絶景レストラン
Vol.5 「樹ガーデン」 鎌倉

絶景×料理が評判のレストランやカフェを紹介する「絶景レストラン」。第5回は、山々に囲まれた古都・鎌倉の景色を満喫できる「Cafe Terrace 樹(いつき)ガーデン」へ。鎌倉駅から徒歩15分。階段を登っていくと、テラス越しに緑が広がるダイナミックな景観が迎えてくれる。地形に沿って積み上げられた赤いレンガ。段差が多いので、歩きやすい靴で出かけよう。

一面の緑を眺め、梢をわたる風を感じて、ゆったりと食事を

鎌倉大仏から銭洗弁財天へ抜ける「裏大仏ハイキングコース」の途中に、樹ガーデンはある。もとは企業オーナーの別荘だったが、ケガをしたり、道に迷ったり、トイレを借りに来るハイカーが後を絶たず、休憩所を兼ねたカフェを始めたのだという。

「店を始めた三十数年前は、週末に自分たちでレンガを積んで、階段やテラスを造ったんですよ」と話すのは統括責任者の上北(うえきた)美津子さん。「素人が積んだレンガは見るとわかりますね」と笑顔で話してくれた。ハイキングコースの尾根道だけあって、見晴らしは素晴らしく、天気のいい日は富士山の眺望が見事だ。「アクセスは鎌倉大仏からのハイキングコースがおすすめ。15分ぐらいです。森の中に突然カフェが現れるから、みなさん驚かれるようですよ」

 

北側にあるテラスは屋根付き。座ると目の高さに山肌が見えて落ち着ける空間だ。テラスはすべて山の地形に沿って造られており、高さも方角も景色もさまざま。好きな場所を見つけてのんびりと過ごしたい。

 

周囲の山に山藤や春蘭(しゅんらん)、山百合などの山野草が自生するほか、テラスや通路では丹精して手入れされた季節の花が目を楽しませてくれる。

 

通路に沿って咲くあじさい。周りの景観に溶け込むように、自然に近い品種が植えられている。(写真出典:お店)

 

 

“幻のあじさい”といわれる七段花(しちだんか)。江戸時代に栽培されていたものの、その後130年も所在が不明だった珍しい品種だとか。

 

店でいちばん高い場所にあるテラス。テラスに迫るように茂る木はナラがほとんどで、テーブルによくドングリが落ちてくる。

鎌倉の老舗精肉店が作るソーセージを、クラフトビールのお供に

「鎌倉ソーセージ・有機ポテトのオーブン焼き」1,200円、「鎌倉ビール」800円。

 

鎌倉の精肉店「河野(こうの)牛豚肉店」のポークソーセージ2種(プレーン、辛口)を、有機栽培のじゃがいもとともにオーブンで焼いた一品。目でも楽しんでほしいというシェフの心遣いから、花形に切ったにんじんが添えられている。河野牛豚肉店は大正7(1918)年に開業した老舗で、その品質に地元の人たちが高い信頼を寄せている。パリッとした焼き加減。ジューシーで程よい塩味のソーセージは、ビールのおつまみにも食事にもよく合う。

 

休日のランチなら、地元が誇るクラフトビール「鎌倉ビール」をオーダーしたい。樹ガーデンでは、苦味を抑えたアルトタイプの「月」を用意。アルコール分が6.0度とやや高めながら、すっきりとした味わいがランチタイムにぴったりだ。

ターメリックライスに好相性!上品な味わいの欧風カレー

「樹ガーデン スペシャルカレーセット」1,500円(カレーのみは1,200円)

 

フレンチレストランで腕を磨いたシェフらしい欧風のポークカレー。辛すぎず、スパイスの風味が立っていて、年齢や性別、好みを問わずに愛されそうな逸品だ。とろみのあるカレーがターメリックライスによく絡んで、するりとお腹に納まってしまう。グリーンサラダはオレンジの甘酸っぱさがアクセント。すりおろしニンニク入りの自家製ドレッシングが、スパイシーなカレーに合っている。

 

ほか、食事メニューには「クロワッサン・フランセ ワンプレート」1,300円もある。パリで評判のブーランジェリー「メゾン・ランドゥメンヌ」のクロワッサンを主役に、たっぷりのサラダを味わえる。

もちっとした食感のパンケーキには、季節のフルーツがたっぷり

「ガーデン・オリジナル・パンケーキ」1,500円

 

色とりどりのフルーツが気分を上げてくれるパンケーキ。もちっとした生地のパンケーキは、小ぶりながら食べごたえ十分で、瑞々しいフルーツとの相性が抜群。休日はダイエットを忘れ、メープルシロップと生クリームをたっぷり絡めてほおばりたい。

 

デザートはほかに、フレッシュマンゴーの果肉と生クリームを使った「マンゴープリン」900円、口当たりのよい「抹茶のババロア」800円など。ドリンクメニューも、「コーヒー」600円、「フレッシュフルーツティー」800円、「鎌倉サイダー」600円など充実している。

 

※表示金額はすべて税込み

 

取材・文:根本聡子
写真:小野広幸