教えてくれる人
はなとも
日本スイーツ協会認定のスイーツコンシェルジュ。スイーツ専門のライターとしてさまざまなweb媒体で記事を連載中。著書「スイーツ男子はなともの I love パンケーキ」(KADOKAWA)、はなとも監修パンケーキミックス粉、その他、監修商品やコラボメニューなど多数。前職はお花屋さんという異例の経歴を持つ。
「食べログ スイーツ TOKYO 百名店」にも選出される、日本橋蛎殻町の人気パティスリー「オクシタニアル 東京本店」。伝統のフランス菓子に独自のエッセンスを加味したスイーツは、おいしさだけではなく見た目も美しいと評判です。中でもオレンジとチョコレートを合わせたケーキはスイーツ好きに大人気。見ても食べても感動する、今回はそんな絶品スイーツをご紹介します。
バームクーヘンで有名な「クラブハリエ」が手掛ける洋菓子店
安産祈願で有名な水天宮の側にある「オクシタニアル 東京本店」。最寄り駅である水天宮駅からは徒歩1分という好立地の場所にあります。
元々は神谷町に店舗がありましたが、2014年に現在の地に移転。今ではスイーツ好きのみならず水天宮の参拝帰りなど、開店から多くの人が訪れています。
「オクシタニアル」という店名は、13〜16世紀に存在した南フランスの地域の名称「オクシタニア」の末尾に“ル”を付けて「南フランスのように……」と優しくアレンジしたもの。看板には南フランスで幸福のシンボルとして親しまれている「セミ」がデザインされています。
中山シェフは「エコールキュリネール国立」(現在は「エコール 辻 東京」に名称変更)を卒業後、明大前にあるパティスリーに勤務。その後、パティシエの腕をさらに磨くため、六本木の「ヒルズクラブ」や日本橋の「マンダリン オリエンタル 東京」で研鑽を積みます。
ホテル勤務時の2011年には、世界を代表するパティスリーのコンクール「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」の日本代表として出場し世界4位。2015年には同大会で準優勝という輝かしい成績を収めます。そしてホテル退職後に「クラブハリエ」からのオファーを受け、2014年に「オクシタニアル 東京本店」の工房シェフに就任しました。
店内は鮮やかなオレンジ色で統一された明るい雰囲気。南仏の太陽を思わせるかのような明るさに、自然と気分も高まります。
同店のスイーツは、MOF(フランス国家優秀職人章)の称号を持つパティシエ、ステファン・トレアン氏が監修。アメリカを拠点とするトレアン氏に代わって中山シェフが腕をふるい、独自のエッセンスを加えながら商品を作り上げています。「エリソン」や「アナナナ」など、ユニークなネーミングのケーキもあり、どれを選んだらいいか迷ってしまうほど。
一般的な三角形のケーキではなく、円柱や球形のものが多く並んでいるのが特徴のように思えたので理由を尋ねてみると「三角や四角のケーキの方が作るのは楽なんですが、丸いケーキってなんだか特別感がありませんか? 自分のためだけに作ってくれたような」と話してくれた中山シェフ。確かにちょっとした特別感を持って訪れるパティスリー。丸いケーキは、ここへ来てくれる客への思いやりが込められた形なんですね。
店内の右側にはカフェスペースが用意されていて、壁にはステファン・トレアン氏の写真がびっしりと飾られています。水天宮参りの後に立ち寄る人も多く、週末は行列ができるほどの人気ぶり。常時20種類そろうケーキはどれも目移りしてしまう美しさで、すべてが一級品のおいしさです。
今回はそんな同店のスイーツの中から、僕が特におすすめしたいとっておきの2品をご紹介します。