〈ニュースなランチ〉
毎日食べる「ランチ」にどれだけ情熱を注げるか。それが人生の幸福度を左右すると信じて疑わない、編集部員や食いしん坊ライターによるランチ連載。話題の新店から老舗の新メニューまで、おすすめのランチ情報をお届け!
加藤牛肉店 小川のうに

厳選した山形牛のうまさで知られる神奈川・横浜の精肉屋「加藤牛肉店」。96年続く同店の3代目店主・加藤敦さんが自ら目利きし捌いた牛肉を味わえる一軒が、2023年、八重洲にオープンした「加藤牛肉店 小川のうに」だ。銀座「加藤牛肉店」、西麻布「焼肉ステーキ あつし」に続く同店では、先の2店と違いランチも営業。より手軽にとびきりの牛肉を楽しめるようになった。

中でも特筆すべきは、昨年夏からオンメニューした「ハンバーグ」だ。実はこのハンバーグ、元々は銀座店限定の“知る人ぞ知る”隠れた人気メニューで、同店の常連でもあった、あの中華の巨匠・譚彦彬シェフも愛した逸品なのだ。それを八重洲店でもいただけるようになったというのだから見逃せない。それというのも、長らく銀座店の料理長を務めていたベテランシェフの阿部川勝さんが八重洲店に転属となったから。

夜のコースにももちろん登場するが、ハンバーグ単品でというわけにはいかないゆえ、昼時にハンバーグだけのセットが誕生したのはありがたい限り。しかも、夜と同様、鉄板で焼き上げてくれる。カウンターに陣取れば、目の前で焼けていく臨場感と香りも楽しめるという寸法だ。ビジネス仕様のランチ接待に使われるというのも頷けよう。

さて、その「山形牛ハンバーグセット」は、1個90gのまん丸ハンバーグが2個にサラダとご飯、味噌汁がついて3,000円。ハンバーグは銀座店と全く同じレシピで作っているそうだが、フライパンとオーブンで焼いていた銀座店と違い、ここでは鉄板を使用。

「熱伝導率の良い鉄板は、肉に均一に火が入ります。高温で焼き上げることで肉汁を閉じ込め、うまみを逃すことなくふっくら焼き上がるわけです」と阿部川シェフ。保温力の高さも鉄板の強み。表面に軽い焦げ目をつけ、メイラード反応を起こした時点でステーキカバーを被せて蒸し焼きにすることで、よりふっくら仕上がるわけだ。
小ぶりながら厚みのあるハンバーグは、ナイフを入れるやほろりと崩れるほど軟らか。お肉屋さんの作るハンバーグだけに繋ぎは卵のみ。他は、玉ねぎに、味付けは塩・胡椒にケチャップと至ってシンプル。それも肉本来のうまみを損なわぬため。「(オーナーの)加藤さんが目利きする山形牛は、味・肉質共に優れているので、余計なことはしないようにしています」と阿部川シェフ。

焼きたてを口にすれば、ふわっとジューシーな中にも程よい弾力感があり、肉肉しさを際立たせる。うまみは深いが脂っこさは皆無。肉汁もクリアで、味わいそのものも実に軽やかだ。聞けば、牛肉の中でもゼラチン質が豊富で味の濃いすね肉をメインに使っているがゆえ。
阿部川シェフによれば「すね肉は6割。後の4割は、ステーキを切り出した時の端肉を使っています」とのこと。さらに、軟らかさの秘訣はスープ。「加藤牛肉店」の名物の一つでもあるコンビーフを作る際にできるブイヨンをハンバーグ生地に少量加えているのだ。なるほど肉汁のクリアさも脂身ではなくスープだからこそなせる業。ある意味ヘルシーなハンバーグとも言えそうだ。

また、ランチ接待におすすめなのが「黒毛和牛の鉄板焼ランチコース」。こちらは、前菜に牛ランプ肉を使ったたたきやタルタルが日替わりで出た後、小さなポトフスープ、サラダに鮮魚の鉄板焼きと続いてメインに黒毛和牛 牛もも肉のステーキが登場。これにご飯とお味噌汁、デザートの自家製バニラアイスがついて6,000円。

さらに「小川のうに」をつけた贅沢なコースもあり、こちらも人気のアイテム。

件の「小川のうに」は、その季節に一番の旬となる地域のうにを徹底した衛生管理のもと、一つ一つ丁寧に人の手で折詰めしているそうで、濃厚なうまみと甘みが持ち味。苦みや雑味の類は皆無だ。

ウニは、通常コースの最初にお造りとしてお目見えするが、最後にご飯と共に出してもらい、ウニ丼と洒落てみるのも一興だろう。
※価格はすべて税込


