大人が下北沢へ遊びに行きたくなる理由ができた

「マグロのカツレツuchiのコチュジャンソース」1,800円

 

料理人でもグルメライターでも“食”を生業としている人の共通点は「食べることが好き」というところにあります。美味しいものを作ることで、伝えることで、その楽しさや幸福な気持ちを誰かと共有したい。食を通じて伝播する喜びは、ときに食べることが好きな人にとっての大きな原動力になります。

人と人とがつながる“家”

「uchi」エントランス

 

雑誌やWebなど、さまざまなメディアで活躍中のフードパブリシスト・高橋綾子さんは、フラットかつ独自の目線で、レストラン情報を発信しているひとり。外資系ファッションブランドのプレスを担当していたときから食べ歩きに目覚め、“好き”が高じて今年の春、下北沢に自身がプロデュースするレストランをオープンさせました。

 

「親しい友人宅で食事をするようにリラックスした気分で料理やお酒を楽しんでほしい」という思いから生まれた店の名前は「uchi(ウチ)」。

 

「プレス時代から人と人、人とモノを繋ぐことが好きだったんです。自分がいいなと思ったお店を紹介して、美味しかったと言われるのが嬉しくて。自分も食べることが大好きで、美味しいものに出合うと本当に幸せな気分になる。それを誰かと共有できるのは、もっと幸せなことだと思うんです」と高橋さん。

知っているはずの料理が、食べたことのない味わいに

「ツナとしば漬けのブルスケッタ」500円

 

日本はもちろん、世界のさまざまなレストランを食べ歩いたとあってuchiのメニューには、オリジナリティのある料理が並びます。ツナとしば漬けのブルスケッタや骨付き鶏モモのビールビネガー煮、マグロのカツレツuchiのコチュジャンソースなど、食いしん坊の好奇心をくすぐる料理のベースは“和食”。

 

ブルスケッタはバゲットの代わりに仙台麩を使い、コチュジャンソースには、オイスターソースのほかに醤油を加えるなど食材や調味料使いに“和のエッセンス”が。

左からシェフの福山竜太郎さんと塩野谷健太さん

 

「肉料理に生姜の甘酒ソースを合わせたり、アクアパッツァには梅で酸味をのせたり、シェフと相談しながらuchi流の料理を考えています。私が好きなお店に共通しているのは、塩分が控えめで喉が乾かないことと、たくさん食べても翌朝きちんとお腹が空くこと。自分のお店で出す料理もそこは譲れないです」

毎日食べたくなる心地の良さ

「骨付き鶏モモのビールビネガー煮」1,800円

 

塩で味の輪郭を決めるより、甘酒や酢味噌、豆乳などを使って、マイルドな味わいに。ボリュームはしっかりでも食べ疲れしないのは“和食ベース”の為せるワザ。料理同様、体にやさしくなじむ「するする系」のナチュラルワインを扱っているところも、お酒好きのツボを押さえています。

 

「食べ歩きで得たヒントをこの店で生かしていけたら。お客さまのご要望があれば、美味しいお店情報もお伝えしますよ(笑)」

「uchi」店内

 

高橋さんの豊かなアイディアと人生経験が息づいたレストラン。ここで過ごすひとときが“誰かと幸せを共有する喜び”を実感させてくれるはずです。

 

※すべて税別価格

 

写真:石渡 朋
取材・文:小寺慶子