甘くてしょっぱい!は無限ループ

バターミルクを使用した軽くてやわらか、おだやかな甘さで風味のいいドーナツは、何を組み合わせてもおいしい。ふわっと優しく、どんな味付けも受け止めるようなドーナツだ。

だからクリームチーズとあんこをサンドしても、素晴らしくよく合う。「クリームチーズあんこ」テイクアウト367円/イートイン374円は、クリームチーズのミルキーなコクと塩気、あんこのこっくりとした甘さが絶妙にマッチして、甘い&しょっぱいのレイヤーがたまらない、私のお気に入り。
あんこは北海道産を使用しており、粒あんをこしあんに変更することもできる。同店では小麦粉をはじめ、素材を丁寧に厳選していて、北海道産のものを多く使用している。

しかしこの甘い&しょっぱいは「クリームチーズあんこ」だけではない。よりはっきりとクリームチーズを味わうことができるクリームチーズのみをサンドした、“LOCO上級者”っぽいドーナツ「クリームチーズペッパー」テイクアウト302円/イートイン308円がある。

香ばしくふんわりとおだやかな甘さのドーナツでクリームチーズをサンドし、黒胡椒をたっぷりと振りかけた食欲をそそる姿。ドーナツの甘みに、黒胡椒のピリッとした刺激、なめらかなクリームチーズの塩気が見事に調和している。塩気をしっかりと感じられるので、他の甘いドーナツの後に食べるのもよし、食事としてメニューに加えてもよしの、満足度の高いドーナツだ。
変わり種ドーナツだが、固定ファンをガッチリとつかんでいる。朝ごはんに、ベーコンや目玉焼きと一緒に食べてもいい。

溝呂木さん
「LOCO」では旬の食材を使用した、期間限定ドーナツにも大注目ですよ。夏には「ずんだクリームチーズ」というドーナツがありました。塩が利いていてこれもおいしかった!「ずんだ」とは枝豆をペースト状にしたもので、宮城県の「ずんだ餅」が有名ですね。
プレーンドーナツとの相性は最高! ドーナツ×紅茶もお試しあれ
ハンバーガーのお供はフライドポテト、とんかつのお供は千切りキャベツ、インネパカレーのお供は巨大なナン、そしてドーナツのお供はコーヒー。そんな風に、食の世界では定番となった組み合わせがたくさんある。しかし、ドーナツのそばにいるのは、いつ何時でもコーヒーとは限らない。同店では香り豊かな紅茶を楽しむことができる。

同店では、1996年にアメリカで誕生した紅茶ブランド「Mighty Leaf(マイティーリーフ)」の紅茶を取りそろえている。高品質な茶葉を用い、ハーブなどをブレンドした香り豊かで味わい深い紅茶は、優しい味のドーナツと相性抜群。

特にカラッと揚がった素朴な「オリジナル(プレーンドーナツ)」テイクアウト183円/イートイン187円と合わせると、紅茶がドーナツの香ばしさや味を引き立て、よりドーナツそのもののおいしさを堪能できる。華やかなティータイムにもおすすめだ。

毎日、ドーナツは少しの量を揚げて、なるべくフレッシュなものを提供しているとのこと。タイミングが合えば、揚げたての「プレーンドーナツ」を食べることができるかもしれない。揚げたては表面がカリッカリ、中はほわっほわで格別。ドーナツを揚げる時間は決まっていないので、もしも来店時に揚げたての「プレーンドーナツ」があったら、その日はラッキーデイ。幸運を逃さずに、お店ですぐに食べるのが最高だ。

溝呂木さん
ドーナツは低温でじっくり揚げているそうです。菜種油をメインに数種の油をブレンドした揚げ油を使用。「子どもに安心して食べさせられるものを作りたい」という思いから、油も厳選しています。
どこか懐かしく、記憶を呼び覚ます優しいドーナツ

同店のドーナツを食べて「懐かしい味」と感じるお客さんも多いらしい。その昔、1971年に大手ドーナツ専門店が日本にやってくるずっと前から日本ではケーキ生地のドーナツを家で揚げて食べられており、“ふくらし粉”を使って作るドーナツは、家にある砂糖をまぶした素朴なおやつだった。同店のドーナツは、それよりももっとずっと手が込んでいて、ソフトで繊細な食感だが「香ばしくて、優しい甘さ」という昔の家庭のドーナツとの共通点があり、それが“おいしい記憶”を呼び起こすのではないだろうか。
普遍的で飽きのこないドーナツは地元の人たちに愛され、また誰かにとっての「懐かしい味」になるのだろう。

小さな子どもが目をパチパチさせてドーナツを選ぶ姿を見た。オーナー家族のハワイの思い出が「LOCO」のドーナツとなり、そのドーナツを食べた人の思い出がまた保谷で紡がれていく。
※価格はすべて税込
文:溝呂木一美、食べログマガジン編集部 撮影:ジェイムス・オザワ
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