原 正太郎氏のおすすめ4軒

ファミリーで外食を楽しむことが多い原氏が挙げてくれたのは、子どもにやさしく、ワイワイ楽しめる3軒と、静かに大人の時間を楽しむフレンチ1軒。アラカルトでオーダーできる店では、自分好みにコースを組み立てることを楽しんでいる。

ディナーのおすすめ①分店 なかむら食堂

「今6歳のうちの子が4歳ぐらいから家族で通うほどお気に入りです」と教えてくれたのは、赤坂にある「分店 なかむら食堂」。「食べログ 居酒屋 百名店」に選ばれたこともある渋谷の人気店「並木橋なかむら」の分店だ。

「子どもにやさしい店で、たまにぐずったりすることがあってもホールの方があやしてくれ、小さいラーメンやナポリタンなど子供向けのメニューもたくさんあって、とても利用しやすいんです」と原氏。

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吊るされたやかんなど、外からでも楽しい雰囲気が伝わってくる   出典:DDB548さん

「メニューが豊富で和洋中なんでも楽しめる、テーマパークのようなお店で価格も実にリーズナブル」と原氏が評するように、手描きメニューには定番惣菜や1つから注文できる鶏からあげ、酒のあて、炒めもの、サラダ、洋食、肉・魚料理、箸休め、日替わりメニューがずらりと並び、誰と行っても食べたいメニューが見つかる使い勝手のいい店だ。

「料理が出てくるのがスピーディーなのも魅力の1つ。早いときで、入店してから1時間ほどで店を後にすることもあります」と話すように、パッと行ってパッと帰れるのは子ども連れにはありがたい。

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パクチーの爽やかな香りもアクセントの「よだれ鶏」980円   出典:Belle_collineさん

必ずオーダーするお気に入りの一皿は、アジアンメニューの一品「よだれ鶏」。「そんなに高価な食材を使っているわけではないのですが、本場中国を思わせる本格的な味わいが気に入っています」と原氏。ちなみに「よだれ鶏」とは、中国・四川地方の料理で、花椒(中国山椒)とラー油のピリッとした辛みと香りがヤミツキになる一品だ。

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「角ハイやかんボール」。やかんが木桶で冷やされているのもユニーク   出典:nariakiさん

やかんで出されるお酒も「分店 なかむら食堂」の名物だ。「量も選べますし、1回頼めばいいので楽です」と原氏。芋焼酎を1対1に割り水した「やかん酒」は500mlから2,000mlの4種類、常温・オンザロック・お燗から選べるほか、「角ハイやかんボール」「玄米緑茶割りやかんハイ」などもある。

・よだれ鶏、カレー小、やかん酒ほか 予算:6,000円〜

ディナーのおすすめ②サル イ アモール(Sal y Amor)

「気取らないカジュアルな雰囲気の中でリラックスしながら、本当においしいスペイン料理が味わえます」とディナーの2軒目に挙げてくれたのは、代官山の「サル イ アモール」。こちらも子ども可の店で、月に1度は家族で訪れるそう。

ちなみに「サル イ アモール」はスペイン語で「塩と愛情」。料理に不可欠な、最も大事な2つの調味料という意味から付けられた店名だ。

本場スペインを思わせる温かみのあるインテリア
本場スペインを思わせる温かみのあるインテリア   写真:お店から

「気に入っているのはアラカルトで注文できること。お任せコースも魅力的ですが、前菜、肉、魚など自分の好きなものをチョイスして、自分好みのコースにカスタマイズするのがとても楽しいんです」と原氏。

ぽんさや☺︎さん
魚介のうまみがたっぷりの「魚介のパエリア」4,290円   出典:ぽんさや☺︎さんさん

毎回必ずオーダーするのは「魚介のパエリア」だ。濃厚な魚介のエキスがしみたご飯に大ぶりのエビ、アサリ、ムール貝などが入って、程よく芯が残ったアルデンテ状態のご飯の香ばしいおこげも、いいアクセントになっている。

ほかに魚介と鶏肉の「ミックスパエリア」や「イカスミのパエリア」、バレンシア料理「豚スペアリブの土鍋パエリア」などパエリアだけで8種類以上、カルデロという鉄鍋で作る汁気のある米料理などお米を使った料理が豊富なのもこの店の特色だ。

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名物メニュー「ピキージョピーマンの白身魚とエビの詰め物」1,540円   出典:NEW気分屋さん

店のスペシャリテ、スペイン北部ナバーラ地方の郷土料理「ピキージョピーマンの白身魚とエビの詰め物」も原氏お気に入りの一品。ピキージョピーマンはうまみが濃厚なパプリカの一種で、ホワイトソースベースと魚介を合わせた具を中に閉じ込め、卵液をくぐらせ揚げたもので、コクのあるソースとの相性も抜群、必食の一品だ。

