まるで美術品! 輝くような豚肉タワー

ポークのピラミッド盛り5,500円は事前予約が必要

あんまりここで尺を取っていると肝心のアレが紹介できなくなるので駆け足で。次に登場したのは何かの山。ではなくて「ポークのピラミッド盛り」。どうなってんのこれ⁉ 何かの芸術品⁉とビジュアルに圧倒されます。故宮博物院に展示されている豚の角煮よりおいしそうです。

お祝いの席などに重宝されるため「みんなで集まるからテイクアウトで」というご近所さんもいるそう

要するに東坡肉(トンポーロー)と似た料理なんですが、この山、「豚バラ肉を薄~く長~く切って、1枚をぐるぐる巻いて積み上げている」という、気の遠くなるような手間の一品! しかも豚肉は巨大な塊から形の綺麗な部分だけを切り取るため、10kgの肉から3~4個分しか取れないそうです。いつの時代もピラミッドを作るのって大変ですねえ。

中はどうなっているのかと思ったら「梅干菜(メイガンツァイ)」というからし菜の漬物が詰まっています。豚肉は中国の醤油、氷砂糖、さらに腐乳などで煮込まれており、甘い味噌漬けのような味わい。

 

猫田さん

豚肉の濃い味と梅干菜の爽やかな酸味が非常にマッチしていて、撮影後、カメラマンと競うように肉を剥がして貪りました。これ、ご飯にてんこ盛りにして食べたらおいしいだろうなー!

一生に一度飲めたら幸せ。1杯15,000円のスープ

さて……。ついにこの店のスペシャリテをご紹介する時が来ましたよ。ご存じの方もいるかもしれませんね、「人生で一度飲めたら超ラッキー」とも称されている、このスープの存在を!

専用の器が作られるほど価値の高いスープなのです

その名も「佛跳墙(ぶっちょうしょう)」、料理名の由来は「修行中の坊さんが匂いを嗅いで壁を跳び越えて食べにくる」という絶世の美食です。なんと1杯15,000円。こっちも壁を跳び超えそうな値段ですが、具材はアワビにフカヒレにナマコに干し貝柱に金華ハムに……と、「高級食材」と聞いて思いつく限りのものが全部入っています。

高級食材のエキス1000%ってぐらい、濃厚な旨みのスープ

鶏を炊いてエキスを濃縮したスープを白濁するまで煮詰め、干し貝柱や金華ハムなどの具材を入れて出汁を取った黄金スープがベース。

 

猫田さん

渡部さんによると「佛跳墙はお店によって味が全く違います。当店は、最近中国でも流行している広東風。カボチャペーストを加えるのが特徴です」とのこと。

佛跳墙はもっと茶色い、澄んだスープのお店もありますが、こちらはとろっと粘度があります

器にアワビなどの具材を入れて蒸し、そこにネギ油などと合わせてジャッと加熱した黄金スープを注いで完成。インパクト大な器の蓋を開けると、湯気だけでもう旨い! この湯気だけで1,000円ぐらい払っても惜しくないとさえ思います。

佛跳墙も乾物の戻しなどに時間がかかるため、要予約

アワビが大きすぎて、もはやどう食べるべきか悩みます。いっそこのままどこかに飾っておきたい。ナマコも丸ごと入っているので女性は最初「え~……」となるそうですが、食べてみればモーマンタイ、アワビをもう少し柔らかくした海の香り豊かな食材です。

携帯の待ち受けにしたら運気アップしそうなビジュアルですね

フカヒレも最も高級な部位である尾ヒレが1枚ベロンと。光沢を帯びた神々しい見た目に、拝みたくなりますね。できることなら佛跳墙、毎日ひと匙ずつ、10日ぐらいに分けて楽しみたい。

とまあ、今回は佛跳墙やらピラミッドポークやら高級料理を出していただきましたが、メニューは80種以上あり、小籠包700円、海鮮チャーハン1,300円などデイリー使いできる価格帯のものも多数。さらにうれしいことに、店内では冷凍中華のテイクアウトも販売しています!

冷凍中華料理の無人販売店もオープン

小籠包1,000円、ルーロ―ハン600円などリーズナブル!

しかも2022年秋、冷凍中華の無人販売店「幸せの一皿」を宝塚と西宮にオープン! 単なる冷凍食品ではなく「杜さんが作ったできたての料理を急速冷凍する」というから、お店の味そのままを家で食べられるということ。スペアリブ煮込みに大エビのチリソースに濃厚ジャージャー麺など家庭で絶対作れない本格中華が500~1,000円。今回紹介した「酸湯羊肉」も販売していますよ!

オンラインショップは今後スタート予定ですが、HPの連絡先からお取り寄せも可能だそうです。遠方の方はぜひおうちで滕王閣の味を楽しんでください!

※価格は税込。

撮影:木下清隆
文:猫田しげる