定食王が今日も行く!Vol.61
エルメスでTKG!? 贅沢な日常が潜む“ヒュッゲ”な空間「食堂まきの」
一人でも入りやすい
温かくヒュッゲな空間
この店を訪れたのは、友人の美容室で髪を切ってもらったのがきっかけだ。祐天寺周辺の、駒沢通り沿いには様々なショップやレストラン、カフェなどが並び、探索するにもおもしろいエリアだ。そのなかで定食王のアンテナに引っかかった「食堂まきの」の文字。民家の一階を改装した、ガラス張りで爽やかな外観は女性でも入りやすい。
少し遅い時間だったがランチをオーダーした。16:30〜18:30はハッピーアワーだそう。ビール、焼酎、ハイボール、ワインなどと小鉢が500円でいただける。何度か訪れているが、カウンター席もあり、一人で来店している方も見かけるので、とても入りやすい。
心を研ぎ澄まして味わいたい
美しい器と丁寧な定番料理
こちらはある日のランチメニュー、定食は9〜10種類程度でちょっとした小鉢なども十数種類ある。
メニューのトップを飾るのは、豚の生姜焼き。美しいロイヤルコペンハーゲンの白いお皿に盛り付けられて華麗に登場する。
しっかり生姜の味が効いていて、大人の爽やかさを感じる味付けがご飯に合う。がっつり飯の代表選手にもかかわらず、ここでは上品で繊細な表情を見せてくれる。
この秋新たに登場したラザニア定食。牛肉を香ばしくなるまで炒めてから自家製トマトペーストの酸味と生クリームのコクを合わせた、クラシックな味わいのラザニアが主役だ。
家庭料理の定番、肉じゃがも、ホーロー鍋ストウブで提供され、いつもよりオシャレな印象に。コトコト煮込んで1日置いているそうで、濃すぎず上品で薄味のおつゆが、しっかり染みている。
そして、イベリコ豚のピートロ野菜炒め。ボリューム満点の一皿で、ジューシーな豚肉と、シャキシャキのキャベツにもやし、というたっぷりの野菜がうれしい。
贅沢な日常を彩る
厳選された器や空間
美味しい食事だけでなく「食堂まきの」の真骨頂は、その空間作りにある。温かみのあるマホガニー色の木目調の店内には、カール・ハンセン&サンの「Yチェア」が並ぶ。北欧で食堂を営む日本人女性を描いた映画『かもめ食堂』を彷彿とさせるような空間だ。
そして美しい器たち。生姜焼きはロイヤルコペンハーゲン、肉じゃがはストウブの鋳物ホーロー鍋、締めのTKGもエルメスの箸置きと共に。プレゼンテーションにも美意識がうかがえる。
食後に出るアールグレイティーや、木村硝子店のグラスで飲むビールも、じんわりと贅沢を感じる。
この食堂を一言で表すとデンマークの“ヒュッゲ”という言葉がふさわしい。人と人との交流によって、温かで居心地のよい雰囲気が生まれるという考え方だ。まさにそれを体現しているような空間だ。