本連載のナビゲーター、肉バカの小池克臣さん

小池克臣が推す「予約困難予備軍」の焼肉店

巷には「予約困難」な焼肉店がたくさん存在している。口コミやメディアへの掲載など、予約困難となる要因はさまざまだ。本連載では肉バカ・小池克臣さんに早めに押さえておくべき「予約困難予備軍」の焼肉店を焼き方のポイントとともに教えてもらう。

教えてくれる人

小池克臣

横浜の魚屋の長男として生まれるも、家業を継がずに、外で、家で、肉を焼く日々を送る。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、ほぼ毎晩、牛三昧。その様子をInstagramYouTubeで発信中。著書に『肉バカ。No Meat, No Life.を実践する男が語る和牛の至福』(集英社刊)。公式ブログ「No Meat, No Life.」。

高円寺駅を出てすぐにあるディープスポットに足を踏み入れる!

活気ある駅前の八百屋横の路地を抜けると、レトロ感溢れる「大一市場」に辿りつく。シャビーな外観のこちらは、その昔、味噌屋や商店で賑わっていた市場。いまではベトナム料理や居酒屋、カレー店などいまどきな店が隣接し、知る人ぞ知るちょっと面白いエリアになっている。その一角に4月にオープンしたのが、小池さんが注目する「焼肉ここち」だ。

入り組んだ商店街の中に出現する、昭和にエスケープしたようなアンダーグラウンド感が、高揚感を掻き立てる

「焼肉ここち」として4/26に開店した店は、ちょうちんが目印。市場の端にあり、カウンター8席とテーブル2卓のこぢんまりとしたオープンなスペースで、気負わないカジュアルさが心地よい。コンセプトは“王道の下町のタレ焼肉”。代表・木村さん自身が好きな、カルビ、キムチ、ライスで満足できるタレ焼肉の味をとことん追求。オリジナルのタレ焼肉をシンプルに味わい、ライスとともにたくさん食べてほしいと願う。

 

小池さん

5月に「北砂スタミナ苑」店主に誘われ、こちらに辿りつきました。同郷仲間たちはネットワークが濃く、新店や旨い焼肉の情報がとにかく早い! 今日の取材でじつは来店3回目なんですよ。すぐにタレの味に魅了され気に入ってしまい、最近いい店ある?と聞かれたら真っ先に推したい店です。カウンター越しに、木村さんと肉について語るのも近くていいし、L字だから一緒に食べる仲間との距離感もちょうどいい。日常使いに最適な新店ですね。

若き店主のこだわりと目利きが光るラインアップに心つかまれる!

約12年間、国分寺「焼肉山水」で腕を振るっていた木村舜徹さんが満を持して独立。シンプルでも妥協なき、王道の下町タレ焼肉を日々研究している。店というより家で食べる感覚で楽しめるよう、キムチやナムルもすべて自家製。高いお金を出しても売ってくれない業者が多い業界の中、付き合いや特別なルートを確保し、抜かりないクオリティの食材を仕入れることに切磋琢磨する。

代表・木村舜徹さん。爽やかな韓流スター感が持ち味だ

仕入れは、東京食肉市場が中心。黒毛和牛や新鮮ホルモンなど、ベストな食材を独自ルートから厳選して仕入れるため、手頃プライスの高コスパを実現できている。肉の味を最大限に活かすため、肉質を考慮した自家製タレのブレンドの追求や、揉みこみや味付けの試行錯誤に、情熱を注ぐ。

デイリーに通いたくなる、良心的な価格設定。焼肉だけじゃなく、お酒に合う生海鮮メニューが、隠れ人気を誇る
 

小池さん

サイド含めて、日本と韓国のちょうどいいメニューが揃うのが魅力です。肉ではないですが、海老刺しのような海鮮メニューは限定数しかないので、目当てに早い時間に行きたくなります。とにかく値段とクオリティのバランスがよくて、その手軽さと町焼肉のように日常的に通えるのが気に入っていますね。週3通いたい! タレがとにかく旨くて、トップランクではない肉を、タレの技術で100点に高めているのが、木村さんのなせるスゴ技。この値段でこのハイレベルなおいしさを出せるところに、虜になりました。