〈ニュースなランチ〉

毎日食べる「ランチ」にどれだけ情熱を注げるか。それが人生の幸福度を左右すると信じて疑わない、編集部員や食いしん坊ライターによるランチ連載。話題の新店から老舗まで、おすすめのデイリーランチをご紹介!

「THE AOYAMA GRAND HOTEL」の20階に位置するトラットリア「Rossi(ロッシ)」

20階からの見晴らしがさらに気分を高揚させてくれる

青山ベルコモンズの跡地に2020年8月開業した、ブティックホテル「THE AOYAMA GRAND HOTEL」。このホテルの20階に位置するのが、2024年4月1日にトラットリアへとリニューアルしたイタリアン「Rossi(ロッシ)」だ。これまでディナー営業のみだった同店が、2024年7月6日より、土日祝限定の「ホリデーランチ・コース」7,000円をスタートした。

ファインダイニング御用達の食材を使った、贅沢な前菜ビュッフェ

ホリデーランチ・コースは、グラスシャンパンに旬の前菜ビュッフェ、選べるメインディッシュ、デザートビュッフェ、コーヒー・紅茶がついた充実の内容だ。前菜はどれもが主役を張れるようなクオリティで、食材の良さを生かした「少数精鋭」という言葉がぴったり当てはまる。

前菜はビュッフェスタイルで楽しめる

例えば北海道の佐々木ファームや、石川県のNOTO高農園、静岡の北山農園、アスパラ専門農家のジェットファームなど、ファインダイニング御用達の生産者から仕入れた食材を使用している。これは料理長の毛利周太さんがリーダーを務める「ごちそう旅」チームが全国各地へ、食材探しに出かける取り組みをしているから実現できていることだという。

今の時期の前菜の種類は夏らしいラインアップとなっている

またスパイスやハーブ使いの多彩さも光る。レモングラスを利かせた「エスニックシュリンプサラダ」や、完全天日塩とオリーブオイル、タイムを使った「メロンとミントのサラダ」など、夏らしい爽やかな味わいに心躍る。

ヴィーガン向けのメニューにも対応

さらに“おいしい野菜でヴィーガンの方も楽しめるように”と「ビーツのフムス ファラフェル」や「茄子のピスタチオデュカ」など、中東の風を感じる10種類ほどのヴィーガン料理もそろう。ホテル4階にある「THE BELCOMO」で人気の「よだれ鶏」もお酒のお供に最高だ。

「MANDOIS BRUT ORIGINE」 撮影:中森りほ

このほか、和牛のモモ肉を使った自家製のローストビーフや、鹿児島県のふくどめ小牧場から仕入れたソーセージやベーコン、パテ・ド・カンパーニュやベルケル社製のスライサーを使ったスペイン産イベリコ豚の生ハム(時期により異なる)など、シャルキュトリーもレベルが高い。しかもどの前菜もハウスシャンパン「MANDOIS BRUT ORIGINE」とよく合う。ビュッフェに合わせて、ついついシャンパンもおかわりしてしまいそうだ。

「Rossi」の人気メニューや、新作カレーが選べるメイン料理

「気仙沼カジキマグロのカツレツ ケッカソース」

メインには「特選牛ボロネーゼ タリアテッレ」や「スズキのグリル トマトサルサ」「豚肩ロースとししとうのグリル ケチャップマニスソース」などを用意。さらに「気仙沼カジキマグロのカツレツ ケッカソース」(+3,500円)や「タスマニア産ラムのグリル」(+4,000円)など、Rossiで人気のディナーメニューも加えた、常時10種類ほどから好きなものを選べるシステムだ。

「特選牛ボロネーゼ タリアテッレ」 撮影:中森りほ

「特選牛ボロネーゼ タリアテッレ」は、生パスタ専門の淡路麺業から仕入れたタリアテッレを使用。ソースは、和牛をミンチにしてソテーし、赤ワインとフォンドボーに加え、ニンジンやタマネギ、セロリをみじん切りにしてオリーブオイルで揚げるように炒めたソフリットを合わせて炊いたものだ。仕上げに揚げた茄子をトッピングしてパルメザンチーズを削りかけている。和牛のうまみがじんわり感じられる一品だ。

「Rossi 特製カレーライス」 撮影:中森りほ

そして今回のランチ提供開始に合わせて新たに登場したのが「Rossi 特製カレーライス」だ。希少部位も含むさまざまな部位や産地の和牛肉を「黒いビーフカレー」のイメージで、タマネギや赤ワインとともにしっかり煮込んでいる。仕上げにオリーブオイルでソテーした焼き野菜もトッピングされており、オリーブオイルの青い味わいがカレーに合わさり新鮮だ。ゴロゴロと牛肉が入った赤ワイン煮込みのようなカレーは、牛の脂の甘さがありつつ、香ばしくビターな味わいも感じられ、ワインに合わせたくなる。

「THE BELCOMO」名物のバスクチーズケーキや、宮崎マンゴーも並ぶデザートビュッフェ

デザートビュッフェのクオリティの高さも見逃せない。特筆すべきは、バスクチーズケーキの本家であるスペイン・サンセバスチャンの「La Vina」のレシピを参考にした、ホテル4階にある「THE BELCOMO」名物のバスクチーズケーキがあること。本場よりもレアに焼き上げており、まるでカスタードクリームのように滑らかなくちどけで、さわやかなマスカルポーネの酸味と甘さが印象的だ。

デザートビュッフェは、思わず別腹モードが発動してしまいそう

ほかにもアメリカ人シェフから教わったというライムタルト、カヌレやティラミス、マカロンやボンボンショコラなど、どれも細部まで徹底されている。さらにマンゴーのパンナコッタには宮崎マンゴーを、フルーツタルトのメロンには静岡県産を使用するなど、フルーツも質の高い国産を採用。赤字にならないか心配になるほど、デザートまで良い食材ばかりを使っていて驚く。

地上20階のレストランからは、東京タワーをはじめとした都心の景色が眺められる。ビュッフェでありながらアラカルトクオリティの料理の数々を、心ゆくまで楽しめるホリデーランチ・コース。予約が殺到する前にチェックしておきたい。

※価格はすべて税込、サービス料(10%)別

写真:お店から

文:中森りほ、食べログマガジン編集部