【食べペディア】江戸時代からの伝統を受け継ぐ秋の訪れを告げる日本酒『ひやおろし』

 

「ひやおろし」とは、秋になってから出荷する日本酒のことである。江戸の昔、冬に搾られた新酒が劣化しないよう、春先に火入れ(加熱殺菌)した上で、大桶に貯蔵し、ひと夏を越して外気と貯蔵庫の中の温度が同じ位になった頃、2度目の火入れをせずに「冷や」のまま、大桶から樽に「卸して」出荷したことから、秋の酒として珍重されてきた。

 

一般的な日本酒は、火入れを2回してから瓶などに詰められ出荷するが、ひやおろしは貯蔵中に酒の品質が悪くならないよう出荷前の火入れはしない。「秋あがり」などとも呼ばれることもある。近年は9月初旬に売られ始めることもある。春に搾った荒々しい酒も、秋まで熟成させることで、丸みが出て、グッと味わい深くなる。秋の食材と相性抜群で、秋刀魚やきのこなどと一緒に飲むことで、更に美味しく楽しむことができる。

 

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