今日から使えるギョーザプランニング

餃子の魅力にとりつかれ、気づいたら586日(7月3日現在)餃子を毎日欠かさず食べています。

この記事では、そんな私の日常の“ギョーザプランニング”をお届けすることで、「今日このギョーザ食べに行こうかな!」と思っていただくために書く、全編妄想の記事です。

Vol.11 もしも、憧れの先輩から「独立して起業することにした!」と言われたら

サッカーW杯日本代表戦凄い盛り上がりでしたね! 激闘を応援するために寝不足の方も多いと思います。そんな興奮冷めやらぬ中、学生時代のバイト先で知り合った女性の先輩から連絡がきました。「今度、独立して起業することにした!」と。これは大きな決断と覚悟。敬意を払ってお祝いのために最高の餃子をプレゼントしてあげたい。こんな時にこそ、ギョーザプランニング! 改めてお伝えしますが、この記事は全編妄想記事です。さあ妄想スタートします!

ギョーザプランニングは喜ばせたい相手を考えることから

今回も“ギョーザプランニング”3つのステップで考えていきます。「餃子を食べて喜んで欲しい人」を考えます。今回は学生時代からの憧れの先輩の独立起業という決断。そんなハレのタイミング、彼女が最高に喜んでいるイメージを具体的にしていきます。

新たな未来に向かうための決断

今回のギョーザプランニングの相手は憧れの先輩。僕がバイトでお世話になっている時代から、信念を持って良いものは良い、悪いものは悪いと正しい目で物事を見つめる素敵な女性。その信念を持っていくつもキャリアを重ねて来た彼女の独立起業は満を持しての決断で、確かな成功のビジョンやプランが明確なように感じる。そんな彼女の未来に向けた決断を、餃子を通して後押ししてあげたい! そんな気持ちが今回のプランニングのベースになりました。

見て華やか食べて晴れやかな餃子

餃子を通して、ご自身の決断と、起業してからの日々の支えになるような餃子を食べてもらいたい! 特殊な状況だからこそ、今回のギョーザプレゼンのコンセプトが見えてきました。

学生時代からの付き合いなのでもう10年、僕が見て来た彼女はずっと自信を持って自分の信念を貫いて来た。食べる物にだって妥協は一切せずに、飲み物もワインがお気に入り。そんな彼女のハレの日を祝う餃子は飛び切り華やかで晴れやかなお店で囲みたい。今回のコンセプトが明確になりました。

憧れの先輩の起業を後押しする餃子とは?

憧れの先輩の起業を祝福するために選んだお店が、「遊猿(ユウエン)」さん。四谷三丁目の飲屋街、荒木町の一角にお店があります。

2階に上がりドアを開けると、荒木町のイメージとは少し違ったカジュアルで明るいイメージの店内。「キッチンとホールが分断されて、お客様との距離が遠くなってしまうのが嫌だったんですよね」とオーナーシェフの大内さんが譲らなかったオープンキッチンが、“開放感と料理を楽しんで欲しい!”というお店のコンセプトを伝えてくれます。

実は遊猿さんは餃子メインではなく、創作系の中華料理を提供してくれるお店。コース縛りではないけれど、メニューが上から順に「前菜」「点心」「魚料理」「肉料理」と流れができており、ストーリーを楽しんでもらうことで味わい尽くすことができます。

 

「餃子とビールだけ? 好きだけどワインも飲みたい」という先輩の声に応えて、今回は満をして遊猿さんをプレゼン。餃子とビールの前に多種多様なメニューとワインを合わせていただきたいと思います。

まず来店する人にオススメするのが、数ある前菜の中から7種類を盛り合わせてくれる「前菜7種盛り合わせ(1,750円/1人前 ※写真は2人前)」。青山の人気中華料理店シャンウェイで10年修行した大内さんが創り出す中華料理は、「〇〇中華」と定義ができませんが、どのメニューも見た目にも華やかで、食べて驚きがあります。

 

