戸村仁男氏のおすすめ4軒

戸村氏に行きつけの店を教えてもらった。居酒屋と鴨の店、中華料理店が挙げられたが、共通するのは素材の良さと料理のレベルの高さだ。

ディナーのおすすめ①まるしげ 夢葉家

「特にお刺身がおいしいですよ」と教えてくれた戸村氏が贔屓にするのは海鮮居酒屋の「まるしげ 夢葉家」。葉山の朝網の魚を毎日直送してもらうというこだわりようで、良心的な値段にも驚かされる。

ポリプテルス
旬のおいしさが詰まった刺身の盛り合わせ   出典:ポリプテルスさん

じっくり時間をかけて仕込む料理は毎日100種類ほど、日本酒・焼酎はあわせて常時40種類以上が揃い、常連客を飽きさせない。75席の座席は口開けからあっという間にいっぱいになる。

北乞
居酒屋の定番メニューはもちろん、柿とブルーチーズのフライといった変わり種も   出典:北乞さん
シオリパパ
しめに注文する人が多い「奄美名物!! 油そうめん 富田流」   出典:シオリパパさん

戸村氏が訪れるのはいつも「と村」の営業を終えた後。遅い時間に足を運んでも、バラエティに富んだおいしい料理が食べられることにもお気に入りの様子。いつ訪れてもにぎやかな「まるしげ 夢葉家」は、都心で働く人々の活力を養う場となっている。

・お刺身の盛り合わせ、くじらの竜田揚げ、ピータンとザーサイの白和えと京生麩キャベツの煮びたし、ザクザクポテトサラダ、各種酒類など 予算:~10,000円

ディナーのおすすめ②割烹 長吉

新潟の鴨料理の店「長吉」は地元・西蒲区内で捕った天然の鴨(商標登録:田から野鴨)を堪能できるとして、食べログTOP5000にもランクイン。鴨焼きほか、鴨汁や鴨ごはんなど、鴨専門の名店として知られている。ちなみに「と村」の冬の主役となる鴨は「長吉」から卸してもらっているという。

 うどんが主食
天然の野鴨は数量限定の完全予約制   出典: うどんが主食さん

米どころならではのクリーンな環境に飛来する鴨は無双網と呼ばれる伝統的な方法で生け捕りにされる。生きたまま血を抜くためクセがなく、しっかりと感じられる鴨のコクと深いうま味が戸村氏を虜にした。「年に2〜3回は伺います。ただ焼くだけで、とてもおいしいのですよ。ほかの鴨肉とはまるで別物です」と賛辞を贈る。

虎太郎がゆく
目の前の鉄板で焼きあげる鴨はヒマラヤ岩塩や出汁醤油でどうそ   出典:虎太郎がゆくさん
カフェモカ男
中庭を眺めながら個室でのんびりと過ごせます   出典:カフェモカ男さん

・天然野鴨焼き、鴨汁、酒類など 予算:15,000円~

ディナーのおすすめ③赤坂璃宮 銀座店

中国・広東料理「赤坂璃宮 銀座店」も、戸村氏にとって縁の深い店だ。「オーナーシェフだった譚彦彬さんが『と村』に来てくださったことで交流が始まりました。日本での広東料理の第一人者であり、料理人としての大先輩です。残念ながら逝去されましたが、新潟に鴨を食べに行ったり、京都まで猪を食べに行ったりと、たくさん良くしてもらいました」

ふかひれの姿煮は広東料理の代表格
ふかひれの姿煮は広東料理の代表格   写真:お店から

海のものや山のものを幅広く使う広東料理は、あっさりとして、上品な風味が特徴。2021年には「食べログ 中国料理 TOKYO 百名店」に選出された「赤坂璃宮 銀座店」のレシピは、どれもやさしく穏やかな味わいを印象に残す。戸村氏が特におすすめするのは海鮮料理だ。中でも「本日の鮮魚の蒸し物」がお気に入りだという。

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軽やかな佳味とうま味を帯びたハタの蒸し物   出典:★*さん
中国伝統の四合院様式を取り入れつつ、銀座らしい高級感に満ちたシックな店内
中国伝統の四合院様式を取り入れつつ、銀座らしい高級感に満ちたシックな店内   写真:お店から

「赤坂璃宮 銀座店」では世界中から厳選された食材とこだわり抜いた国産食材を使いこなし、スパイスや油をさりげなく控えて仕上げていく。ジャンルは違えども、その料理法は「と村」にも通じるところがある。

・各種コース、酒類 予算:11,000~80,000円

ランチのおすすめ 香港焼味酒家 赤坂璃宮

ランチは「香港焼味酒家 赤坂璃宮」を挙げてくれた。先述の「赤坂璃宮」のカジュアルラインとして、本店の味わいを手頃に楽しめるのがうれしいところだ。“焼味(シャオウェイ)”とは、下味をつけて釜で焼いた肉料理の総称のこと。香港の焼き物師が焼きあげる本場の味を楽しみに老若男女が訪れる。

YamaNe79
璃宮特製焼物盛り合わせご飯はメインの肉を6~7種から選べる   出典:YamaNe79さん

戸村氏は「お手頃価格なのに、料理の品質は高級店さながら」と感嘆する。店でいただくのはもちろん、テイクアウトをして食べたり、差し入れに購入したりとさまざまな場面で訪れているそうだ。

Nick0298
虎ノ門ヒルズにいながら香港気分を楽しもう   出典:Nick0298さん

「『と村』では赤坂璃宮の焼き物師さんに鴨の焼き方を指導してもらいました。燕三条の焼き釜の仕入れ先も教えてもらって、新潟でのご縁がつながった結果『長吉』さんから鴨を卸していただく運びとなりました」

人との出合いを大切にする戸村氏らしいエピソードである。

・香港焼味飯、鮮蝦雲吞麺、中国茶 予算3,000~5,000円

※価格はすべて税込です。

取材・文:宇野美香子(フリート)