お菓子博士・猫井先生の洋菓子講座〈二限目:クリスマススイーツ〉後編

全国で今注目のスイーツ店を100店集めた「食べログ スイーツ 百名店」の中から洋菓子専門店に絞り、毎月一種類のスイーツを通して、現在の洋菓子の傾向をお菓子の歴史研究家・猫井登先生に分析していただくこの連載。前編に引き続き、「クリスマススイーツ」について学んでいきましょう!

ドイツ発の定番「シュトレン」

ドイツのお菓子で、バターたっぷりの発酵生地(パン生地)の中にドライフルーツやナッツを練り込んだもの。クリスマスまでの間にも食べられるお菓子とあって、昨今、日本でも人気となっている。「パティシエ エス コヤマ」では、「プレーン」「ショコラ」「抹茶」「プレミアム」と、プレミアム以外の3種をワンボックスに詰めた「3 STOLLENS」が販売される。※プレミアム、3STOLLENSはすでに完売。

かわいいルックスでジワジワ人気「マナラ」

フランスのアルザス地方やドイツで見られる子供の形をしたパンで、サンタクロースのモデルとなったといわれる「聖ニコラ(サンニコラ)の日(12月6日)」のお菓子だ。聖ニコラは子供の守護聖人と言われ、こんな伝説がある。

 

ある日3人の子供が森に遊びにいくが道に迷い、夜になってしまう。ようやく一軒の人家を見つけ、泊めてくれるように頼む。善良な主人は子供たちに夕食を与え3人は眠りについた。しかし、善良と思われた主人は実は極悪人で、眠っている3人の子供を切り刻み、ソーセージ用の肉樽に放り込んでしまう。翌日、聖ニコラがその家を訪ねると主人は悪事が露見したことを知り、逃走。聖ニコラがパチンと指をはじくと3人の子供は生き返り、めでたし、めでたし。

出典:tokyokittenさん

 

「PAUL」では、毎年12月6日前後に「サンニコラ」の名で、子供型のパンが販売される(写真上)。気になる方は早めにお問い合わせを!

出典:Mabel.Gさん

 

「ラ・ヴィエイユ・フランス 本店」でも、12月になると人型のパンが登場する(写真上)。

アルザスで生まれた重厚なスイーツ「ベラベッカ」

こちらもフランスのアルザス地方の郷土菓子。直訳すると「洋梨のパン」。発酵生地に洋梨、イチジク、レーズンなどの洋酒漬けのドライフルーツやナッツをたっぷりと混ぜ込み、スパイスを加えて焼き上げたものだが、生地はつなぎ程度で、フルーツやナッツの凝縮した味わいを楽しむお菓子。薄く切って、ホットワインなどと合わせて楽しむと最高だ。「パティスリー パクタージュ」の「ベラベッカ」は、洋梨のセミドライコンフィを中心に、上質なオードヴィードスリーズ(さくらんぼの蒸留酒)に漬け込んだたくさんのドライフルーツを使って作られた逸品!

【番外編】有名ショコラティエのクリスマスケーキ

チョコレート好きの大人の間では、一流ショコラティエのクリスマスケーキが今年も人気を集めている。

 

「ジャンポール・エヴァン」の「ビュッシュ スペクタキュラー」(写真上)。