でフルーツパーラーを開業した同店は、今年4月にリニューアル。1階のみだった店舗を2階にも拡大し、より多くの人が足を運びやすくなりました。同店の特徴は、何と言っても青果卸売店直営ならではの太っ腹なフルーツの量。また、パフェの他にも、焼き立てのクロワッサンサンドをメインに、お皿にてんこ盛りのカットフルーツが付いてくるサンドセットも人気で、のんびり過ごせるフルーツパーラーの代名詞のような存在です。

 

出典:shelahさん

 

季節によって中身が変わる「フルーツパフェ」1,800円。低めのグラスに隙間なく詰まったフルーツの密着度は迫力満点。上部の大振りなフルーツを平らげると、イチゴやメロンのアイスクリーム、季節のシャーベットのひんやりゾーンに突入。さらに、その先には小さめにカットされたフルーツがみっちり。一日分のビタミン摂取はこの一皿で十分でしょう!

 

出典:まりあてぃーたいむさん

 

7月頃からメニューに登場する、毎年大人気の季節限定「桃パフェ」1,500円。甘く柔らかい桃に囲まれるように桃のジェラートがあり、食べ進めるとその下からバニラアイス、フローズンヨーグルト、歯ごたえの良い角切りの桃が登場。桃の品種は、白桃の場合も黄桃の場合もあり、産地に合わせてその時季に一番美味しい桃が使用されます。「今日の桃は何かな?」とウキウキしながら店へ向かうのも楽しいですね。また、お店の公式サイトでもオススメメニューなどを紹介しています。

 

五感を刺激するビジュアルパフェ「フルーツカフェ フルータス」(門前仲町駅)

「門前仲町駅から数分歩いて路地に入り、行列が見えたらそこがフルータス」と言っていいほど、平日・休日問わず行列の絶えない店としてデザート好きの間で有名な同店。その人気の秘密はなんといっても、高く、美しくそびえ立つ芸術作品のようなビジュアルのパフェ。もちろん味も抜群で、産地を厳選した高級フルーツの販売店も兼ねた同店ならではのゴージャスな味わいで口福いっぱいになれちゃいます。また、一番人気はパフェですが、フルーツサンドが美味しい店としても有名で、メニューに迷った挙句両方頼んでしまうという人も多いとか。

 

出典:*あんこ*さん

 

パフェと金柑の組み合わせが見た目にも新鮮な「柑橘パフェ」1,890円。バニラアイスを取り囲むように張り付いた金柑、グラスの中間では日向夏、せとかなど、その時季旬の柑橘類がアナタを待ち構えています。皮ごと食べられる金柑は甘みが強く、アイスと同時に口中に含むとバランス最高。

 

出典:くれまかたらなさん

 

「シャインマスカットのパフェ」2,100円。生クリームとバニラアイスの座布団の上に、鎮座するひと粒のマスカット。その下にはさらに10粒以上は入っているであろう歯ごたえのあるマスカット、ぷるんとしたゼリー、最下部には紫ぶどうのシャーベットがぎっしりと詰まっています。このパフェのトキメキを家に帰ってからも思い返したい! インスタに投稿して自慢したい! という人は、食べてしまう前にカメラに収めることをお忘れなく。

下町に美味いパフェあり

古くからフルーツとの縁が深く、かつては青果市場があり、果物屋を営む商店が多かったなどの背景からも栄えた下町のパフェ文化。この夏は、ビタミン豊富でヘルシーな美味なるフルーツパフェを求めて下町散策という休日を過ごしてみてはいかがでしょうか。