空間、家具、料理が「伝統とモダン」という世界観でリンクする

シグネチャーカクテル「STELLAR」をはじめとする家具をイメージしたカクテルをぜひ!

こちらにはバーが3つもあるのが気になりたずねてみると「ニューヨークのレストランにはたいていウェイティングバーがあります。予約時間より早く到着して一杯飲んだり、席が空くのを待っていると誰かと出会ったり、食事するだけでなく、その店に行くことを楽しんでいるのがいいなと思って」と入江さん。ここもそんな“コミュニティレストラン”として存在できたらと、レストランの中に1つ、エントランスにスタンディングバーと20時からオープンする「THE BAR」の2つを設けています。

「ギリシャ風ムール貝のマリネ」2,300円

メニューは“伝統とモダンを意識したボーダーレスな地中海料理”がコンセプトのアラカルトで、メインディッシュよりも前菜やピッツァ、パスタの種類が多く、シェアを楽しむスタイルです。

下味もしっかりとつけられている

この「ギリシャ風ムール貝のマリネ」はムール貝、2年熟成の「きたあかり」、オクラとエシャロットをヨーグルトと白味噌でマリネして味に深みを持たせ「ベルガモットパウダー」でレモンバーベナの香りと胡椒の余韻を残します。入江さんと言えばスパイスを前面に出した料理が特徴的ですが、こちらではそのスパイスは余韻を残す役割として使います。

エディブルフラワーを使い華やかに

口にして驚いたのはジャガイモの味わい。塩分濃度を決めてニンニクとタイムの香りをつけ沸騰させた湯に2年熟成の「きたあかり」を入れ、そのまま85℃で15分火入れしているそう。食材一つひとつにとことん向き合うからこそハイレベルな皿になるのです。

人気NO.1は絶品生地のピッツァ!

国産にこだわった生地

ここを訪れたらぜひ食べたいのがピッツァ。「ピッツァは生地で7割ほど味が決まる」と北海道産「ハルユタカ」の強力粉とその全粒粉を7:3の割合でミックスしたオリジナルの粉は、香りが高く、ほんのり甘みのある生地に仕上がります。ソースは富士吉田市から取り寄せたホップをコンフィにして練り込んだマヨネーズ。ほろ苦さがこの生地にぴったり!

全粒粉が入ると歯ごたえもしっかり感じられる

こちらは入江さん渾身の「炭火豚のホップピッツァ」です。具材は豚肉とマッシュルーム。豚肉は塊のまま強火でグリルして中心をレアに仕上げ、スモークをかけています。チーズは2種類を使い風味豊かに仕上げます。

増田煉瓦社製のピザ窯

オーダーメイドのガス窯に入れて470〜480℃で3分ほど。きれいな焦げ目がついたところで引き上げます。湯気が立ちのぼり熱々の状態で手早くカットし、マイクロハーブをトッピングしてテーブルへ。

「炭火豚のホップピッツァ」2,200円

目の前でスプレーしたビネガーの香りの後に「江戸前ハーブ」の青々しい香りが鼻腔をくすぐり、口にすると今度は豚肉とホップの香りが追いかけてきます。ここまで香りを細分化できるのはフランス料理歴30年の経験によるもの。夏には入江さんが出会った小田原「木下農園」のレモンを塩漬けにし、セミドライトマトとこの豚肉のピッツァがお目見えするそう。これも楽しみ!

枠にとらわれず自由に楽しめる!

自家製からすみバターをのせた「からすみバタートースト」1,200円

「シャンパン、ビールに最高です!」と入江さんがすすめてくれたのが、この「からすみバタートースト」です。オーストラリア産ボラのから済みは塩味が控えめでバターに混ぜると格別においしくなるそう。どことなく馴染みの味がするのは鮎の魚醤を入れているから。

上からからすみをたっぷり削りかける

「焼きたてのバゲットに厚くカットしたカラスミバターをのせると、バターの底面だけが溶けてバゲットにしみこんで表面はまだ冷たいまま。これがたまらないんですよ!」と入江さん。ダイニングフロアーを回る「STELLAR WORKS」のディジェスティフ(食後酒)ワゴン、「James Bar Cart」で運ばれてくる自家製レモンチェッロと合わせてデザート代わりにするのもいい!

背徳感MAX!!!

何を食べたら良いか迷ってしまう人にはシグネチャーディッシュの「ホタテ貝と塩レモンのリゾット」が含まれる「ディナーコース」8,200円や、アミューズ、サラダ、メインにコーヒーが付く「ショートコース」3,900円、「ブランチコース」6,900円、「ヴィーガンコース」6,900円などのコース料理を用意し、「僕も積極的にホールでサービスしているので、なんでも相談してください」と心強い。ランチにディナーにバータイム、思い思いの時間を好きなように楽しみたい人に寄り添ってくれる店が誕生しました。

※価格はすべて税込

文:高橋綾子、食べログマガジン編集部 撮影:溝口智彦