いま人気の“うどん”が分かる「うどん 百名店 2018」が発表

食べログで評価の高いうどん店を100店集めた「食べログ うどん 百名店」が、掲載店も新たに「食べログ うどん 百名店 2018」としてバージョンアップ!

 

今年の掲載店にはいったいどのような傾向があるのか解き明かすべく、昨年に引き続きうどんライターの井上こんさんに、そのラインアップとトレンドを解説していただきました。

井上こん(いのうえ こん) ライター。福岡県出身。食分野を中心に執筆。うどん好きとして記事やコラムの執筆、イベントやテレビ出演も。ブログ『うどん手帖』(http://koninoue.com/)で全国各地で出会ったうどんを紹介。筑後うどん大使。西武線沿線うどんラリー2018アドバイザー。

2018年の初掲載店に注目!

讃岐うどん河野/出典:代々木乃助ククルさん

 

「うどん 百名店 2018」が発表されました。新たに登場したのは14軒。2017年度の百名店は根強いファンの支持を受け、これまでどおり盤石な体制をキープ。全国的にはトレンド自体に大きな変化はありませんでしたが、気になる特徴を見せたのが東京です。今回は東京組の“構成”に注目しました。

 

東京の選出店は、昨年の20軒から3軒増加して23軒。新たに選出された5軒中4軒が「讃岐うどん河野」「自家製さぬきうどんと肉 甚三」「讃岐のおうどん 花は咲く」「香川 一福 立川店」であるように、東京における屋台骨が讃岐うどんであることは依然として変わりがないようです。

自家製さぬきうどんと肉 甚三/出典:しん( ̄◇ ̄さん

讃岐のおうどん 花は咲く/出典:odango3bonさん

 

中でも興味深いのは、香川・高松に本店を置く讃岐うどんの「一福」グループから3軒(「うどん 一福」「香川 一福 神田店」「香川 一福 立川店」)が百名店に選出されていることでしょう。

 

近年、居酒屋業態への挑戦やハイペースでのフランチャイズ展開など活動域を広げ、デリケートな時期にいる一福。しかし、既存店はこれまでの人気をキープし、その上オープンわずか1年の東京・立川店まで百名店入りを果たした事実から鑑みると、エリアや業態を飛び越えてなお評価される基礎体力の高さは、讃岐うどん業界の中で一頭地を抜いているといえるでしょう。

香川 一福 立川店/出典:えこだねこさん

東京うどんにもダイバーシティの波?

讃岐うどんもさることながら、全体的には「おにやんま 五反田本店」や「こくわがた」といった大衆的な立ち食い系から、空間や日本酒、一品料理にも力を入れている「根津 釜竹」や「手打うどん長谷川」といったうどんプラスアルファ系までバラエティに富んだ顔ぶれで、一党になりがちなところがある地方と比べて東京らしい傾向を昨年から引き継いでいた結果となりました。

 

また、さきほど東京における屋台骨が讃岐うどんと言いましたが、ご当地うどんも負けてはいません。宮崎・釜揚げうどんの「釜あげうどん はつとみ」、秋田・稲庭うどんの「銀座 佐藤養助」、福岡・博多うどんの「博多うどん酒場 イチカバチカ 恵比寿店」らに加え、今年はさらに北九州発の“豊前うどん”を謳う「大地のうどん 東京馬場店」も仲間入りを果たす健闘ぶりを見せています。

大地のうどん 東京馬場店/出典:厚木あんちちさん

 

大地のうどんは、これまでのうどんにはない半透明なもちもち麺と超特大のごぼう天をトレードマークとし、福岡では行列のできる人気店として知られています(博多駅前の店は平日の開店前から行列ができるほど)。博多うどんをクラシックな存在だとすれば、その対極、個性派である同店が東京進出2年で百名店入りした事実は、今後のうどんシーンを考える上で朗報といえるでしょう。

 

選択肢の増加は地方うどんの認知への入り口となります。長い目で見れば、業界を面白くするカギを握るのは、こうした東京でのダイバーシティ(多様性)なモードではないでしょうか。

 

 

「食べログ うどん 百名店 2018」の全店舗は、こちらから。

 

◆解説に登場したお店

 

文:井上こん