【和菓子と巡る、京都さんぽ】

四季折々の顔を見せる名所を訪れたり、その季節ならではの和菓子を食べて職人さんたちの声を聞いてみたり……。ガイドブックでは知り得ない京都に出会う旅にでかけてみませんか。

 

あなたの知らない京都について、京都在住の和菓子ライフデザイナー、小倉夢桜さんに案内していただきましょう。

其の五 時代を捉える京菓子「二條若狭屋」

世界遺産の周辺を巡る、二条通さんぽ。

国内外を問わず多くの観光客が訪れる世界遺産、二条城。アクセスが良く、近年では、様々なイベントが行われるようになり、今まで以上に注目が高まっています。その二条城の東側には、京都市内を南北に通る幹線道路、堀川通が通っています。

南は京都駅のある八条通から、北は上賀茂神社のほど近くにある御薗橋付近までの約8キロにわたる通りです。二条城の他にも世界遺産の西本願寺、京都のパワースポットとして有名な安倍晴明を御祭神とする晴明神社などがあります。

 

京都にお越しになった方は、必ずと言っていいほど利用されている通りです。そして、二条城の南側には、御池通が東西に通っています。

祇園祭の際に山鉾巡行が行われることで有名な通りです。このように二条城周辺には、大きな通りが通っていますが、そこから一筋入ると店舗と住居が立ち並ぶ地域が広がります。この地域には、信念を持った新旧の個性的なお店が数多く営業をしており、ぶらりと京都さんぽをするにはうってつけのエリアです。

そのエリアの一角、二条通小川角に創業100年を超える京都らしい趣のある店構えが印象的な和菓子店があります。

甘いもので、ひとやすみ。

マスコミなどで取り上げられることも多く、全国的にも知名度があり、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

 

現在は4代目のご主人が暖簾を守っているお店です。店内には、代表銘菓「家喜芋(やきいも)」をはじめとする、数多くのお菓子が並びます。

時代の移り変わりと京菓子の伝統的な部分をバランスよくお菓子に反映させていくことを心掛けているそうです。

 

暖簾を守っていく上で心がけていることを質問すると、「どのように現代の方々に和菓子を受け入れていただくかがお店のテーマ。そのためにお菓子から可愛らしさを感じるように意匠を考えてます。ただ京菓子である以上、可愛らしいばかりではあきません。趣を意識してます。お客様の価値観、京菓子自体の価値観も時代と共に変化してきたように感じます」と答えられたように、こちらのお店の上生菓子の意匠は印象的なものばかりです。

 

その代表的なお菓子をご紹介させていただきます。

菓銘「初富士」

お正月に販売されたお菓子です。

初夢に見ると縁起が良いとして、昔から知られている“一富士二鷹三茄子”。

新年にとても縁起が良いお菓子です。

菓銘「春の宴」

桜の時期に毎年、販売されるお菓子です。

見上げれば、いっぱいに広がる満開の桜たちを表現しています。

菓銘「光の舞」

5月下旬頃から6月初旬頃にかけて京都市内各所で蛍が闇夜を灯します。

清流をイメージした外郎生地のキャンバス。

生い茂る草の葉から飛び立った光り輝く蛍が表現されています。

お菓子を愛でながら、その素晴らしい情景を思い浮かべてください。

菓銘「秋日」

四季のある日本だからこその和菓子の世界。

和菓子を愛でながら、移りゆく季節を感じるお菓子です。

菓銘「もみじ狩」

盛秋の京都。

こちらのお店の代表的なお菓子です。

紅葉の形に型抜きした羊羹を白餡と栗餡を混ぜ合わせた餡玉を包むようにのせたお菓子。

紅葉(もみじ)の葉の色のグラデーションがとても美しく、日本の美を感じます。

 

ご紹介をさせていただきました上生菓子は、日持ちがしない為、お土産には少し不向きなお菓子となってしまいます。

そこで、これから夏に向けてお土産にうってつけのお菓子をご紹介させていただきます。

琳派を代表する絵師、尾形光琳が晩年に制作した国宝『紅白梅図屏風』をパッケージに用いたくずきりです。

 

その名も「光琳水」。

梅入りの白みつと黒糖の2種類があり、いずれも葛独特の喉越しの良さを感じることができます。冷蔵庫で少し冷やした後、氷を入れて、お好みの量の蜜をかけて食べれば、暑い夏も乗り切れそうです。

 

その他にも、ホームページで紹介されている、夏の定番「竹水羊かん」などが販売されます。

 

あまり知られていませんが、店内にはお抹茶と一緒にいただくことができるスペースが用意されています。

観光で疲れたら立ち寄ってみるのもおすすめです。