【カレーおじさん \(^o^)/の今月のカレー】1月を振り返る

2019年1月は、福岡のカレーイベント、フードコートの本格的インド料理、行列店の限定メニュー、テイクアウト専門店に生まれ変わった名店というラインアップでした。

 

ひと口にカレーといっても、様々なスタイルのお店があり、様々な方向性の美味しさがあります。ここ数年でカレーの多様性がさらに広がっているように感じているのですが、カレーのみならず他のカルチャーと融合したカレーイベントが増えてきそうな気配もあり、ますますカレーから目が離せない一年になりそうですよ!

【第1週のカレー】会場は新カレー都市“福岡”!カレーと音楽を愛する人が集うイベントをレポート

全国的にカレー文化が盛り上がっている中、福岡でも音楽好きな若者達の間で特にその文化が進化し、育ってきています。今回は、そんな福岡で昨年末に開催された2日間に渡るカレーと音楽のイベント「Spicy Journey」についてまとめてみたいと思います。

 

初日に出店したカレー店は、福岡から前回に引き続きパキスタンカレーの名店「ハラールフードマルハバ」、実店舗開店に向けて昨年12/21に惜しまれつつカレー営業を休止した間借りスリランカカレーの「オーラス」、中心地から離れた秋月にありながら全国各地に熱心なファンを持つ和風南インド料理の「月と亀」。

 

ハラールフードマルハバの「マトンビリヤニ」1,000円

オーラスの「スリランカカレープレート」900円

月と亀の「筑前インド丼&ラッサム」800円

 

そして大阪・阿倍野で連日行列の大人気個性派間借りカレーの「堕天使かっきー」、最後に東京・幡ヶ谷にあり、2019年2月から大分・別府に新店舗もスタートする重ね煮カレーの名店「青い鳥」という個性豊かな5店舗。

 

堕天使かっきーの「鯛出汁と鶏キーマの二層カレー」800円

青い鳥の「重ね煮鯖ココナッツカレーと豆カレー」1,000円

 

そして2日目は堕天使かっきー、青い鳥のカレーに、福岡六本松の独創的オリジナルカレー店「moritoneri」の副菜が加わるスペシャルあいがけカレーが提供されました。これだけ見てもカレーがいかに幅広いものかわかると思います。

 

「スペシャルあいがけカレー」1,000円

 

イベントは連日スタート前から大行列の人気。BGMは常に福岡で活躍するDJ達が入れ替わり立ち替わり、カレーに合う音楽をスピン。これがまた心地良く、カレーの美味しさを引き立てていました。

 

音楽で会場を盛り上げるDJ

 

初日の客層はカレーマニア、そして福岡で既にお店を運営しているカレー店のシェフやオーナーが多数来場し、福岡カレー界においてこのイベントの注目度の高さを感じました。2日目は若くておしゃれな女性の割合が高く、マニアではない若者達の間でもカレー文化が確実に盛り上がっていることを証明してくれました。

 

福岡、本当にカレーの名店が多い町です。カレーを食べるためだけに行って損の無い町。全国のカレー好きに福岡カレーの今を体験してほしいと思います。

【第2週のカレー】ショッピングモールのフードコートで食べられる本格インド料理!?

カレーといえばインド。しかし、インドは非常に広い国です。同じインドでも北部と南部では料理もかなり違うということを、カレーがお好きな方ならご存じかと思います。

 

昭和時代のインドカレーといえば、ほぼ北インド料理、あるいはネパール人が北インド料理を模して作ったカレーが多かったのですが、21世紀に入ってから南インド料理のお店もどんどん増えてきています。とはいえ、やはり一般的にはインド料理といえば“バターチキンとナン”というイメージが強いのではないでしょうか。

 

話は変わって、フードコートについて。フードコートといえば客層の多くは家族連れであることなどから、大衆受けする飲食店が入っていることが多いですね。ところが八王子近くの豊田駅からすぐにあるイオンモールのフードコートには、完全にマニア受けなインド料理店があるのです。

 

店名は「アナス ドーサ ビリヤニ」。品川や六本木などに展開している、通称「ケバブビリヤニ系列」のお店です。

 

フードコート内にあるアナス ドーサ ビリヤニ

 