「上海料理がベースではあるのですが、カテゴリは特に気にしていません。わざわざこのちょっと来づらい場所を選んで来てくれたお客様に、驚きと喜びを与えたくて料理を作っています。そんなことばかり考えていたら、毎朝築地に行って新しく新鮮な食材を選ぶことが、いつの間にか日課になってしまいました」と、大内さんは屈託のない笑顔で語ってくれました。

ストーリーに負けないインパクトを持った餃子

そんな料理のストーリーに負けず劣らず、遊猿さんの餃子はインパクトがバツグン。なんといってもボリューム満点で、1つの大きさが肉まんくらいあるのです。そのため、まずはしっかりとせいろを使ってフカフカに蒸しあげます。蓋を開けた時の湯気がたまりません。「焼餃子なのに一度蒸すんだ! 手が込んでるね、楽しみ!」と、味だけでなくて調理の過程など全ての工程に目を配らせる先輩の期待値を高めていきます。

せいろで蒸し上げられた餃子は鉄板に移動。丁寧に丁寧に焼き上げ、両面にしっかりとした焼き目をつけてくれます。まるでコース料理のメインディッシュで出てくるステーキのように、餃子が焼き上がっていきます。「餃子なのに高級鉄板料理のお店に連れて来てもらったみたいだね」と、そんな声がこえてきそうなほど、1つ1つの餃子を丹念に創り上げていきます。

相性バツグン特製香味ダレとジューシー餃子

鉄板の上で焼きあがった餃子は野菜が盛り付けられたお皿の上に載せられ、特製の香味ダレをこれでもかとかけられて、巨大な油淋鶏にも似た出で立ちで登場します。

この大きさを出すために、もちろん皮は手作り。蒸した時のモチモチ感と焼き上げた時のカリカリ感が両立しています。餡はシンプルに豚肉、ニラ、キャベツ、ジューシーに仕上げます。パクチー、ネギ、ショウガ、シャンラージャンなどがブレンドされた特製香味ダレとの相性はバツグン。一口では頬張れないので、真ん中でカットして一気に頬張ります。

決められた役割でなく「お客様を喜ばせるため」の目的を持った餃子

「ウチの餃子の特徴である香味ダレはお客様の要望に応えて生まれたんです。元々前菜に使っていた香味ダレを取っておいて、餃子にかけて食べるお客様が多くて、それだったら初めからたっぷりかけて喜んでもらおう!と。そう思ってこの餃子が生まれました」と大内さん。

 

「餃子は色んなタイミングでお客様に食べてもらっていて、前菜の次に餃子を食べ、魚料理、肉料理と食べてから、シメにもう一度餃子を頼んでくれる人もいます。そう考えると、ウチの餃子は僕らが決めた役割でなくて、お客様を喜ばせるために色んな役割を果たしてくれていますね」と、お客様によって餃子がさまざまな楽しみ方をされていることを嬉しそうに語ってくれました。

 

お客様を喜ばせるためにいかなる手段も試す。この餃子エピソードにも一度決めた自分のカタチにとらわれずに、お客様を喜ばせるという料理への揺るぎない想いを感じました。先輩も喜んでくれたらいいな。

大切なのは喜ばれることを持続すること

大内さんを筆頭にスタッフの方が全員楽しそうに料理を紹介してくれたり、説明してくれたりするのも遊猿の特徴。「素材を理解し、料理を好きになり、コースでストーリーを語って、お客様に喜んでもらう。その経験が料理の味にも活きてくるんですよね。次はもっと喜んでもらいたい、驚いてもらいたいって。そんなお店であり続けたいので、カタチに縛られず、オープンに持続させていきたいですね」

 

お店に対して、スタッフに対して、そして何よりお客様に対しての真摯で熱い想いを語る大内さんを見ていたら、先輩が楽しそうに店員さんと話しながら次のメニューやワインを決めていく姿が浮かびました。

今回のギョーザプランニング

今回のプランニングは起業する先輩を喜ばせたくて実施しました。遊猿さんの料理に込められた想いが、先輩の起業をさらに後押ししてくれることを願います。本当におめでとうございます! さて、「誰かを誘って荒木町に餃子食べに行こうかな! 」と思ってくれた人がいたら、今回のプレゼンは大成功です。僕も早速また食べたくなってきました。

取材・写真・文:池山千尋