・魚介のパエリア、ピキージョピーマンの白身魚とエビの詰め物ほか 予算:10,000円~

ランチのおすすめ①カルミネ

「自宅から近く子どももOK、もう10年以上通っています」とランチ1軒目に教えてくれたのは、牛込神楽坂駅近くのイタリアン「カルミネ」。当時まだ珍しかった本場のイタリア料理が楽しめる店として1987年にオープン、日本初のイタリア人オーナーシェフによる老舗レストランとしても知られている。

「テーブルクロスも赤白のチェックでイタリアにある食堂のよう。カジュアルで肩肘張らずに行ける雰囲気もすごく好きです」

ポキ33
ありのままの気取らないイタリア料理を楽しめる店として人気   出典:ポキ33さん

「イタリアのクラシックな料理が味わえて、何を頼んでもおいしい。夜も昼も行きますが、ランチでも夜のアラカルトメニューを食べられるのが気に入っています」と原氏が話すように、ここでも前菜、セコンド、パスタなど自分で好きなように組み立てて楽しんでいるという。

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「カルボナーラのスパゲッティー」。ダマになりにくくマイルドなグラナチーズが使われている   出典:chocosaraさん

子ども連れのときに必ず注文するのは「カルボナーラのスパゲッティー」。ソースは濃厚だが、こってりしすぎておらず最後まで飽きずに食べられる。また「最近メニュー変更があり今もあるかわかりませんが、前菜の1つ『タコとジャガイモの温製サラダ仕立て』もよくオーダーします。オリーブオイルと塩のシンプルな味わいでワインによく合います。赤白ともハウスワインも十分おいしいですよ」とのこと。

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ふっくらもっちりした生地もうまい「マルゲリータ」1,950円   出典:piropediaさん

店内には立派なピザ窯があり焼き立てのピザも楽しめる。「焼き立てのピザは香りもよく、子どもも僕ら夫婦も大好きで、定番のマルゲリータを注文することが多いですね」と原氏。トマトの酸味、チーズの塩気のバランスが程よく、もっちりしていながら軽い生地も絶妙、子どもから大人まで幅広く愛されているのもうなずける。

・カルボナーラ、ピッツァマルゲリータほか 予算:4,000円~

ランチのおすすめ②ラ・ファソン 古賀(La façon koga)

今回推薦してくれた4軒で唯一、子連れでは行けない店として挙げてくれたのは代々木上原の閑静な住宅街に佇むフレンチ「ラ・ファソン 古賀」。「The Tabelog Award」では度々Bronzeを受賞、「食べログ フレンチ TOKYO 百名店」にも選ばれる名店だ。

友人とプライベートで出かけるときの行きつけで「ちょっとおしゃれをして行きたくなるような、静かに落ち着いた雰囲気で食事を楽しむ雰囲気のお店です」とのこと。

キッチンのライブ感、シェフやスタッフとの会話も楽しいカウンター席
キッチンのライブ感、シェフやスタッフとの会話も楽しいカウンター席   写真:お店から

訪ねるのは仕事休みの平日、いつも座るのはカウンター席。「オープンキッチンなのでシェフが調理するのを見ながら食事が楽しめる、そこが魅力の一つですね」と原氏。グラスシャンパンやワインなど、料理とのペアリングを楽しむこともあるという。

ネギトロさん
シンプルだからこそ店の特色が表れるサラダ   出典:ネギトロさんさん

ここではアラカルトではなく、古賀シェフのおすすめコース料理を堪能する原氏。内容は毎月変わるが「クラシックですが繊細で、一つひとつの料理に奥行きがあり、それでいて緩急を付けたコース仕立てになっています。ガッツリ楽しめるフランス料理ですが、食後も実に軽やかです」と絶賛。

何か印象に残る一皿をとの問いに答えてくれたのはサラダだ。「季節の魚介を取り入れてあり、オリジナルドレッシングがまたおいしいんです。いろいろなお店に行きますが、サラダがおいしい店は何を食べてもおいしいですね」

旬の野菜が添えられた「ソースキュリー」
旬の野菜が添えられた「ソースキュリー」   写真:お店から

こちらの店の名物であり、これをお目当てに訪れる客が多いのは、フランス語でカレーソースを意味する「ソースキュリー」だ。牛すね肉や十数種の野菜からとったブイヨンに、カレールーとワイン、スパイスを加え、手間を惜しまず作り上げた古賀シェフのスペシャリテ。「お店で楽しむほか、自宅で温めるだけで食べられるお土産を購入することもありますよ」と原氏。

ちなみに「ラ・ファソン古賀」は、フランス語で「古賀流」。「はらまさ流」を貫く原氏と、どこか通じるものがあるのかもしれない。

・コース料理 予算:7,700円~ サービス料5%別

※価格はすべて税込

取材・文:池田実香(フリート)