おしゃれフードトレンドを追え! Vol.25

ブルックリン化する蔵前で、コーヒーとチョコレートを静かに味わう至福

数年前から、蔵前は“東京のブルックリン”と呼ばれ、散歩好きな人たちに人気の街になっている。近くにはまるでハドソンリバーのように隅田川が流れ、古い倉庫や工場を改装したカフェやおしゃれなショップが点在しているところが通好みするポイントだ。工業的な雰囲気と、アーティスティックなムードが入り混じった独特な魅力におしゃれ業界人たちが食いつかないわけがない。

 

ファッション&メディア関係で仕事をしていると、主要活動拠点は青山、渋谷、恵比寿、六本木だったりする。遠出してもせいぜい銀座までだ。それが近頃は浅草やイーストサイド(浅草、日本橋あたり)でショップオープニングなどのイベントが行われることも多く、イースト東京への馴染みが深まりつつある。馬喰町の定食屋&カフェ「フクモリ」にはおしゃれ業界人の多くが食べに行ったことがあるし、カキモリでオリジナルのノートやインクを作った編集者も多いことだろう。手土産があの「ペリカン」の食パンだったら間違いなく大喜びされるし、スイーツ好きの女性編集部には「菓子屋シノノメ」のクッキーを差し入れするのが定番だ。蔵前までわざわざ行って買ってきてくれた、という丁寧な気持ちがありがたく、もらった人は気持ちがほっこり和むものだ。パンやクッキーもいいのだが、蔵前といったらチョコとコーヒーの街だといっても過言ではない。コーヒー豆はもちろん直焙煎、チョコレートも豆から焙煎して作るビーントゥーバーで、丁寧な仕事のお店ばかりだ。

蔵前でコーヒーとチョコレートを楽しむならここへ

自家焙煎のコーヒーとチョコレートを鳥越の落ち着いた空間で:蕪木

出典:みるみんくさん

出典:みるみんくさん

 

蔵前で落ち着いた大人時間を過ごしたい人にオススメなのが、コーヒーとチョコレートの両方を豆から自家焙煎して作っている「蕪木」。コーヒーとチョコレート専門店だ。一歩、中に入ると静寂に包まれた薄暗い店内、ゆったりと考えごとや読書するなど、自分と向き合う時間を堪能できる。メニューはコーヒーとチョコレートのみ。コーヒーに合わせて、チョコレートを選んでくれるので完璧なペアリングを味わうことができる。チョコレートを一口齧り、コーヒーを飲むと至福の時間だ。

蔵前人気を牽引するクラフトチョコレートの先駆者:ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前

ダンデライオン・チョコレートは2016年にサンフランシスコから上陸して以来、蔵前の盛り上がりを牽引し続けているクラフトチョコのパイオニア的存在だ。1階はチョコレート工房とスタンド、2階はカフェとワークショップスペースを併設した店で、広い店内に一歩足を踏み入れると、チョコレートの香ばしい香りが漂ってくるので気分が高まる。製造工程を間近で見ながら、豆の産地によって味わいが変化する「チョコレートバー」や、新感覚のイタリア風「飲むチョコレート」、マシュマロと濃厚チョコレートが同時に味わえる「スモア」などを楽しめる。

独自の焙煎法で体にやさしいコーヒーを提供:ソルズコーヒー

出典:sherry18730さん

 

スタンド形式の、カジュアルなコーヒー屋「ソルズコーヒー」は体にやさしいコーヒーというコンセプトのお店。独自の焙煎方法で、焙煎の過程で酸化を防ぐことによって、体にやさしいすっきりとした味わいのコーヒーを再現しているのだとか。豆を挽いて、かなり丁寧なハンドドリップでコーヒーを入れてくれる。気軽に寄れてこのクオリティーは蔵前らしい!

コーヒーだけでなく軽食も充実:コフィノワ

出典:esora24さん

出典:バナナメロンさん

 

どら焼きやフルーツサンドなどのおやつにも定評のあるコーヒー店。もちろん直焙煎で、「米国スペシャルティコーヒー協会」が定めた基準・手順にのっとってコーヒーの評価ができると認定された技能者である「Qグレーダー」の資格を持つ店主によるコーヒーが美味しい。販売用の豆は全て試飲できるのがうれしい。浅草の老舗パン「ペリカン」の食パンを使ったサンドイッチ、トーストも楽しめる。私は先日ニカラグア産のコーヒーをオーダーしたが、苦味が少なめのすっきりした味わいでフルーティーかつ甘みを感じる一杯だった。

 

蔵前エリアに居を構えるショップには、仕事に対して熱い思いをもった職人気質の商人だらけ。豆一粒にも細やかな神経を使い丁寧な仕事をする姿勢にはグッとくる。モノ作りに精魂込める職人たちに敬意を払うクリエイティブ系業界人なら、きっとそんな職人の街、蔵前に惹かれてしまうのだろう。もうイースト東京なしで東京のマーケットトレンドは語れない!