【噂の新店】Buvons(ブボン)

他にはない、シャルキュトリ

神戸三宮駅から徒歩10分近く。トアロードの東側に今年1月、ビストロがオープンした。元町で4代続く酒店「頃末商店」がプロデュースした「Buvons」だ。一工夫あるシャルキュトリが味わえるとあって、ワイン好きから早くも話題の一軒となっている。

店は神戸らしさ漂うトアロード沿いにある
店内はカウンター6席とテーブル10席。作りつけのワインセラーに目を奪われる

シェフは塩見隆太郎さん。「神戸北野ホテル」で11年間フレンチの経験をみっちりと積み、2022年には「パテ・クルート世界選手権」で1位を取るなど、シャルキュティエとして名の知れた人物だ。「シャルキュトリを普段着に」と話し、「新しいお酒との出合いやお酒の魅力を知る入口になれば」との思いを持つ頃末商店とタッグを組んだ。

シェフの塩見隆太郎さん。「料理は学び。今後もやったことのない料理にチャレンジしたいです」
 

門上さん

シェフと一緒に働いたことのあるスタッフと同行して訪問。フランスのシャルキュトリの出現だと感じました。

いただけるお料理はこちら!

料理はアラカルトで好きなものをオーダーできるスタイル。パテ、ハム、テリーヌなどのシャルキュトリを看板に、サラダ、メイン、食事メニュー、デザートなどが揃う。カウンターに置かれた黒板には旬の素材を使った「今週のおすすめ」も。

まずは、必ずオーダーしたいシャルキュトリから。「培ったフレンチの技術を用いながら、日本の素材を」と、ゴボウや山椒、海苔や筍などを使った、他にはないパテやテリーヌを作り上げる。「例えばごぼう。日本のハーブとは何かと考えた時に、ごぼうの香りを活かしたいと考えました」と塩見さんは話す。

「ハム・パテ盛り合わせ」3,930円。定番のBuvonsパテ、紅茶のリキュールでマリネした鴨とドライフルーツのパテ、香り豊かなごぼうと山椒のパテ、オリーブと炭火焼きパプリカのパテ、神戸ポークのロースハム、ジャンボン・フュメ、セルブラ・リヨネーズ
 

門上さん

シャルキュトリなのに和の要素も楽しめます。フランスと和の融合の可能性を探りながら食べるのもおすすめ。

牛ハチノスは「煮込みはよくありますが、あえてカツレツに。リヨンでは馴染みのメニューなんです」とのこと。ラビゴットソースの柴漬け、トマトの酸味が、カツレツの力強い味わいを引き立てる。

「牛ハチノスのカツレツ」3,850円
 

門上さん

ラビゴットソースが秀逸!

明石の仲卸「つる一」の鶴谷真宜さんから仕入れた明石鯛はムニエルに。ソースは定番の焦がしバターながら、パウダー状にした海藻を用い、より香り高く。

「明石鯛のムニエル」3,800円

誰もが知っているマカロニグラタンは「フランス料理と聞けば構えてしまうことも多いのですが、ほっとする料理も」とオンメニュー。ベシャメルソース、デュクセル、ベーコンを使い、うまみを掛け合わせた。

「マカロニグラタン」1,300円
 

門上さん

コクの意味を知ることができます。

“ただいま”と言える店を

「ハム・パテ盛り合わせなら、日本の食事にも合うドイツ・バーデンのピノ・ノワールの赤を」など料理はもちろん気分に合わせてもお酒を提案してくれる。フランスワインを中心に、ウイスキーやジン、リキュールなど数多く揃うのもうれしい限り。15時からのオープンで、軽く一杯!やしっかりごはんに、など使い勝手も抜群だ。今後については「あくまで普段着で、“ただいま”と言えるお店を目指しますよ!」と塩見さんは笑った。

食中酒を中心に2,000本のワインがスタンバイ
店名「ブボン」はフランス語で「さあ、飲もう」の意味だそう
 

門上さん

カジュアルでワイワイとした雰囲気が楽しい限り。パテやハムの醍醐味を知ることができますよ。

教えてくれた人

門上武司
1952年大阪生まれ。関西中のフランス料理店を片っ端から食べ歩くももの足らず、毎年のようにフランスを旅する。39歳で独立し「株式会社ジオード」設立後はフードコラムニストというポジションにとどまらず、編集者、プロデューサー、コーディネーターとマルチに活躍。関西の食雑誌「あまから手帖」編集顧問であり、全日本・食学会理事長補佐、関西食文化研究会コアメンバー。著書には「食べる仕事 門上武司」「門上武司の僕を呼ぶ料理店」(クリエテ関西)、「京料理、おあがりやす」(廣済堂出版)、「スローフードな宿1・2」(木楽舎)、など。年間外食は1,000食に及ぶ。

※価格は税込。

文:木佐貫久代
撮影:東谷幸一