【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#160】「氵」(サンズイ)

仲間と飲みに行こうという話になった際にカレー屋さんで飲もうかと言うと「飲めるの?」と驚かれることが多いのですが、カレーとお酒の相性はとても良いです。味もさることながらカレーにはターメリック、つまりウコンが使われていることが多いので悪酔いしにくくなるとも言われています。

もちろんカレースタンド的なお店でゆっくり飲むことは難しいですが、お酒を飲むためのスパイス料理や〆のカレーが充実しているお店も少なからずあるということはカレーマニアの間では常識となりつつあるものの、まだまだ一般層には浸透していないのが現状です。今回ご紹介する「氵」はまさにそんなお店。2024年1月20日にオープンした新店舗です。

落ち着いたカフェやバルのような雰囲気。レコードの音が心地よく響く素敵な空間でくつろげます。

まずは「あん肝とあおさのブルスケッタ」300円(1個)と「炙り〆鰯と野菜サラダ」700円からスタート。これに合うお酒をおまかせで頼んだところ、島根県は出雲の「天穏」900円を燗酒で用意してくれました。

「あん肝とあおさのブルスケッタ」

おつまみはどちらもお酒が進む濃いめの味付け。ブルスケッタやサラダは洋食の雰囲気ですが、その中にあん肝、あおさ、炙り〆鰯という和を感じさせる食材があり、だからこそ日本酒との相性がとても良いのです。

「炙り〆鰯と野菜サラダ」

聞けばマスターは銀座の名店「六雁」で4年、その後日本酒とスパイス料理の人気店である代々木公園の「酒坊主」で1年半働いていたという経歴の持ち主。日本酒の知識も和食やスパイス料理の知識も豊富なことに深く納得しました。

「天穏」

ならばスパイスをメインとした料理も、ということで頼んだのは「サフォークラム肉のスパイスマリネロースト」1,000円。これが絶品!

「サフォークラム肉のスパイスマリネロースト」

ラム肉の味の良い部分がシンプルなスパイス使いによって引き立てられ、マリネすることで肉肉しすぎるクセの部分は抑え、尚且つ消さずに程よく残しているという絶妙な塩梅。肉だけ食べておいしく、添えられた野菜と一緒に食べればさらにおいしいという一品。羊好きにはたまらない料理であり、羊が苦手という方でも羊の魅力に気付ける料理だと言えるでしょう。

〆の「スパイスカレー」700円も2種類。牛すじカレーとバターチキンカレーがあるということでどちらも注文。

牛すじカレー

牛すじカレーは洋食的なカレーに近い味わいで、バターチキンはインドのものよりもスパイスカレー的な仕上がり。カレーもまたお酒の進むしっかりした塩の決め方で、濃いめの味が好きな方にストライクなテイストです。カレーに合うよう硬めに炊いたご飯や添えられた副菜にも手抜きがありません。

バターチキンカレー

デザートに「ふきのとうとナッツのカカオケーキ」300円も。こちらは優しく柔らかいテイスト。ふきのとうの苦みがスパイスのようなアクセントとなっていて良いです。

「ふきのとうとナッツのカカオケーキ」

お会計してみると想像よりかなり安くて驚きました。心配になるくらいの価格だったので思わず「安すぎません?」と聞いてみると、「こちらのエリアの飲食店が平均的に安い価格なので、それに合わせて頑張っています」とのこと。

東長崎駅というと西武池袋線沿いの住宅街にある駅であり、在住在勤の方以外はなかなか利用することが少ない駅かと思いますが、池袋からもすぐです。リーズナブルにスパイス飲み、カレー飲みを楽しみたいならわざわざ電車に乗っていく価値のあるお店であり、電車賃以上にお得だと太鼓判を押しましょう。

銀座の名店、そして代々木公園の人気店で修業したシェフの料理が廉価で楽しめるお店。スパイス好きもお酒好きも、要チェックです。

※価格はすべて税込

撮影:カレーおじさん

文:カレーおじさん、食べログマガジン編集部