【流行るお店はココが違う!】

行列のできるお店や予約の取れないお店がある一方で、美味しくても、オシャレでも、なぜかいまいちと感じてしまうお店がある。味や見た目だけではない、人気店ならではの流行る理由とは?

 

レストラン選びで賢い選択をするために、流行るお店を探し続けるマーケターの舟本 恵氏に、人気店ならではの特徴を教えてもらいましょう!

Vol.6 ただの激安店ではない。「原価飲食店」が流行る本当の理由とは?

日本ではあまり知られていませんが、アメリカのサンフランシスコに「エバーレーン」という、世界中に熱烈的なファンを持つアパレルブランドがあります。

 

この「エバーレーン」がなぜ人気なのかというと、なんと、製造原価と会社の儲けを公開し、“究極の透明性”を実現しているからなのです。利用者は、その商品の本当の価値と、会社が得る収益を確認し、信頼・納得して購入することが可能になります。

 

そして最近、日本でも、同様のビジネスモデルで人気を博す「原価飲食店」が登場しています。今回ご紹介する2店舗も、商品原価とお店の収益を分かりやすく公表、利用者が信頼・納得して利用できる環境を整えています。

 

ただ、「原価飲食店」の人気の理由は、価格の安さだけではなさそうです。さて、「原価飲食店」が流行る本当の理由とは?

Check point! 流行る店の“ココ”が違う!

Case 1「牛倭心伝 本店」 兵庫・西宮

黒毛和牛もラインアップ!収益の透明性と品質の良さを両立

焼肉「牛倭心伝(ぎゅうわしんでん)本店」は、阪神電鉄本線の今津駅から2分ほど歩いたところにあります。

牛倭心伝本店 エントランス

 

入口に大きく書いてある通り、このお店では、メニューが全て原価で提供されています。「どうやって儲けているの?」と疑問が湧いてきますが、そのカラクリは入場料にあります。

入場料は大人一人1,500円。この金額が、お店の収益です。お店はこの収益から、スタッフの人件費や、お店の家賃、水道光熱費などを支払うこととなります。そして、料理や飲み物は全て原価で提供。この中にお店の儲けは入っていません。

 

さらに、牛倭心伝 本店の凄いところは、メニュー表に“定価価格”も一緒に記載され、“定価価格”または“原価+入場料”の「どちらか安い価格でご利用いただけます」としている点です。あまりたくさんの量を食べられない方は、場合によっては定価で支払った方が安くなる場合もあります。そこで、お会計時には、どちらか安い方の金額が自動的に提示されるのです。

メニュー表(フード)

メニュー表(ドリンク)

 

通常、飲食店で原価率が明らかにされることはありませんが、牛倭心伝 本店のフードの商品原価率は一部のメニューを除いて50%であることが分かります。ドリンクに関して言えば、一部のメニューを除いて商品原価率は50%以下。

 

入場料を払えば、「カルビ」は340円、「はらみ」は240円で食べられます。また、「ビール(生中)」は200円、「ウーロン茶」に至っては10円で注文することができます。

上:「特選ロース」、下:「特選カルビ」。いずれも原価580円、定価1,160円

上:「特選いちぼステーキ」、下:「特選ひうちステーキ」。いずれも原価680円、定価1,260円

 

もちろん、「安かろう、悪かろう」の激安飲食店とは全く異なります。肉質は非常に良く、メニューには黒毛和牛のA5等級など、選び抜かれたお肉だけが並びます。

 

特に特選ステーキ各種は、わさびと一緒に食べることで、お肉本来の甘みと、上質な脂の旨みが口の中で引き立ちます。

「レアモモステーキ ユッケ風」原価370円、定価740円

 

牛倭心伝 本店は、入場料を払えば、一品一品が非常に安く、また、食べれば食べるほどお得になる仕組みです。その為、これまで食べたことがないメニューであっても、失敗を恐れず、気軽に注文することが可能になります。時には、思ってもみなかった新たな出合いが生まれるかもしれません。こういった点も、「原価飲食店」の魅力の一つです。

 

スタッフは全員とても元気が良く、丁寧で心のこもった接客をしてくれます。利用客は、お店が得ている収益を知っており、ここからスタッフの人件費が支払われることも知っています。スタッフは、その緊張感と、利用客からお給料をもらっているという実感から、接客にも自然と力が入るのかもしれません。

 

Case 2「ジョニーの原価酒場 Bar」 東京・田町

高級ウイスキーがお手頃価格!持ち込みもOKな自由度の高さ

JR山手線・京浜東北線「田町駅」から徒歩2分、都営地下鉄浅草線・三田線「三田駅」から徒歩1分と、駅近の飲食店ビル3階に「ジョニーの原価酒場 Bar」はあります。

ジョニーの原価酒場 Bar テラス/写真:お店から

 

店内には屋外暖房機完備のウッドテラスが設置されています。夏にBBQメニューを楽しむことができるだけでなく、冬でも夜景を楽しみながら、宴会やデートを楽しむことができます。

ジョニーの原価酒場 Bar メニュー表

ジョニーの原価酒場 Bar メニュー表

 

入店料は1,390円。入店時に現金で支払います。そして、お料理、飲み物は全て原価で提供されます。

 

ここでも、「安かろう、悪かろう」の激安飲食店とは全く異なり、ドリンクの品揃えも本格的。「山崎12年」500円をはじめとした、普段は高くてなかなか手が出せない高級ウイスキーも、ここでは手の届く価格で楽しむことができます。

「こぼれいくら丼」999円に「いくら一杯」325円をトッピング

 

お料理も本格的。名物の「こぼれいくら丼」999円は、新鮮ないくらが口の中で弾け、とろけるような繊細な美味しさを楽しむことができます。しかも、いくらは325円で追加トッピングができ、お手頃価格で、気が済むまで食べることができます。

「ジョニーの和牛ローストビーフ」955円

 

「ジョニーの和牛ローストビーフ」955円は、ボリューム満点。とろけるようなお肉の柔らかさと、口の中いっぱいに広がる高級感ある甘みが、食べる人を幸せな気持ちにさせてくれます。

 

そしてなんと、「ジョニーの原価酒場 Bar」は、食べ物、飲み物は何でも持ち込みOK。確かに、お店の料理や飲み物は原価提供、収益は入店料で既に固定されていますから、持ち込みがOKとなるのもうなずけます。

「鯛カマ塩焼」300円 ※日替わりメニュー

 

「ジョニーの原価酒場 Bar」のスタッフも元気いっぱい。笑顔あふれる接客で、テーブルを盛り上げてくれます。その日の仕入れ状況によっては、メニューに載っていない日替わりメニューもお薦めしてくれますので、ぜひ、気軽に話しかけてみて下さい。

 

「原価飲食店」が流行る本当の理由とは?

このように、「原価飲食店」が流行る理由は、お客さまが信頼・納得してお店を利用できるだけではありません。一品一品が非常に安く、食べれば食べるほどお得になるため、普段は注文しないようなメニューとの“新たな出会い”や、なかなか手が出せない高価なメニューに囲まれた“一味違った飲食体験”を楽しむこともできるのです。

 

加えて、お店の収益が公表されているため、スタッフも接客に益々力が入ります。また、お店の収益が固定化されているため、お店によっては持ち込みが可能になるなど、お店の魅力がより一層高まるのです。皆さまも一度、「原価飲食店」を体験してみては如何でしょうか。

 

※価格はすべて税別