出世ごはん
デキるビジネスパーソンはこんなお店で食べている! 元銀座のホステス&開運アドバイザーの藤島佑雪が、かつての同伴その他の経験から見極めた「出世する店」を「おいしい理由」とともにご紹介!
No.45 実力派キワモノラーメンから、頭ひとつ抜きん出る秘策を学ぶ
実力が拮抗しているなかで、頭ひとつ抜けていくって難しいですよね。ホステスだって、自分ではちょっとモテてきたつもりでも、全国からいい女が集まってくる銀座のクラブはモテる女の甲子園ですから、そのなかでお客さまを掴んでいくのは大変! なので、それぞれ確固としたキャラを立たせていくことがすごく重要になっていくんですね。でも、どうする? 美しいのは当たり前、おしゃべり上手&聞き上手だって当たり前。お色気系、清楚系、お母さん系、女王さま系……。考えられる“系”は出尽くしているとなったら、もうキワモノ目指すしかない! なんてこと、ありますよね? でも、あっと驚くような個性だからこそ、インパクト大な結果を残すこともできるんです。悪く転ぶ可能性も否めませんが、実力派が揃う環境で勝ち進むには、伸るか反るかのチャレンジに挑むこともときには必要になる。
今回は群雄割拠のラーメン界において、おいしいことは大前提に、キワモノ・チャレンジに挑んで見事、出世を遂げられた3店をご紹介申し上げたく存じます。
先陣をきるのは、町田の「パパパパパイン」。だって「パパパパパイン」ですよ!? 「パパパだっけ? パパパパだっけ?」って、パの数が多すぎて、店名だっておぼつかないんです。でも、強烈ですよね? 看板に「パイナップルラーメン屋さん」と書いてあるから、ラーメンなんだってわかりますけど、パイナップルがだいぶ主張してますから、ジュースとかパフェとかそっち系のお店なのかなと勘違いされてもおかしくない外観ですし、ちゃんと「ラーメン」と認識したところで、パイナップルラーメン? って感じですよね。酢豚のパイナップルが許せないひとも多いですから、拒絶反応を起こす方もすごく多いはずなんです。なのに、勝負をかけたわけですよ。こちらのオーナーさんは。その勇気に感服してしまいます。代表メニュー、海老の香味油で風味づけした「パイナップル海老塩ラーメン」は甘く煮たパイン、パイン風味の黄色い煮玉子などの具に、パイン果汁がたっぷり入ったスープ。想像しにくいスペックながら、単なるキワモノで終わらず、「めちゃくちゃ個性があって、味は意外に正統派でおいしい」一杯というところに着地してるんです。
二子玉川の「鮎ラーメン」さんもすごいですよね。鮎なんて、高級割烹とかで出てくる和のエレガント素材を、ラーメンという庶民派筆頭の料理にぶつけてくるわけですから。しかも、オープンした2002年は今みたいに「なんでもあり」な雰囲気が薄い時代。しかも、新宿・渋谷みたいにキワモノが受け入れられやすそうな街じゃなく、ハイソで保守的なイメージのニコタマでやろうっていうんですから、大したものです。初めていただいたときは、本当に衝撃的でした。やられました。炙った一夜干しの鮎が丸ごとラーメンにのってますから。スープも鮎出汁で、限りなく上品。わたくし、夏場はあちこちの料亭や割烹で鮎をいただきますが、負けてません!
そして、渋谷は「吉法師」さんの青いラーメン。いえね、こちらは普通に鶏白湯とかやってらっしゃるんですよ。で、鯛白湯みたいな、ちょっと変わり種もやっていて、どれもお上手。もともとおいしさで安心感のあるお店なんです。そんなお店がついにやってくれましたよね。「鶏清湯(とりちんたん) 青」なんて、食べ物に見えることすら捨ててるルックスですから。だって、こんな中国・九寨溝の五彩池みたいな色味のスープってある? って感じなんですよ。ところが、この透明感のあるブルーのスープはちゃんと鶏ガラで、スッキリとした味わい。しっとりした鶏チャーシューといい、絶妙な塩梅なんです。
同じくらいのおいしさなら、このくらいハジけてる方が印象に残りますし、一度、キワモノでいく覚悟を決めれば、胆力が養われます。実はそれこそが出世の種。その先が大きく変わっていくことと存じます。