豊田のお店はドーサビリヤニということで、看板メニューがドーサという南インドの甘くないクレープ的な軽食と、ビリヤニというスパイシーな炊き込みご飯。ビリヤニに関しては、昨年大流行した映画『バーフバリ 王の凱旋』の主演俳優の好物としても話題となり、マニアじゃない方にも認知が高まってきている料理ですが、ドーサというとまだまだ知る人ぞ知る存在でしょう。それをフードコートで出すとは驚きです。

 

食べてみればさらなる驚き。フードコートとなると様々な制約があり、思うようなキッチンを準備できないことが多いため、料理のレベルが多少なりとも下がってしまいがちな中、こちらのお店は他の系列店とほとんど変わらないハイクオリティの美味しさなのです。

 

「マサラドーサ」と「マライティッカ」(写真右上)

 

「マサラドーサ」850円は、スパイシーなポテトを豆や米の粉で作ったドーサで包んだ料理。これに、サンバルという南インドの野菜カレーとココナッツチャトニを合わせていただきます。こちらのサンバルは豆豆しく、食べれば野菜の美味しさがじんわりと身体に染みわたっていきます。

 

「マライティッカ」100円もジューシーでこの値段にしてこの美味しさは凄い! 一般向けにバターチキンカレーとナンのセットもあるのですが、ここでは是非ともドーサとビリヤニを食べてみてほしいですね。食に関して冒険をする人は少ないのかもしれませんが、冒険し甲斐のある美味しさです。

 

 

「ラムビリヤニ」850円は、スパイスが羊肉の臭味を消して旨味だけを引き立て、パラパラのバスマティライスは香りも良く、食べ始めるとスプーンが止まりません。ライタという甘くないヨーグルトサラダをかけて食べればさっぱりとした美味しさに変化。ヨーグルトをご飯にかけるというと違和感を覚えるかもしれませんが、騙されたと思ってかけてみてください。本当に美味しいですから。

 

フードコートで本格的な料理。これをきっかけにインド料理の奥深さに気づく人が増えていくと良いなと思います。

 

【第3週のカレー】カレーおじさんがこっそり伝授!期間限定の裏メニューとは?

僕がカレーをこれだけ食べ続けているのは、美味しいということもあるのですが、それと同時に、カレーに携わっている人が個性的で非常に面白い方が多く、そんな人達と交流できる楽しさがあるからという理由もあります。料理には人柄が表れるとはよくいわれますが、個性的なカレーを作る方にはやはり個性的な方が多いです。

 

「カレーノトリコ」外観

 

カレー界には特に個性派シェフが多いように感じているのですが、「カレーノトリコ」の店主もその一人。何しろ自称「気難しいクソ店主」! オリジナルTシャツにもそのキャッチフレーズが大きく書かれているのですからその一癖も二癖もある感じ、わかっていただけるでしょうか?

 

オリジナルTシャツには「気難しいクソ店主」のキャッチフレーズ

 

そもそもカレーとは、クセのあるスパイスを調合して美味しいものに仕上げる料理。シェフにもクセがあってこそ美味しくなる場合も少なくありません。カレーノトリコもまさにそんなカレー屋なのです。

 

基本のカレーはスープのようにサラサラ。ここにスパイスの香りと様々な食材の旨味がしっかりと蓄えられています。あいがけにするとご飯の上にのるドライカレーにはまろやかな美味しさと食感の楽しさが同居。ドサっとかけられたカスリメティの華やかな香りがその個性を強調しています。

 

そこに加える具を何にするか、トッピングをどうするか、そして辛さをどう変えていくかで自分好みに変化させていく楽しさがあるのです。

 

「鯖味噌あいがけ+エビ」1,700円

 

レギュラーメニューも美味しいのですが、僕がカレーノトリコで圧倒的におすすめなのが期間限定の「鯖味噌あいがけ」1,500円。ただでさえ美味しいカレーに、鯖味噌の甘味と旨味が加わることによって、その美味しさがより立体的になるのです。これに野菜を加えるか、海老を加えるか、あるいはさらにパクチーを加えるか。

 

トッピングのエビの歯ごたえがアクセントに

 

