コース料理をすべてご紹介!

美しき「八寸」からスタート

左上から時計回りに「トマトの花」「桜の葉」「ポーレンのジェル」「湯葉と行者ニンニク」「麦麹と赤しょうが」

ついに1品目が運ばれてきた。日本ならではの懐石料理の「八寸」を踏襲している点から、ローカル性を重視している“ノーマイズム”を感じる。

今まで見たことのない色鮮やかで美しい品、そして見た目からでは味が全く想像できない品たち。小難しく、複雑性のある料理にも見えるが、不思議なことに口の中に入れるとシンプルに「おいしい」のだ。冒頭からすっかりと心をつかまれてしまった。

特に心に残ったのは「トマトの花」。バラの花びらの中にはドライトマトとドライフルーツが詰め込まれており、見た目が美しいのはもちろん、口の中で融合すると香りと旨味のハーモニーにうっとりとした。

初めて出合う具材の「しゃぶしゃぶ」

「海藻のしゃぶしゃぶ」

2品目はなんとしゃぶしゃぶ。めかぶベースの出汁に麦麹を加え、松の香りをつけているスープでしゃぶしゃぶするのは、アマドコロという山菜と小夏という柑橘、そしてリトルマーメイドの世界に出てくるような見たことのない海藻たち! 青のり醤油とハバノリのオイル、シーベリーを加えたポン酢風のタレにつけていただく。

「日本で取れる海藻の種類は1,500種もあるんですよ。日本は海藻を食べる文化があるにもかかわらず、40種ほどしか食べていないようなんです」と、スタッフさん。日本の海にはまだ見ぬおいしい食材がたくさん眠っている、と思うとなんだかワクワクしてくる。

日本の春を感じる、レインボーな一品

「タケノコとヤリイカの出汁」

運ばれてきた瞬間、思わず歓声を上げてしまった。美しくスライスされたタケノコに、透き通った出汁、そして出汁の上に浮かぶレインボーのオイルは麦麹オイル。

燻製したとうもろこしの「コーン節」でタケノコに火入れし、ジャスミンティーとヤリイカのソースを合わせている。レインボーで盛り上がっていると「狙ってレインボーにしているわけではなく、調理過程で自然となったんですよ」とスタッフさん。

春を感じるタケノコの味わいと鼻を抜けるヤリイカとほのかなジャスミンの爽やかな香り。これがレネ・レゼピ氏が解釈した「日本の春」であるのならば、日本国民としてはうれしい限りだ。

創意性を感じる「お刺身」

「メカジキと昆布」

「お刺身」と言われ、何の疑いもなく口に運んで驚愕。なんとこの品、温かい。ここノーマでは、見た目の意外性や食材の希少さだけではなく、温度感でも驚きを与えられるのだ。

魚は日本のレストランでは食材としてあまり使用されることのない「メカジキ」。下には昆布を凝縮するまで煮詰めてバターを加えた濃厚なソースが敷かれている。淡白な刺身に濃厚なソースが絶妙にマッチし、口のなかでとろけた。