辛さは辛め推奨です。初訪問の方は辛さの上限があるのですが、ポイントカードを作れば次回から前回の辛さのさらに上を頼めるようになるので通い甲斐もあります。辛いのが好きな方なら最初の上限10で頼み、以降10刻みでどのくらいが合うか確かめていくのが良いと思います。

 

ちなみに僕はレギュラーメニューで20~30。鯖味噌の場合は甘味がしっかりしているので40~50くらいで注文します。

 

「鯖味噌あいがけ+野菜、パクチー」1,800円

 

鯖味噌は2月いっぱいまで提供予定とのこと。ただ気を付けないといけないのは、店内メニューにないということです。このあたりも店主さんの遊び心というか、常連さんへのサービスというか。もちろん初訪問のお客さんでも頼めるので、メニューに無くとも「鯖味噌あいがけ!」と頼んでみてください。

 

僕も鯖味噌の時期になると何度も通わずにはいられない、大好きなカレーです。

 

【第4週のカレー】テイクアウト族なら知っておきたい持ち帰りカレー専門店

飲食店を続けるのは本当に大変なことです。美味しければ良いというものでもなく、美味しいのに様々な理由で閉店してしまうお店がどんなに多いことか。

 

様々な理由がありますが、体調不良や疲労による閉店というのは本当に悲しいことですね。特にカレー作りは仕込みに非常に時間がかかる激務ですから、しばしばある理由のひとつなのですが、あるひとつの名店もそんな理由からあわや閉店というピンチに立たされました。

 

「京橋屋カレー」入り口

 

「食べログ カレー 百名店 20172018」にも名を連ねる、まぎれもない名店「京橋屋カレー」。こちらのお店は行列もできる人気店だったのですが、店主さんが煙草の有害物質による化学物質過敏症にかかってしまい、喫煙者はもちろん非喫煙者でも煙草の煙に触れた方がお店に入ると、痛みや腫れや痺れなどの様々な症状が出るようになってしまったそうです。

 

客商売ですから様々なお客さんが来ます。煙草全面禁止というルールを設けたにもかからわらず、吸った後にお店に来た方がいたりすると体調が急変。営業がままならなくなったこともしばしばあったそうです。お店の存続についても悩まれたそうですが、根強いファンの応援もあってテイクアウト専門店として生まれ変わりました。

 

テイクアウトカレーの待ちスペース

 

会員制でもあり、会員になると店内で食べることもできるのですが基本的には会員の受付は既に終了しております。しかし、テイクアウトなら喫煙者でも食べることができるのです。

 

 

「トリプルカレー」

 

小麦粉を使わず、無添加素材を厳選し、スパイスとハーブで仕上げたカレーはどれも絶品! 「辛口伊達鶏カレー」は、ストレートにパンチのあるスパイシーな美味しさ。

 

キーマの山が食欲をそそる

 

「キーマ」は、カルダモンの香りが印象的でジューシーな美味しさ。「ときえカレー」は、鶏とキャベツと海老をハーブで見事にまとめたオリジナリティー溢れる美味しさ。「ツインカレー」1,600円にしたり「トリプルカレー」2,300円にしたり、合わせて食べればさらに楽しく美味しく健康的です。

 

テイクアウト用の「ツインカレー」

 

また、テイクアウトならではの良さもあります。テイクアウトするとご飯の美味しさがかえって引き立つんですよ。買ってすぐ食べて良し、少し時間を置いてもまた違った良さが生まれ、もちろん温めなおしても美味しい。これだけ手間暇と愛情をかけて作ったカレーですから、どのように食べても美味しいのです。

 

食後にぴったりなアイスクリーム「濃口ラムレーズン」

 

デザートの自家製アイスクリーム「濃口ラムレーズン」500円も最高です。美味しいカレーの後の美味しいアイス。何という多幸感! こちらのアイス、現状テイクアウト不可なのですが、リクエストも多いそうで今後テイクアウト可能になるかもしれないそうです。これは嬉しい!

 

名店度合にはむしろ拍車がかかってきた感もあるくらい。カレー好きならわざわざ電車に乗って買いに行っても損はありませんよ! この美味しさを絶やしてはなりません。

 

※価格はすべて税込

 

取材・文:カレーおじさん\(^o^)/